詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

どさくさの「改憲案」(2)

2018-03-08 10:45:38 | 自民党憲法改正草案を読む
どさくさの「改憲案」(2)
             自民党憲法改正草案を読む/番外182(情報の読み方)

 2018年03月08日の読売新聞朝刊(西部版・14版)の一面に自民党改憲案の「続報」が載っている。見出しは、

災害時対応/国民義務規定 見送り/自民改憲案 内閣が緊急政令

 07日の夕刊の見出しは、こうだった。

大災害時 内閣が緊急政令/法律と同等 自民、改憲案明記へ

 「内閣が緊急政令」はすでに見出しになっているの。だから「国民義務規定 見送り」を見出しにしたということなのかもしれないが、どうも腑に落ちない。
 「2012年の自民党改憲案」では「緊急事態条項」の新設が批判を集めた。特に、

緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。

 の「義務規定」が批判された。
 そういう「経緯」もあって、「国民義務規定 見送り」ということになったのだろうが、これはなんとも「ずるい」アピール方法である。
 批判を浴びた「国民義務規定を外したから、緊急事態条項に問題はない」と錯覚させる。緊急事態条項については、もう議論は必要がない。議論はすんだ、と錯覚させることをねらったものだろう。
 こんな「手口」に簡単にのせられ、それをそのまま「見出し」にしてしまう(ポイントは、ここ)と紹介してしまうのは、あまりにも危険ではないだろうか。
 「見送り」もなにも、「緊急事態条項」も「国民の義務規定」も、現行憲法には存在しないことを忘れてはいけない。
 記事には、国民の義務規定」は、

他党や国民からの反発が予想されるため、執行部案に入れなかった。

 と書いてある。
 これは、言い換えると「緊急事態条項」を盛り込んだ改憲案を成立させるために、今回はとりあえず除外したということに過ぎない。
 「緊急事態条項」をいったん憲法書き加えれば、条文は次々に増やされていくだろう。

 また、第災害時、国会が開けない。必要な法律をつくっている時間がない。だから政府の権限を強化し、「緊急政令」を出せるようにするというのは、もっともらしく見えるけれど、「平時」から逆に見ていく必要がある。
 昨年の通常国会のあと、安倍は、野党の要求にもかかわらず臨時国会を開かなかった。森友問題、加計問題の追及を恐れたからである。やっと秋に臨時国会が開かれたかと思うと冒頭解散で、実質的には開かれなかったに等しい。
 国会を開かない、議論をしない、というのが安倍独裁政権の特徴である。
 「災害時対応」というが、何を「災害」というのか。「安倍辞めろ」デモが国会周辺で繰り返されれば「安倍にとっての災害」ということで、「政令」で取り締まりをするということが起きるかもしれない。
 「政権に権限をあたえる」のが憲法ではなく、政権の暴走をとめるのが憲法である。
 「国民に義務を課す」のが憲法ではなく、「政権に義務を課す」のが憲法である。
 自民党の改正案は、憲法の理念を逸脱している。





#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
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