とても面白い本を読んだ。「果糖中毒」(FAT CHANCE)ダイヤモンド社刊 ロバート・H・ラスティング著 中里京子訳 2,400円と少々お高めである。人が太るのは脳で肥るというものである。以前から疑問に思っていたのが、栄養計算はカロリーを主軸にした評価であることである。同じものを食べても肥る人と、そうでない人がいる。同じカロリーを摂取しても個体は同じに反応しない。
乳牛では、カロリーの資料計算はなく可消化養分として評価する。同じカロリーでもコーンは順調に消化はするが、小麦や米はうまく消化できない。嗜好性は低く乳量が増えるものでもない。家畜用飼料用のコメ生産を国は促し、大量の補助金を出すバカげた政策をやっている。
本書は果糖に特化して説明されるが、本題のFAT CHANCEはいつでも肥りますという事である。果糖は名前通り果物が、鳥や動物に食べてもらいたいために、うんと美味しくため込んだ果物に用意されている。鳥や動物は秋にそれを食べて、来るべき冬のためにたっぷりため込むことになる。ブドウ糖と果糖は同じ分子で構成されている。C6H12O6という炭水化物のいわば原型で、異性化糖といわれるものである。ブドウ糖は消化管を経て血液を介して細胞に直接送られる。これは従来から教えられた通りである。ところが果糖は、直接肝臓に持ち込まれ脂質として蓄えられることになる。
果糖はとても美味しい。果実という甘い言葉もある。食品業者が目を付けないわけがない。果糖はあらゆる加工食品、特に嗜好品には必ず加えられるようになっている。お手元にある食品、特にペットボトルの飲用物のラベルを見ていただきたい。売らんかなの製造業者ん選択は正しかった。街に溢れるようになった。同時に肥満も溢れるようになった。
果糖は過去100年で6倍にも増えている。肥満を個人責任にした、肥満科学は成果を上げていない。胃の半分をとっても、一旦体重が減ってもほとんどがリバウンドしてします。ダイエット業者が儲けるばかりである。
肥満は個人責任ではない。肥らされているのだと筆者は強調する。その司令塔は脳にある。インシュリンは脂肪を貯め込む。レプチン、脳、すい臓、脂肪細胞という肥満のサーボ機能が肥満を作る。
肥満は個人の責任ではない。人々は肥らせれているのであると著者は結論する。妙に納得させらる本である。。