詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

道の左側で

2015-03-19 01:07:10 | 
道の左側で

ゆるやかに下る道の右側で
三月の雨が、残った梅の花びらを散らすとき、
ゆるやかに下る道の左側で
三月の雨が、こぶしの花びらを押し広げる。

残酷とやさしいの定義はむずかしい。
もし散っていくことが残された美しさならば梅に降る雨はやさしく
淡い色のなかに隠しておきたいものがあるのなら、
握りしめた指をほどくように説得する雨はこぶしには残酷だ。

三叉路の角にはミモザが垂れ下がり、
三月の雨を、まだ眠ったままのアロファロメオのボディーのうえに
小さなメロディーのように流しているのは無頓着で

カーブミラーの汚れた曲面が
石垣の一個の石は必ず六個の石と接触しなければならないという法則を
映し出すのは傲慢だろうか。






*

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