そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

わけのわからない地下水の海への放水

2013-05-15 | 政治と金

東京電力は福島第1原発の放射能汚染水対策として、敷地内でくみ上げた地下水を海に放出するようにした。東電は、「汚染前の水で安全性に問題はない」とし、地元市町村や漁業関係者の了承を求めた。

了承を取り付けようと説明された、県漁連は戸惑っている。そりゃそうである。漁民にそんな権限があるわけではない。東電の説明はこれまで、隠ぺいの連続であったし、俄かに信じるわけにはいかないだろう。

それに今回の、地下水の放水はいかにも奇妙である。大量の地下水が山側から、建屋に向かって流れている。原子炉冷却水と混ざって、毎日400トンの汚染水ができてしまう。原子炉冷却水と混ざる前の、地下水を放出しようというのである。極めて基本的な疑問が残る。

 冷却水と混ざる前というが、冷却水が地下水と混ざることの方が問題であろう。山を削ってわざわざ、津波を受けやすいように作られた福島原発である。対策すらなかったことが問われるべきであるし、地下水は元々出るのであるが、汚染冷却水が地下浸透することの方が問題である。

 汚染前の地下水であるから、放射能汚染は受けていないという根拠もおかしい。すでに2年を経過している。表層からの浸透も浅くはないはずである。東電は、「放射性セシウム137の濃度は1リットル当たり1ベクレル以下で通常の地下水と変わらない」と説明している。仮にそれを認めたとしても、現在の話である。いつまでのものかもわからない。

 東電の説明を仮にすべて了承したとしても、汚染水の処理の行き詰まりは見えている。僅かに引き延ばされるだけである。それが、どれほどのものになるかもわからない。単なる小手先の対策であることに変わりはない。

 今回説明を受けて県漁連は、自らに権限はなく、判断材料もなく、結論を先送りした。仮に漁協が了承したとしても、海水への影響についてはどれほどのものになるかも解っていない。

解っているのは、いわき市長も危惧するように、地元漁業者や住民が風評被害を受けることである。

地下水の放出は、思いつきの小手先の対策であり、奇策の域を出ていない。

これが安倍首相の言う、「世界最高水準の技術」?で、輸出までやろうという日本の原発の現状なのである。

左のフォトアルバムに<春遅い根室の森では>をアップしました。

コメント (1)
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