詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

食品ロスとコンビニ

2019-05-18 08:59:28 | 自民党憲法改正草案を読む
食品ロスとコンビニ
             自民党憲法改正草案を読む/番外266(情報の読み方)

 2019年05月18日の読売新聞(西部版・14版)の一面。

食品ロス コンビニ動く 大手3社が次々対策

 という見出し。売れ残り食品を廃棄していたが、値引き販売は始めるという。記事の書き方は見出しにあるように「食品ロス」対策。食品ロスを少なくするというのは確かにいいことなのだが、ほんとうに無駄に対して意識が強まってそうなったのかどうか。
 むしろ、この背景にはアベノミクスの失敗、つまり「不景気」があると見なければならないのではないか。不景気(売り上げが伸びない)と書けば、安倍批判につながる。だから、そうは書かずに環境問題にすりかえて報道している。そう思えてならない。
 3面には解説。

コンビニ戦略 転機/「24時間」見直し・食品値引き

国内6万店 飽和状態/人手不足 深刻

 「食品ロス」のことも書いてあるが、ポイントはいちばん最後の見出し。「人手不足」だ。
 なぜ、人手不足?
 労働人口が減っている。これは、もっともらしい「説明」。でも、「説明」というのは、どんうなふうにしてでもつけることができる。「説明」はいつでも「後出しジャンケン」である。
 人手不足なのは、簡単に言えばコンビニの店員の給料が安いから。
 最近は、どのコンビニへ行っても外国人労働者ばかりである。外国人労働者の方が賃金が安いからだろう。外国人労働者と同じ賃金だと日本人が集まらない。これが人手不足の要因。
 コンビニ店員の時給を2000円に上げてみればいい。日本人が殺到するだろう。
 時給2000円を払っていたら経営が成り立たない。なぜが。ものがそんなに売れないからだ。これも不景気(国民の所得が減っている)からだ。
 簡単に言いなおすと、アベノミクスが「悪循環」に入り込み、もうどうすることもできなくなった。低賃金で労働力を確保するのも、もう、限界。だから「24時間」も見直せば、「食品値引き」もする。そうやって、少しでも労働力不足と売り上げを維持する。
 入管法を改正し、外国人労働者受け入れを進めようとしているけれど、日本の劣悪な労働環境(使い捨て)が外国人にも知れ渡り、日本で働く人が増えない、ということだろうなあ。入管法は改正されたばかりだが、「効果」をみきわめる「眼力」は現場の経営者の方が鋭いということだろう。安倍の「机上の空論」(嘘だらけのアベノミクス)にさっさっと背を向けて生き残り作戦に転換したということだろう。
 その端的な「証拠」がセブンイレブンの「値下げ」が誰に対しても値下げするのではなく、電子マネー「ナナコ」の所有者へのポイント還元という形をとっていることでもわかる。「値下げ」ではなく、客の「囲い込み」、次も来たら「ポイント」がつかえますよ、というだけ。ほんとうに「食品ロス」対策なら、誰に対しても「値下げ」し、売れ残りを減らすべきだろう。「食品ロス」対策ではなく、それを看板に「顧客確保作戦」を始めたということ。

 身近なコンビニがこうなのだから、人目に触れにくい職場ではもっといろんなことが進んでいるだろうなあ。進むだろうなあ。
 「改元」でいくらあおっても、不景気は「表面」の問題ではない。
 「不景気」を「食品ロス(環境問題)」とすり替えているようでは、もうどうしようもない。トヨタの社長が終身雇用に疑問を投げかけたり、パナソニックの社長が感謝の存続に疑問の声を上げたり。どこもかしこも悲鳴を上げている。
 これからますます労働者の賃金は下がる。経済崩壊が、市民の目にも見える形で始まったのだ。

 しかし、思うのだが。
 新聞は、こんな形で「不景気の問題(アベノミクス失敗の指摘)」は、「食品ロス」対策を書いたととき「人手不足」の問題として触れておきました、というような「証拠づくり(アリバイづくり)」ような書き方を、もうやめるべきだ。
 きちんと問題点を解説すべきだ。



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