そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

無関税は極めて危険である

2011-01-12 | 政治と金

19852010 左の表は今月FAOから出された、この25年間の穀物取引価格の推移である。多少の変動はあるが、着実に上昇している。とりわけこの5年間の高騰が著しいことが解る。表は、大豆とトウモロコシと小麦をの価格変動である。突出しているのは2008年の夏の価格である。(クリックすると大きくなる)

25年前なら、1ドル130円ほどであったであろうか。30%以上も価格が上昇しても、日本の円高はこれを補っていたのである。穀物価格の上昇に日本全体が無関心であったのは、ある意味当然かもしれない。国民も政府も、日本の農業生産に危機感などなく、無関心、無策であったと言える。海外から買えばいいのだという考え方である。

この5年間の高騰には投機の対象になったこともあるが、何といっても人口が増えたことである。25年間で10億人増えている。この5年間では、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの後進国の人口増加に加えて、経済成長も著しいことが大きく関与している。

巨大な人口を抱える新興国の食生活が変わったことも大きい。人は裕福になると動物蛋白の質を変えてくる。昆虫や魚から鳥へ豚へそして牛肉へと階段を昇るのを、プロテインラダーと呼んでいる。鳥豚牛肉は、先進国では人と競合する穀物を大量に食べる生産するシステムに変換するようになる。

こうした要因に、昨日述べたように異常気象が拍車をかけているのである。昨509249898600x400年は、ロシアとオーストラリアの小麦、ブラジルのサトウキビといった具合である。彼らの商品は輸出産品である。我慢すればいいだけの経済的な問題である。食糧として依存し輸入する側は、深刻な食糧不足に陥る危険をはらんでいる。

こうした穀物価格の上昇は、お金のない途上国に打撃が多い。ものがなくなるだけではなく、高くなるからである。こうして、世界の11億人が飢餓状態になり、11億人が肥満に喘ぐことになるのである。ちょっと良質のお米なら輸出できるなどと言うような、短期的な極めて小さな話ではなく、食料全体が必ず不足状態になることを念頭にした対策こそ求められる。

債務赤字に陥っている日本が、いつまでも海外から食糧を買える補償はなにもない。こうした大きなグローバルな動きに逆らうような、無関税のTPP参入は極めて危険な判断であると言える。

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高騰する食糧価格が教えるもの

2011-01-11 | 政治と金

Faofoodpriceindex FAOが1月5日に、昨年の食糧価格を公表した。左は年次ごとの価格推移を月毎に重ねた表である。南半球と北半球で収穫時期が異なり、それぞれが反対側の収穫量を見込んで、生産するために穀物の世界価格は、一年の推移を見なければ判断が難しいためにこうした表が作られる。昨年は後半から以上異常に価格が上昇しているのが解る。Foodcommoditypriceindex

右は製品ごとの2年間の価格推移である。砂糖は新興国の需要が高まったために、上昇したのではないかと思われる。いずれの製品も確実に上昇している。昨年後半の食糧価格は、異常と言われた2008年6月の価格を上回っているのである。この時は、オイルマネーが大量に流れ込み価格を吊り上げた結果である。

今回の食糧高騰の原因は2年半前の人的なものとは明らかに異なる。世界各507740119600x400地の異常気象の産物である。とりわけ、7年も干ばつが続いていたオーストラリアで、今度は逆に洪水で農地が洗い流されているの509243375600x400_2である。乾燥 地帯が水浸しになる映像は異常に見える。

オーストラリアは、北半球のロシアの小麦の干ばつを受けて大車輪で生産するはずであった。ところが、2400万トンと言われる小麦の生産量は半量に落ち込む見込みであると言われる。

507742471600x400TPPのように海外に食糧生産を委ねる政策は、国民を目先の経済効果だけを理由にした愚策である。地球は温暖化しつつあるが、明らかに各地で異常気 象を引き起こしている。農業はこうした地球的変化を直接受ける産業である。そして、食料は誰もが欠かすことのできない商品である。今回の食糧高騰はそれを教えてくれている。残念なのは、円高で国民に実感が薄いことである。

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スマートフォンにしてみたが

2011-01-10 | 政治と金

携帯電話を購入した頃、当地ではauが電波エリアは広いので迷わず選んだ。以後、機能がいっぱいになったり不具合が生じたりと、機種の変更をした。それでIs03 もこの10年で3台目だから頻繁ではないと言える。ほぼ3年使っていた携帯電話の更新をするべく、新発売のスマートフォンにしてみた。旧番号を全て使えるという話だったので、安易に飛びついた。申し込んでから一月かかってきた。

購入しては見たものの、これは携帯電話ではないことが解った。通信機能が携帯電話に比べて、極めて扱いにくい。これは携帯電話と呼ぶに相応しくない。旧携帯の住所録の分類機能が3通りあったが、フリガナしか分類だけといえる。電話のかけ方も受け取り方も、手順が増えて一呼吸必要になった。仕事に支障が生じるほど、不便になった。もう少し慣れればこの辺りはかなり克服できるかもしれないが、電話機能はかなりダウンしたと見るべきである。

スマートフォン最大の特徴であるタッチパネルであるが、高齢者あるいは北国には向いていない。ある程度の温度が指先になくてはならないからである。極寒の時などは、指先が氷のようになっていてパネルが感知しない。それと若者ほど指先が潤んでいないこともあるらしく、一旦指先を口に含むと感知してくれる。

写真のように幅が広いので、旧携帯電話のように片手で操作が出来ない。ましてやタッチパネルの表示が細かく、親指はもちろん小指の先などで、しかも持っていない方の手の指を使わなければならない。両手が必要になる。何かのはずみでちょっとでも触れると、反応してくれる。不用意に触れた時には、タッチしたところが解らないことが多いので厄介である。

本体の価格などが良く解らない。7万円ほどの正価を示されたが、なんだかいろんな特典を紹介されて、面倒だからすべて受け入れたら、半額以下になった。何よりも、店員教育がなっていなくて、機能については全く理解していないようであった。購入して3週間ほど過ぎたが、現在では店員の何倍も私の方が詳しくなったと思われる。

それでも、全体の機能については解らないことが多すぎる。コンピューターの通信機能や、新しいソフトやシステムを理解していないと、説明書が理解できない。プレインストールのソフトや通信機能が多くて、類似の機能の区別が良く解らない。説明書にはもちろんない。wi-fi機能など自動設定になっているものが多く、自動でできない場合などは手動にする術がない。

電池機能が不十分のようである。一日一回は充電が必要になる。それでも暫しの我慢と持ち歩くことにしている。更にもう一つ。携帯電話と異なり盗難にあうことが多いそうである。保管方法など要注意事項である。通話料が一体いくらになるのか、恐くもあり請求書が見ものである。

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自らの手で築く、スーダン、イラク、アフガン

2011-01-09 | イスラエル

イラクとアフガニスタンは、アメリカの一方的な軍事侵攻で国家として、政治、経済、治安などで最悪の状態にある。夕方、BS11でアフガニスタンに直接かかわる3名の方の討論番組があった。いずれもアフガニスタンの内情と現実を知る方たちであった。異口同音に、タリバン統治時代の方が安全であった。少なくとも命の不安はなかったと言うのであっる。同様にイラクでも、フ110109 セイン時代の方が安全であったことは間違いない。

国民の人権の侵害や言論の弾圧や、独裁者の利権など数多くあった。それでも治安だけは保障されていた。その治安をアメリカ軍に頼っている現政権の存在は否定できない。しかし、イラクの国民も、アフガニスタンの人たちも、アメリカ軍などの撤退、国外退去を望んでいる。他国の介入によって好転した例を、日本に求めてはいたが、かなり状況は異なる。自らん国には自らの手で治めるのが本来の在り方である。

アフリカ最大の面積を誇るスーダンの内戦は泥沼であった。2005年に締結した和平合意はほとんど意味をなしていなかった。北部のイスラム圏地域に政府の機能が集中している。南部のキリスト圏地域は、油田が多くあるがナイルにかかる橋は一つしかないなどインフラ整備が遅れている。今日この国で南部の独立投票が行われる。

多分南部地域は独立することになると思われる。。現体制は長年の非人道的な内紛による経済制裁の解除を、南部の独立で得られる。社会資本もなくあらゆる機能が、北部のイスラム側に握られていた地域である。彼らに独立後の見通しがあるわけではない。唯一あるのは、油田の権益である。これが国家建設の頼みと言える。

中国はすでに巧妙に西側のダルフールからかかわりを持って食い込んでいる。アメリカの独立支援も、油田権益であることは見え見えである。それでも彼らは独立を望むのである。何もなくてもあるいは、他国の論理で合理的と思われることでも、自らの手で築き上げてこそ国家であると言える。国家とは部外者が、良かれと思って介入するものではないのである。

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韓国口蹄疫の拡大と鳥インフルエンザの発生

2011-01-08 | 獣医師

韓国の口蹄疫の拡大が止まらない。7日現在で。殺処分された家畜が100万Photo 頭を超えた。韓国では昨年6月に終息宣言をしたばかりで、11月に再発が起きて40日を越えたが、拡大が止まることをしらない。慶尚北道に始まり、韓国の中 央部から、北朝鮮との境界まで広がっている。

11月28日以降で、発生農家が99事例となって、殺処分農家が3096戸で対象家畜は、107万5015頭になった。獣医師不足や初期対応などに問題があった言われている。12月25日からワクチ02ン接種を行っているが、対象家畜の6割にも満たない現状である。

ところがここに来て、7日に口蹄疫の清浄地域の南部から、鳥インフルエンザの発生が全羅南道の鴨農場で発生があり、半径500メートルの農場の鳥が8万4000羽が処分された。発生農家で異常があったのは12月28日であったから、10日間も放置されたことになり、初動対策が不十分であったことになる。この他渡り鳥でも高病原性の鳥インフルエンザが確認されている。周辺は養鶏地帯であり、今後の発生が憂慮される。

大陸との交流が格段に日本より多い国である。口蹄疫にはほとんど無策の中国やモンゴルからの、人的な持ち込みが懸念されている。大型経営や家畜の移動などが更に閣下させる原因になっているのではないか。韓国の畜産の基盤が大きく揺らいでいる。

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TPPを誰が望むのか

2011-01-06 | ドーピング

自由貿易が大原則のように、巷間言われている。自由貿易こそが世界を発展させるのだと。消費者には安価なものが提供され、利益を受けるのが自由貿易だというのである。消費者が政治を動かす主体なる事はない。消費者は王様だともてはやされたりもするが、結局は生産構造を握るものが社会体制の主体になり法を作り制度や規制を設けるのである。

自由貿易についても同じである。生産者の利益の模索に過ぎない。自国の産業の強化が前提である以上、どのような国家も自国の産業の発展のための自由貿易である。その自由貿易も建て前であることが多く、実際には国内で良いだけ保護して、輸出産業に仕立てているのである。

日本の自動車産業が輸出奨励の多額の免税処置を受けているのもその一例である。アメリカの農業などは、常に政府へのロビー活動を絶やすことがない。外見上はFTAであってもEPAであってもあるいはTPPにしても、自国産業については基本的に保護主義を貫いている。自由貿易の究極の形と思われる、多国間でTPPが行われるようになるとこうしたことが必ず矛盾として吹き出してくる。自国産業への保護主義が台頭するからである。

そのことに気が付いているのが、EUであり中国である。世界各国為政者は、ぜい弱な政権基盤をもてあまし、内政ばかりに取り組まなければならない状況である。内外無差別は、制度まで及ぶのは時間の問題である。自由貿易は強者が市場を制するのではなく、弱者が収奪されるのである。その結果、強者に資本が集中することになる。

近代国家あるいは政治体制は、人権の擁護と富の分配が大原則である。自由貿易は、こうしたものを一方的に破壊してしまう。あるいは、経済力のない地域もしくは国家を疲弊させることになる。格差が増大するためである。

21世紀は自由経済などと言う、乱暴なグローバルな経済体制を作り上げることではなく、地域ごとの自主性、自立を推進する社会の仕組みを作っていかなければならない。環境問題にしても食料問題にしても福祉活動にしても、自らの手の届く範囲の中で、生産し規制し支え合うことが必要である。

大量生産される農産物もエネルギーも必ず矛盾が生じることを、人類は20世紀で学んだはずである。同じく大国は必ず軍事力を誇示し、資源国家や地域に対して紛争を起こすことを、20世紀で学んだはずである。そして、軍事力が紛争を解決しないことを、イラクやアフガニスタンから、アメリカも学んだはずである。21世紀は地域の活動から世界を作り上げる社会にしなければ、未来は展開しないと思われる。

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TPP論議は普天間のわび状である

2011-01-05 | 政治と金

菅総理が9月の所信表明で表明した、TPP受け入れ論議は誰の目にも唐突で奇異ですらあった。そもそもTPPとは、シンガポールとニュージーランドのFTA(自由貿易協定)でしかなかた。これにチリとブルネイが加わって、現在P4と呼ばれている。これに、昨年アメリカが加わった。

アメリカ参入の目的は、経済成長著しい中国とインドにあやかるために東南アジアへの進出であった。オバマはその足掛かりに日本を必要としているのである。インドも中国もTPPへの参加は不透明である。オバマは、TPPをFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)へのステップであると表明している。

TPPそのものは、協定ではない。原則がないのである。あえて原則と言えば、無関税とすることが、原則である。と言うよりも唯一の思想である。あらゆる品目で関税撤廃がなされなければならない。唯一論議となるのは、工程への時間である。EUもロシアも中国もこれを容認していない。

TPP交渉で最も日本の相手となるのが、アメリカである。アメリカは日本に求めている最も大きな撤廃は、郵政事業の民営化である。アメリカが参入したいのは、郵便事業ではなく保険と貯金である。民主党は郵政改革案を、連立の国民新党とどう折り合いをつけるのだろうか。政策矛盾を抱えたままで民主党政権は立ち行かなくなるのではないか。

アメリカにとって最も美味しいのは、日本国内の事業参入である。そのためのゆう貯の開放であり、牛肉の規制撤廃である。アメリカあらゆる制度について、内外無差別を主張する。この中には公共事業もあり、すでに英文での事業案内を要求している。

なぜこうも唐突に、民主党政権はTPPを打ち出したのであろうか。それはm普天間でもめた日米関係の修復にある。アメリカへの謝罪であると言える。民主党政権が、東アジア構想や普天間に海外移転を口にしたが、それらはアメリカに大きく不安を与えるものであった。

菅政権になってからは、これらの政策を大きく転換させ、日米同盟の深化を打ち出し、自民党政権以上にアメリカに依存する体質を露わにした。その一つが、TPPである。そうして見ると、菅首相の発言は唐突ではなく、一つの過程であることが見えてくる。

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なぜ世界の半分が飢えるのか

2011-01-03 | 農業と食

『世界の半分がなぜ飢えるのか」(食料危機の構造)朝日新書を読んでから、もうすでに30年経つだろうか。著者のスーザン・ジョージ女史は、世界各地を飛び回って、食料問題を提起していた。私の食糧問題に対する原点ともいえる本である。調べてみると1976年刊とある。女史の提言から世界の食糧事情は全く変わっていない。むしろ悪化している。

地球の人口は当時より10億人増えた。だから飢餓人口が増えるのも当然という、直感的な一面では問題を理解できない。食糧そのものは、この間着実に伸びているからである。女史の訴えは、富の偏在にある。北(先進国)が、南(後進国)の食糧と資源を収奪するからである。その世界的なシステムを作ったのが、北であるから当然である。

北が作ったシステムとは、世界銀行をはじめとした自らが富を得るシステムであり、食料の市場をグローバル化する市場原理である。女史の提言から変わって来たのは、環境の悪化と南の国々が富を蓄え始めたことである。富は国家間から国家内に偏在し始めた。

インドは2億人の飢餓人口を持ちながらも20億ドルもの、小麦や米を輸出している。飢餓の象徴的な国のバングラディッシュさえ、食料は不足してはいないのである。ブラジルも同様である。世界最大の穀物生産国のアメリカでも、常時3000万人が飢えているのである。

日本など先進国の食糧援助で救われるのは、国内の供給する側にある人たちである。援助物資は飢える人まで回っていないのが現状である。海外援助よりも南の国に押し付けた、債務を帳消しにする方がよっぽど現実的である。が、債務を押し付けることで援助がなりたつ以上、それはかなわないことだとスーザン女史の指摘は健在である。

国家間の賃金に格差がある限り、富を求める資本は彼らを利用し詐取する。自由経済がこれを促進させる。先進国の農民の賃金は、途上国の農民の賃金と競争させられるのである。TPPは食糧問題に最悪の結論をもたらすことになる。

食糧は援助ではなく、彼らが自賄いすることでしか未来がない。仮に援助が一時上手く行っても、生産構造やそれに伴う流通などが整備されない限り、食料問題は解決しないのである。

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高峰秀子を悼む

2011-01-02 | 政治と金

高峰秀子が亡くなった。彼女は戦後日本の銀幕を飾った、まぎれもない大女優である。数多くの名作で多くの主役を演じながら、引退をきっぱり宣言した後は、Photo あらゆる俗世間のものを断ち、立つ鳥跡を濁すことなく去って行った。人間としても、見事な生き方である。

2年ほど前に、別海9条の会で「二十四の瞳」を上演した。この過疎の町で、百人もの観客が集まった。壷井栄の原作が優れていることももちろんある。木下恵介の脚本の素晴らしさもあったことであろう。幼いころ見た記憶があり、その後田中裕子たちによるリメイク版やアニメも見たが、50年経ってみた24004 木下恵介監督の高峰秀子の、大石先生がピカ一である。

白黒作品で2時間40分もの間、小学生を含め立つ人が一人もいなかったのである。作品中で歌われる童謡は、ほとんどが3番まで歌われていた。当時の背景の中、若々しさとベテランになった教師を見事に演じ切っていた高峰秀子に驚かされた。

戦前の子役時代も含め、数多くの監督に恵まれたもの大きい。成瀬巳喜男で「浮雲」「喜びも悲しみも幾歳月」など、小津安次郎「宗方姉妹」、豊田二郎の「雁」など、夫松山善三の「名もなく貧しく美しく」など、稲垣浩の「無法松の一生」、増村保造の「華岡青洲の妻」、その他今井正、山本薩夫、小林正樹、五所平之助と、名だたる監督はことごとく彼女を使っている。

引退後は、エッセイストとしてきっぱりした表現で、多くの本を出している。自らの自画像を全て寄付したのは、一昨年だったろうか。トロフィーなどあらゆる表彰されたものは、寄付や廃棄をしている。華やいだ人生を、見事に括って最期を迎えている。彼女を作品の中と本だけで評価して、ご冥福を祈りたい。

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弱者をいたわる社会に

2011-01-01 | 政治と金

明けましておめでとうございます。このブログを開いてから、もうすぐアクセス数が40万件になります。2年ほどで辞めるつもりの遊び感覚でしたが、4年を越えて次第に自分自身を励ます格好になってきています。一貫して弱者の立場と思って、あるいは時には思いこんだりして、様々な指摘の上今年はもう少し形をよくしたいとも思っています。

LCC(格安航空会社)が何故安価なのか、都会の人たちは考えていただきたい。郵便料金が、隣へ配達しても沖縄に郵送されても全く同じ料金である。かつて、国鉄が、常時満員の山手線も数人しか乗らないローカル線でも、料金は距離で設定されていた。書籍や化粧品には再販制度があり、全国同じ料金、定価が設定されている。これは僻地や、地方にとってありがたいことである。

LCCが格安と言われるのは、運営方法など企業努力もあることは認めるが、彼らはドル箱の路線しか飛ばない。常時機内を満席に出来る、路線でしかこうした会社の存続は無理なのである。こうして、彼らと競争することになる一般の航空会社はサービスなどを前面に出すものの、競争可能な価格に設定せざるを得ないのである。

その結果、地方の航空路線は犠牲になってしまうのである。自民党時代に、地方議員のメンツと土建屋のために、赤字の路線が際限なく建設された。こうした負の遺産はあるものの、地方の路線は人口の過多が利用者の数に比例し、赤字を理由に廃止され、地方をさらに疲弊させるのである。地デジも携帯電話も同じである。見ることが出来ないところが残されたまま、少人数を理由に切り捨てる。

正確に表現すれば、書籍や医薬品などに再販制度が残っていると言える。かつては、定価として全国一律の価格が設定されていたのである。価格破壊と称する経済活動の大波が、これらを飲みこんでいったのである。地方は賃金も安く人口も少ない。地方の人件費は低く物価は高いという現象起き、マイナスのスパイラルとして地方の疲弊は進行するのである。

我々が都会より格段にうまい魚介類や畜産物を食べていると粋がっても、それが主流であるはずがない。価格破壊を多くの人は支持するが、結局そのしわ寄せは地方に来ているのである。ネット販売は、こうしたなかかで利用する我々にとっては有難い存在である。しかしながら、売れない商品を並べる店舗は減るばかりである。ブログも地方もは、大変ありがたいツールでもある。

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羅臼港

春誓い羅臼港