プーチンは2週間で首都キーウィを陥落できると見込んでいたと伝えられている。当然ロシア側はそんなことは認めてはいないが、その後の動きを見ていると否定し難いものがいくつもある。
元々ロシアは戦争が苦手な国である。第二次世界大戦では2500万人もの死者、戦勝国最大の犠牲者を出している。日本のような小国に負けたり、フランスやドイツには冬将軍の助けがなければ撃退できなかったりと、広大な面積を持ちながらまともに勝てたためしがない。
それでいて、ちょっと弱そうな国、隣接する小国には極めて横柄に威圧し侵略・併合を繰り返してきた。ロシア民族がシベリアへと、東へ東へと国土を拡大していった。恒常的な国土拡大志向があるのでないかと思われる。侵略した地域の無数の少数民族は、蹴散らすだけで充分であった。
プーチンの想定外はちょっと拾うだけで次のようにある。
先ずはウクライナの善戦である。ゼレンスキーは国外逃亡したとフェイクニュースまで流したが、ヤヌコービッチのようにはならなかった。政治未経験のコメディアンは国内にとどまって、国民には成人男子の国外禁止令をだし、愛国心を鼓舞し徹底抗戦を訴え、国外にはNATOをはじめとする圧倒的な支援を引き出した。
戦闘が長引くことで、ウクライナのNATOの加入を阻止し拡大を止めるはずであったが、スウェーデンとフィンランドを加入させる羽目になりそうである。武力行使が逆効果になってしまった。
全面的な協力を得られると見込んでいた中国が、余りにも理不尽なプーチンの行動にすっかり引いてしまった。プーチンの思わぬ計算違いである。
EU諸国、とりわけ天然ガスを大きくロシアに依存するドイツが反ロシアになるとは想定外だった。
戦闘そのものが杜撰である。圧倒的な戦力、火器を持ちながら細かな戦闘では撃ち負けている。とりわけ海軍の旗艦モスクワを失ったのは失態といえる。戦艦も炎上沈没しているが、攻撃されたとは言えないでいる。
戦勝地で兵士が、非戦闘員の殺害やレイプそれに単なる略奪を繰り返している。
兵站でのロシアの敗北が明らかになっている。プーチンは何処で敗北を認めるか、あるいは核などの手を伸ばすのか。プーチンが君主になれる最後のチャンスが近づいている。
休戦とか停戦とか言うが戦争そのものは継続状態である。朝鮮半島がいい例だ。
ロシアの侵略に何とか停戦に持ち込もうと政治家や識者が動いたり、文化人と自負する者が分析し平和解決を試みているようだが人間にはそんな知恵はない。知恵があると思うのは人間の驕りだ。
プーチンはいつでも戦争を終わらせられると考えたようだがそれは負けた時しかない。その想像力がない大バカ者でもある。
起きたしまった戦争は力学関係に終始していく。結局はアメリカとNATOの力学にプーチンは飲まれてしまうしかない。