参議院選挙の開票速報が進んでいる。自民党の微増と、民主党の減少とみんなの党の進出が目につく。これは菅直人がもくろんだことが失敗したと言って構わないだろう。消費税を打ち出し て、自民党との違いを打ちけすことと普天間とカネの問題を封じ込めることを考えたが、却って反感をかう結果になったようである。
物忘れの激しいのが日本人の特徴である。自民党と民主党があまり変わらなくなったようになったのは、自民党が自ら行ってきたことを封じこんで、野党として立派に攻撃に徹するようになったからである。ある意味、民主党政権のふらつきは自民党政治の尻拭いでもある。普天間にしても財政赤字にしても、何よりも官僚主導の政権は彼らをのさばらせてきたのである。今更、民主党政権を、どのようなつらを下げて批判できるのだと思うが、彼らにそのようなメンツはない。
野党に徹することで、彼らはもたつく民主党政権を批判する材料を自由に手に入れることができる。政治とカネの問題の本質は、政治家が業者から金を貰い、政治家が業者に事業を持ってくる。それを官僚がお手伝いをするとするのが、政治とカネの問題の本質である。それを、全く異なる形での政治とカネの問題にすり替えたのは、野党になった自民党とマスコミである。
その典型が、道路でありダムである。巨大な利権構造がそこにあり、それによって生活する庶民もそこにいるのも事実である。この利権構造こそが問題であるが、それを公共事業が来なくて仕事のなくなる庶民を盾に自民党が反論を加える。奇妙な話である、かつてはなかった構造がここにある。
今後民主党政権は、特別会計に手を入れるそうであるが、自民党政権下では決してできなかったことである。参議院選挙の、国民の意向はこうした中長期の視点すら容認することのない、短絡な選択を行ったことになる。誰がこの国をここまでしたのか、官僚をのさばらせたのか、財政を悪化させたのか、自民党政権の行ってきたことを思い起こすべきなのである。
それにしても昨年衆議院選挙で落選した、小泉チルドレンが比例区で復活している。自民党がお礼の意味で公認したのであろうが、参議院の存在を考えさせられる出来事である。参議院議員を政党から外すか、入閣をさせないとかさせなければ、存在意義すらなくなってしまう。