△ソウル大林洞(Daum地図ストリートビューより)
1993年に始まった韓国の外国人産業研修生制度(ビザ区分=D3)は、
10年後の2003年には外国人単純労働者の新しい受け皿となる外国人
雇用許可制(E9)へとシフトした。
△中国への宅配を受け付ける事務所(Daum地図ストリートビューより)
そして、2006年には雇用許可制と並行し、別途、朝鮮系中国人(朝鮮族)を
主とする在外同胞のみを対象にした訪問就業制度(H2)を新設した。
△F4資格を強調する行政書士事務所(Daum地図ストリートビューより)
このH2は、25歳以上の在外同胞を対象に3年間(1年10か月の延長
可能)の韓国滞在と単純労働への就業を認める、というもの。
△事務所の窓で在留資格の説明①(Daum地図ストリートビューより)
その後、2012年には、同じく在外同胞のみを対象にした在外同胞
ビザ制(F4)が加わった。
△事務所の窓で在留資格の説明②(Daum地図ストリートビューより)
F4は、本来、有資格者や高学歴者、一定規模以上の事業主、60歳以上の
高齢者などを対象に、単純労働への就業を認めない代わりに、3年ごとの
更新義務を果たせば無期限で韓国在留を認めるというものだった。
△事務所の窓で在留資格の説明③
しかし、現在、就業制限は大きく緩和されているので、在外同胞に
とっては、実質、永住権(F5)に近い意味を持つ在留資格に
なっている。
参考までに、韓国で永住権を取得すれば、当然、就業制限や更新の
必要はなく、取得後3年が経過すれば選挙権も認められる。
△不法滞在者にH2、F4取得を呼びかける事務所(Daum地図ストリートビューより)
近年、韓国で急増している朝鮮系中国人のほとんどは、上記のF4と
H2ビザの所持者と、その家族だ。
法務部の資料によれば、2016年7月末現在、F4(在外同胞)ビザ所持者が
35万5000人、H2(在外同胞訪問就業)ビザ所持者が27万人に上って
おり、そのほとんどが朝鮮系中国人だ。
△F4取得には一定の韓国語能力が求められる?(Daum地図ストリートビューより)
Daum地図のストリートビューでソウルの朝鮮系中国人の街を観察して
いると、多種多様な中国料理店に混じって、多くの行政書士事務所や
職業紹介所、旅行店が目につく。
△地下鉄大林洞駅近くの職業紹介所①(Daum地図ストリートビューより)
在留資格を延長したり変更しようとすれば、行政書士の手助けが
必要となる。
△地下鉄大林洞駅近くの職業紹介所②
また、とにかく生きていくためには何より仕事が必要だ。
そして、故郷と往来するためには飛行機や船、列車のチケットも
必要になる。
(終わり)
過去、韓国の中華街と言えば、近代以来の歴史を持つ、インチョン
(仁川)港とプサン港の2大中華街が有名だった。
△韓国の新8大中国人街
しかし、朝鮮族(朝鮮系中国人)を中心に、韓国に在住する
中国人が100万人を突破した現在(104万5533人、2016年7月
法務部)、京仁工業地帯(ソウルから仁川につながる韓国屈指の
工業地帯)の各所で、主に大規模な工業団地の周辺に、過去に
類例を見ない規模の中国人街が新しく形成されつつある。
ここでは、Daum地図の地名(店名・施設名)検索とストリート
ビューを活用し、韓国の新8大中国人街を紹介する。
■ソウルの加里峰洞、大林洞
Daum地図の検索では、各種施設やレストランなどの店舗も検索対象に
なっているので、「延吉」や「延辺」などのキーワードで、全てでは
ないにしろ、かなりの数の施設、店舗が検索に引っかかる。
当然、当ブログで既に紹介済みのソウルの加里峰洞(九老区)や
大林洞(永登浦区)には、例えば、「연길(延吉)」の検索に
引っかかった施設や店舗が密集して現れる。
(関連ブログ記事 ① ②)
では、加里峰洞や大林洞以外に、こうした地域はないのだろうか?
それが、あるのだ。
■ソウル市広津区紫陽洞
ソウル市内に限って言えば、3大中国人街の一つ、ということに
なるだろう。
△紫陽洞の中国人街
加里峰洞や大林洞とは、また雰囲気の異なる大規模な中国人街が
存在するのが、広津区の紫陽洞だ。
隣接する華陽洞(広津区)や聖水洞(城東区)の工場団地(縫製
工場中心)で働く朝鮮系中国人を中心に形成されてきた街だという。
△紫陽洞の中国人街
この街にも、中国の華北や東北で人気の「美国加州牛肉面大王」が、
しっかり店舗をかまえている。
なお、同じくソウル市内で加里峰洞や大林洞と並び中国人住民が
多い街として知られる奉天洞(冠岳区)には、なぜか大規模な
中国人商店街がない。
すぐ近くに大規模な中国人商店街が存在しているので、その必要性が
ない、と言ったところなのだろうか。
■京畿道安山市、始興市、水原市、華城市、城南市
ソウル市近郊の京畿道でも、いずれも大規模な工業団地の周辺に、
かなりの規模を持つ中国人街が5地区で形成されている。
△安山市の中国人街
Daum地図で確認する限り、京畿道では、安山市の中国人街の規模が
最も大きい。
△安山市の中国人街
例によって、この街にも「美国加州牛肉面大王」の店がある。
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安山市に隣接する始興市にも中国人街が存在する。
規模はやや小さい。
△始興市の中国人街
それでもストリートビューの特定のカットだけを見ると、そこは、
まぎれもなく中国である。
△始興市の中国人街
例に漏れず、この街にも「美国加州牛肉面大王」の店舗がある。
・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
京畿道の道庁所在地である水原市にも中国人街が形成されている。
△水原市の中国人街
密集度はそんなに高くないが、水原駅近くの1本の通りに集中して
中国人店舗が存在する。
△水原市の中国人街
当然のごとく「美国加州牛肉面大王」もある。
△水原市の中国人街
変わったところでは、「毛主席小串」は水原にしかない。
・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
次に華城市。
△華城市の中国人街
この街も、規模はそんなに大きくないが、かなりの数の中国人
店舗が存在する。
△華城市の中国人街
「美国加州牛肉面大王」もちゃんと存在する。
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最後に、ソウル近郊に戻って城南市の中国人街。
△城南市の中国人街
この街にも、小規模ながら、かなりの数の中国人店舗が密集している。
△城南市の中国人街
ただし、残念ながら(?)、この街では例の「美国加州牛肉面大王」を
確認することはできなかった。
(終わり)
天然の地勢にがっちり守られた港湾内の埋立地ならいざ知らず、
外洋に直接面した港湾外の海岸の、しかも海抜高度の低い埋立地の
岸壁近くになど、普通、誰も家など建てない。
特に、目の前に広がる海域が台風の影響による高潮や高波の起きやすい
「凶暴な海」となれば、なおさらのことだ。
△釜山市海雲台マリンシティーの威容(10月6日 SBS 8NEWSより)
ところが、韓国の財閥(ここでは現代、斗山など)は、そういう
事情を知ってか知らずか、そういう危険な場所に、プサンでも最高級の
超高層マンション街を作り上げた。
△10月5日午前、台風18号に見舞われるマリンシティー(広安里、ニューシス)
ただただ一途に、巨額の収益が見込める大型プロジェクトの遂行に
まい進する財閥には、財閥特有の論理がある、とでも考えるしか
ないのか。
△海水が流入するマリンシティー(聯合ニュース)
しかし、まるで全能者のごとく振る舞う韓国の財閥でも、自然を
ねじ伏せることはできない。
△10月6日 SBS 8NEWSより
これまでも、台風が接近するたびに浸水被害に見舞われてきた
というマリンシティー。
△10月5日、現場を取材するKBSの記者(KBSニュース)
報道によれば、過去には、地下駐車場に海水が流れ込み、数百台の
車が海水に浸かるという惨事もあったという。
△海水に流された高級車(MBNニュース)
今回の白昼の台風来襲には、全国の注目が集まった。
△台風18号が去った後のマリンシティー(聯合ニュース)
大海原に面した風光明媚な立地と引き換えに、時に襲ってくる
凶暴な高波と戦い続けて行くことを宿命づけられた街。
△ブロックが散乱するマリンシティー(10月6日 SBS 8NEWS)
この夏、マリンシティーの美しい夜景を撮影したばかりの
「ヲタク」の心境は、けっこう複雑である。
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)
「李先生 (Mr.Lee)」とは、現在、華北と東北を中心に、中国全土で
800店あまりをチェーン展開する牛肉麺のファストフード店だ。
△Mr.Leeは北京李先生加州牛肉面大王有限公司の登録商標
中国のケンタッキーフライドチキン、あるいは中国版マクドナルドの
ような存在だと考えればよい。
「ヲタク」は、中国系アメリカ人の李先生(李北祺)が北京で始めた
「美国加州牛肉面大王」が、中国における「美国加州牛肉面大王」の
起源なのかどうか、はっきりしたことはわからない。
ただ、ホームページ(北京李先生加州牛肉面大王有限公司)の説明に
よると、少なくとも「李先生美国加州牛肉面大王」(現「李先生」)の
歴史は、カリフォルニアで牛肉麺店「牛肉面大王」を成功させた中国系
アメリカ人、李北祺が1986年、北京に「美国加州牛肉面大王」
第1号店を開店したことに始まる。
以後、フランチャイズ加盟店の増加と人気の高まりに伴い、各地に
「美国加州牛肉面大王」の屋号を持つ類似店舗が林立するように
なった。
そこで当社は、2008年、創業時から使い続けてきた屋号ではあるが、
類似店が多く商標権もあいまいな「美国加州牛肉面大王」の名を捨て、
全国のチェーン店の店舗名を新たな登録商標である「李先生」に統一、
類似店との差別化を図り、現在に至っている。
これくらいの予備知識を持った上で、話題を韓国、ソウルに
移したい。
例によって、Daum地図のストリートビューで見る限り、ソウルの
中国人街(加里峰洞、大林洞)に、現在、「李先生」の正規加盟店は
1店も確認できない。(ウィキペディアによると、現在、「李先生」の
海外進出はオーストラリアのみ)
△大林洞の「美国加州牛肉面大王」。屋号にニセ(?)の「李先生」も見える。
しかし、いわくつきの「美国加州牛肉面大王」の屋号を持つ店舗は、
少なくとも3店舗が存在している。
△大林洞の「美國加州牛肉面大王」
画像からもわかる通り、3店舗に提携関係など全くなさそうに見える。
△加里峰洞の美国加州牛肉面大王は、重慶小麺の店か?
ソウル訪問のあかつきには、とりあえず、そうした屋号問題のことは忘れ、
ソウルの中国人街でも人気の加州牛肉面とやらを、是非、一度は食してみたい
「ヲタク」である。
△大林洞の拉麺店
また、日本のラーメンの原型とも言える伝統的な蘭州拉麺(牛肉麺)の
店にも、合わせて立ち寄ってみたいものである。
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)