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呼びつけた自民党情報通信戦略調査会で、会長は川崎二郎・元厚生労働相である。厚生労働省は、放送法の所轄省庁である。
NHKは「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題、テレビ朝日は「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が、番組降板をめぐり、「官邸からバッシングを受けてきた」」などと発言した件である。
政権を担う政党が、報道内容を問い合わせるなどとは前代未聞のことである。日本には放送法というものがあり、これを盾にした呼びつけである。明らかな言論統制であり、報道の自由を抑制するものである。
とりわけ政権与党が問題にしようといようとしているのは、古賀成明氏の件でないかと思われる。官邸からの圧力を明かしたことである。これについて、菅官房長官は事実関係を否定し、今後朝日テレビがどう処分するか注目したいと発言している。これは放送法を盾にした露骨な恫喝である。
古賀氏は16日に日本外国特派員協会で、言論機関の一つである放送が政府が管轄していることを、大きな問題であると発言している。そのため報道側は、自粛という形で萎縮した報道になるのは当然である。とりわけ、安倍政権になってからは報道機関のトップを呼びつけた会食が繰り返されている。
古賀氏は、自民党がNHKと朝日テレビを特定の番組内容について呼びつけたことの方が、放送法3条に違反しているとして指摘している。
その一方で、放送労働組合がこの会食のと政権からの圧力を指摘している。現場の人たちの発言はこうしたことを感じているということである。
このままでは日本は、独裁かそれに近い政治的状況が続くことになりかねない。古賀氏は積極的軍事主義の安倍政権に対する明確な対立軸の政党がなく、自らがそうした場をこれから作ってゆきたいと思っていると述べている。
それにもう一つ気になることがある。これだけバッシングを受けながら、NHK会長に居座る籾井会長の人事である。NHKのクローズアップ現代でヤラセが疑われた番組のディレクター坂本忠宣大阪放送局長が、通常なら厳重注意か降格か左遷になるところであるが、籾井会長のお友達であったためと思われるが、異例の抜擢人事で理事に昇格する。お友達の安倍晋三がだぞお慶びだろう。そりゃおかしいゼ。