道の左側で
ゆるやかに下る道の右側で
三月の雨が、残った梅の花びらを散らすとき、
ゆるやかに下る道の左側で
三月の雨が、こぶしの花びらを押し広げる。
残酷とやさしいの定義はむずかしい。
もし散っていくことが残された美しさならば梅に降る雨はやさしく
淡い色のなかに隠しておきたいものがあるのなら、
握りしめた指をほどくように説得する雨はこぶしには残酷だ。
三叉路の角にはミモザが垂れ下がり、
三月の雨を、まだ眠ったままのアロファロメオのボディーのうえに
小さなメロディーのように流しているのは無頓着で
カーブミラーの汚れた曲面が
石垣の一個の石は必ず六個の石と接触しなければならないという法則を
映し出すのは傲慢だろうか。
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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もし散っていくことが残された美しさならば梅に降る雨はやさしく
淡い色のなかに隠しておきたいものがあるのなら、
握りしめた指をほどくように説得する雨はこぶしには残酷だ。
三叉路の角にはミモザが垂れ下がり、
三月の雨を、まだ眠ったままのアロファロメオのボディーのうえに
小さなメロディーのように流しているのは無頓着で
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石垣の一個の石は必ず六個の石と接触しなければならないという法則を
映し出すのは傲慢だろうか。
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谷川俊太郎の『こころ』を読む | |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 | |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。