2年ほど前、中国にアメリカの呼びかけで各国(EU、日、台など)が、半導体制裁をしてはみたものの、逆にファーウェイ(華為)やSMICなどの国内企業が、むしろこれを糧にし克服する勢いであるという。
中国最大の半導体メーカーであるSMICは、アメリカの制裁に逆らうように、ここ数カ月で高度なチップを製造しているようである。
14ナノの生産がこのところ、7ナノあるいは4ナノの大量生産に成功しているというのである。精度などいくつか問題がなくもないようであるが、そう遠くない時期にそれらは克服されるであろう。
先週、フィナンシャル・タイムズ紙は、SMICがファーウェイ向けに5ナノのチップを製造するための新しい生産ラインを設置していると報じている。
アメリカなどの制裁は思惑は外れ、かえって中国が世界最先端のチップを製造する能力を早める結果になってしまった。
EU各国などが、ウクライナ侵略に圧力を加えるようロシアに経済制裁を加えたが、ロシアやイランやアフリカ諸国を、ロシアに接近させることになっている。経済制裁の思惑は外れ、世界を分断する結果になってしまっている。
中国の半導体の制裁克服は、日本にとって最大の経済市場である中国との貿易を縮小させる結果になる。
経済制裁を加えてみたところで、それをテコに制裁を加えた国々が、新たな展開をすることも少なくはない。あるいは、世界最貧国の北朝鮮に制裁を加えても、ほとんど意味がないことも知らなければならない。
それはとりわけ、軍事関係でも際立って同じようなことが言える。軍事力を高め制裁や威圧をしたところで、相手国は更なる成長や取り組意を行うことになる。そして分断を産むだけである。
経済にしろ軍事にしろ、世界を対立関係の体制に導く旗振りはほとんどアメリカ主導で行われている。日本はその尻馬に乗ってどうするのであるか。中国への半導体制裁の教訓を学ばなければならない。