昨年8月のようやく外国兵を国外に追放したアフガニスタンである。これまでのアフガニスタンは巨大国家に蹂躙され続けてきた。アフガニスタンを支配したのは、イスラム原理主義のタリバーンと呼ばれる集団である。
1979年12月アフガニスタンに武力介入したのはソビエトである。ソビエト寄りの偽社会主義政権の擁護を目的の軍事介入である。ソビエトはチェチェンやグルジアなどのイスラム地区の若者を最前線に送った。冷戦下にあってもソビエトの軍事介入に疑義を持つ東側の国も少なくなかった。結局ソビエトは10年で追い出されるのであるが、社会主義体制の崩壊を早めたことになった。
その後はタリバンが政権の座に就いたが、女性たちは極端に虐げられ貧困が社会を支配する。
そしてアメリカが、9.11同時多発テロの報復に2001年に、アルカイダの討伐にやってきた。世界最貧国に無数の爆弾を落とし何の成果もなく昨年8月唐突にアメリカは出て行った。ソビエトの倍の20年かかった。
タリバーンは基本的には宗教団体である。経済には無関心であるが、女性の社会追放はご執心である。女性を社会的に締め出し教育を禁じた。(上の図は授業が停止になった学校に来た女子生徒たち)
世界各国から、経済制裁を受けることになるが、結局は貧困層が直撃されることになる。国内では北部同盟などの反タリバン勢力が真摯な国家建設を行っても、タリバーンの圧倒的な軍事力と非建設的な破壊行為でさらに深刻になる。
タリバーンはサウジの富豪の原理主義者たちを、ソビエトとアメリカが育成したようなものである。石油もなく資源も乏しく、安易な金銭収入の麻薬栽培がはびこり、国家の中にはタリバーンしか頼るものがなかった。
ペシャワール会の中村哲さんの支援あるいは事業も、しっかりとした教育を受けていなければ、彼らはまた宗教的圧力の下で、銃をとりかねない。
世界の超大国の戦場の場となった結果である。ウクライナ以上に世界はアフガニスタンを忘れてはならない。