今回の総選挙で、民主党の大敗北ははっきりしている。相対的に自民
党が少なくとも第一党になり、安倍ボンボンが政権に返り咲く公算が大きい。少なくとも、海外メディアはそう判断している。多くの評論家もあまり変わらない。
それでは、一旦政権を投げ出した前歴のあるこの政治家は、今何を言っているのであろうか?民主党の対立軸として、かなり大胆なことを言っているのである。
彼の経済対策は、従前の自民党の主張の延長にある。東日本大震災を受けて、国土強靭化法を打ち出している。日本各地に、異様と思えるような構造物を立てて行くのである。10年で200兆円を国債で補おうとしている。日銀に建築債を買ってもらうというのである。
その一方では、景気浮揚策といて金融緩和政策の継続を、日銀総裁の任期と合わせて行おうとしている。そして景気刺激型予算を組むと言っている。
これはどこかで見た構図である。田中角栄以来の公共投資型の景気浮揚策である。しかも新たな国債の発行を目論んでいる。この国が財政的に破たんしていることが、もっとも大きな問題の一つである。
とすれば結局は、その過程で増税される消費税がこれを、穴埋めすることになる。
原発については、民主党の30年代にはゼロを一蹴し、原子力規制員会に圧力をかけて、稼働させることを早くも主張しているのである。規制員会はあらゆる機関から独立しているはずであるが、動かせる原発は動かすと言うのである。
TPPについては、「自由貿易は国益になる」という、固定御概念から抜け出していない。自民党の交渉力をもってすれば、世界各国を説き伏せると、非現実的なことを主張している。困ったことになるとお腹が痛くなるようなリーダーが何を言うのかである。TPPの中身と、アメリカの思惑がまったくわかっていない。
日本が強くなるために、国防費を増やすことも主張している。民主党もだらしなかったが、これ幸いと従前からの国粋主義者としての牙を見せたと言える。
こうしてみると、表現や名称が変わってはいるものの、かつてこの国の財政を食い物にして、財政破たんをもたらし、周辺各国に行った侵略行為を正当化する、そうした動きそのものであることが判る。
自民党の復権は正しく先祖帰りそのものになる。破たんした自民党政策の受け皿として期待した民主党が、エセ自民党に変身したことがこの国の不幸の始まり、混乱政局の原因である。当分続くことになるであろう。