そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農薬は消費者のためでも生産者のためのものでもない

2019-05-25 | 農業と食

5月17日に書いた、「台湾は規制値200倍緩い日本のイチゴを輸入禁止にしていた」という記事へのアクセスが相当量になっている。ここまで反響があるとは思ってもみなかったが、Facebookへのコメントも含まて、いろいろ考えさせられることもなくはなかった。
200倍のことであるが、ピメトロジンの規制は日本は2ppmであるのに対して、台湾は0.01ppmであり、輸入規制の対象になったイチゴは0.02ppm検出されたからである。農薬なくして農業はないという生産者からの指摘、それに農薬の総数を農地面積で単に除した数字であるが、実態を反映していないというのである。広大なアメリカで小麦のようなものを作れば低い数字が出てくるというものである。農薬の質や残留の問題や、降水量も気温なども関係するでろう。
農家の反論もよくわかるが、関係機関や技術者や企業側からの安全基準が示される。農家はそれを安全基準として、自らの責任を外部の者に委ねてしまう。農薬などなければいいとは決して述べることなく、そうした機関や技術者は上限を安全基準にする。原発も同様であるが、企業も技術者も研究者もどうやって使用するかを述べているに過ぎない。

そのもっともいい例が、強力な除草剤「ラウンドアップ」である。栽培品種だけ残したいので、ラウンドアップ耐性の品種を遺伝子組み換えで作る。ラウンドアップレディーと呼ばれる特許権を持った品種が販売され、モンサント社は二重三重に大儲けすることになる。モンサント社は、ヴェトナム戦争でダイオキシン枯葉剤を大量に米軍に売り込み大儲けした会社である。奇形の問題や環境問題など世代を超え時代を跨いだ害の責任はなにもとっていない。その後はパパブッシュに遺伝子組み換え作物を改良と位置付けさせ、報告や表示の義務を放棄させた、典型的な悪徳企業である。
ラウンドアップの主成分のグリホサホートの発がん性が世界の各地の裁判所で認められ、ついに2200億円の賠償を命じられるにいたっている。世界中で排斥されるラウンドアップであるが、日本だけが突出して使用に励む。長周新聞がこのことを書いてくれている。世界は排モンサントに動いている。世界は遺伝子組み換え作物からの脱却を図っている。
グリホサートは告発された発がん性だけではなく、土壌細菌や腸内細菌も損なう。腸内環境を破壊することでアレルギーなど自己免疫疾患などの原因になったり、神経毒として自閉症や認知症を誘発する可能性も指摘されている。それも最近になって、解ってきたことである。
どの農薬がどれだけ使用できるかという事から離れ、使わなくて済む技術、価格、市場性を検討することこそが求められる。必要悪という言葉を使うべきではなく、生産者は毎日口にする消費者に自信をもって提供する姿勢こそが求められる。
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