そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

責任を問われない大事故

2009-07-09 | 政治と金

Photo 福知山線の尼崎脱線事故に神戸検察が起訴した。JR西日本社長の山崎正夫を、業務上過失傷害罪で起訴をしたのである。会社のトップが起訴されたのではない。事故当時の安全対策の最高責任者であった、山本正夫を起訴したのである。運転手は被疑者死亡で不起訴にした。

この事故は、だれが見てもおかしな事故であった。周辺の私鉄との過激な時間競争が背景にあったのははっきりしている。スピードを落とす、尼崎駅に近づく辺りのカーブをなくし、スピードが出るその間に曲線を設けたのである。

職員は過当競争の教育を受けていた。「日勤教育」で、僅か数秒の遅れをなくすために社員を追いこんでいた。過密ダイヤと過酷な運転の強要である。この日も前の駅で20秒ほどの遅れを取り戻すために、若い運転手は急いだのであると思われている。

国鉄を民営化したのは、中曽根康弘である。国鉄が日本の復興に果たした役割は大きいものがある。満洲からの引揚者を職員として最も多く雇用したのも国鉄であるし、地方の産業復興を支えたのも全国に張り巡らした国鉄の鉄路であった。

文字通り国の鉄道として成し遂げてきた、国鉄の役割を評価することなく、民営化したのである。一つは労働組合対策として、もう一つは新自由主義者の中曽根の理念に基づいて、国鉄の民営化がなされた。

民営化されたJRが、近隣の私鉄や輸送会社との過酷な競争を職員に強いる結果になったのは、至極当然のことである。

会社全体が取り組むことになった競争は、今回起訴した一運転手や安全責任者の問題ではないはずである。会社全体が、安全より競争、社会的責任より収益を重んじたのである。この事故の責任者は、これに係わった会社のトップが運営方針の在り方として、問われるべき性質のものである。

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