スラエル空軍機F-16が数機飛来し、スーダンの兵器工場を空爆した。スーダン政府はイスラエルを非難し、イスラエルは公式にはこれを否定している。しかし現状と、職員などの証言から空爆されたのは事実であり、どう考えてもイスラエルによるものと思われる。
この時期なぜイスラエルは、貧国スーダンの兵器工場を空爆したのか?誰もが直感するのは、イスラエルが公然と表明する核開発を推し進める、イランへの空爆である。言葉だけではなく、本気であることを内外に示したものと思われる。
イスラエルは、かつてイランのフランスが建設するオシラクの、原発を空爆して壊滅させた経緯もある。2年ほど前には、シリアの核施設が疑われる建物を空爆し、破壊している。3年前には、スーダン北部の武器輸送車を空爆している。いずれもイスラエルは関与を否定している。
スーダンの兵器工場は、イラン革命防衛隊の管理下にあると、イスラエルは主張している。周辺諸国の兵力の把握は、イスラエルの生命線になる。核兵器の存在も、イスラエルは否定はしないが、肯定もしていない。今回の空爆も、今後も事実を認めることはないであろう。
今回の空爆を最もそれているのがイランである。エルサレムから、スーダンとイラクは等距離である。単なる脅しではなく、核施設への空爆が俄かに現実味を帯びてきた。経済制裁に喘ぐイランにとって、また一つ大きな悩みの種になったといえるであろう、今回の空爆である。
しかし、中東はいつになっても力の論理である。道理も国家も民族の正当性もない。あるのは自国の国益だけである。イスラエルはその象徴的存在である。自国のためなら、他国のことなのなにも考えない。