そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農家所得より食糧自給率向上を

2013-05-28 | 政治と金

安倍内閣の打ち出したアベノミックスであるが、三本目の矢として成長戦略を打ち出している。一本目の矢は、金融緩和である。市場にお金をジャブジャブ出そうというのである。二本目の矢は、公共事業をやって一時の景気を作るのである。どれも見せかけの経済政策、猫だましである。だまされているのは国民である。
三本目の成長戦略の一つとして、農家所得の倍増を打Fao_food_price_index2013mayち出してきた。10年で倍にするというのである。農家戸数を倍にするならわからなくもないが、もしくは農産物生産量を倍にするなら、論議の対象にもなろうが、世界の食糧事情を無視した机上論にすぎない。

左右の表は、FAO(世界食料機構)の今月の表である。左のは、食料全般のこの5年間の国際価格の月ごとの推移である。年を追って値上Fao_food_price_index_indicesがり傾向であることがわかる。秋頃になると徐々に価格が上昇する傾向にあるのは、北半球の人口が圧倒的に多いからである。

右の表は主要製品、Suger(砂糖)、Cereals(穀物類)、Daily(乳製品)、Oil&Fats(油脂類)、Meat(肉)である。この12か月の動きである。乳製品が異常に高騰している。この2ヶ月で、14.9%も上がっているのである。これは、乳牛に与える穀物供給が高騰したからだと思Fao_food_price_index_cereaiわれる。家畜への供給量の不足もある。

左の表は、この10年間の穀物の生産量と、供給量それと備蓄高である。生産量と消費量(オレンジの線と黄色の波線)が、順調のように見える。しかし、これは単に生産されたものがすっかり利用されているからである。

右の表は世界の人口増加の現状と予測である。多くの予測がある02が、いずれもこの20年ほどで90億に達することを予測している。さらにもっとも大きな比重を示しているのが、アジアの人口である。穀物の中で、もっとも急騰しているのが、お米である。加えて、円安は国内畜産の基盤を直撃することになる。

こうしたことを総合的に考えれば、誰にでもわかる。農業にとって最も重要なことは、所得を増やすことなどではなく、自給率を高めることなのである。自らの国民を食べさせることが、人口問題や食糧問題を解決する唯一の手段である。アベノミックスは食料については、なにも語っていない。

フォトアルバムに紹介している<マイペース酪農交流会>は、食料の自給率に大きく貢献する、酪農の飼養管理方法だと言える。

コメント (4)
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