橋場仁奈『空と鉄骨』(荊冠社、2017年06月14日発行)
橋場仁奈『空と鉄骨』は奇妙な詩集である。
引用しているときりがないが、詩の世界がつながっている。詩集は、まあ、何篇かの詩で世界を描いて見せるというものだから、そこにつながりがあるのは当然なのだが、その「つながり方」がしつこい。
少しずつかわっていく。その変化をつうじて世界が広がっていくのだけれど、しゃきっとしない。「完結」というか、「結晶」というか、そういうものと無縁である。だらだらした「長編小説」のようである。
前の詩で読んだようなこと、ことばがつながりながら、また別なことばとつながっていく。世界ははりめぐらされた電線でつながっていく。
それで、その結果、どうなるの?
うーん、そんなことは、どうでもいいんだろうなあ。つながっているということを書きたいのだろう。
つながりながら、
この感じなのかなあ。中途半端。不安定。不安定だから、さらにつながるのか。
よくわからないが、あ、こんなふうなだらだらとした書き方があったのか、と驚いた。詩というものに対する「常識」をたたき壊された感じ。
めんどうくさい感じ、はやく終わってくれないかなあ、と思いながら、他人の話を聞いている感じ。この終わらない感じがこのひとの特徴なんだなあと思いながら、じっと耐えてことばを聞いている感じ。
あ、否定的なことばばかり並べたけれど、否定的なことばでしか語れない妙なおもしろさもある。
橋場仁奈『空と鉄骨』は奇妙な詩集である。
ある日、のびてくる
何もない空からのびてくる
からんとした空の向こうから
高く細くきらきらと鉄骨はのびて
斜めにななめにやがてロープが1本、下りてくる (飛び散る午後)
空の空き地を見つめていれば
鉄骨はのびてきて
すこしずつ斜めになって
向こう側からこちら側へアームは回され
梯子は回され雪の舞い散る空から
ロープが1本吊り下がっている (空と鉄骨と1本のロープ)
朝、鉄骨はのびて
するすると梯子はのびてロープはゆれる
ゆれてぶら下がっている (朝、鉄骨はのびて)
おはよう鉄骨、
おはよう鉄骨、長い休みのあいだ
折りたたまれていたけれど
今朝はのびてくる青葉の中からのびて
高く細くするすると中空へとのびて
やがて斜めになってロープが下りてくる (GW)
引用しているときりがないが、詩の世界がつながっている。詩集は、まあ、何篇かの詩で世界を描いて見せるというものだから、そこにつながりがあるのは当然なのだが、その「つながり方」がしつこい。
少しずつかわっていく。その変化をつうじて世界が広がっていくのだけれど、しゃきっとしない。「完結」というか、「結晶」というか、そういうものと無縁である。だらだらした「長編小説」のようである。
前の詩で読んだようなこと、ことばがつながりながら、また別なことばとつながっていく。世界ははりめぐらされた電線でつながっていく。
それで、その結果、どうなるの?
うーん、そんなことは、どうでもいいんだろうなあ。つながっているということを書きたいのだろう。
つながりながら、
吊り下げられている
この感じなのかなあ。中途半端。不安定。不安定だから、さらにつながるのか。
よくわからないが、あ、こんなふうなだらだらとした書き方があったのか、と驚いた。詩というものに対する「常識」をたたき壊された感じ。
めんどうくさい感じ、はやく終わってくれないかなあ、と思いながら、他人の話を聞いている感じ。この終わらない感じがこのひとの特徴なんだなあと思いながら、じっと耐えてことばを聞いている感じ。
あ、否定的なことばばかり並べたけれど、否定的なことばでしか語れない妙なおもしろさもある。
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