福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

朝鮮族の新天地とF4

2016年10月11日 |   〇朝鮮族と高麗人


△ソウル大林洞(Daum地図ストリートビューより)

1993年に始まった韓国の外国人産業研修生制度(ビザ区分=D3)は、
10年後の2003年には外国人単純労働者の新しい受け皿となる外国人
雇用許可制(E9)
へとシフトした。


△中国への宅配を受け付ける事務所(Daum地図ストリートビューより)

そして、2006年には雇用許可制と並行し、別途、朝鮮系中国人(朝鮮族)を
主とする在外同胞のみを対象にした訪問就業制度(H2)を新設した。


△F4資格を強調する行政書士事務所(Daum地図ストリートビューより)

このH2は、25歳以上の在外同胞を対象に3年間(1年10か月の延長
可能)の韓国滞在と単純労働への就業を認める、というもの。


△事務所の窓で在留資格の説明①(Daum地図ストリートビューより)

その後、2012年には、同じく在外同胞のみを対象にした在外同胞
ビザ制(F4)が加わった。


△事務所の窓で在留資格の説明②(Daum地図ストリートビューより)

F4は、本来、有資格者や高学歴者、一定規模以上の事業主、60歳以上の
高齢者などを対象に、単純労働への就業を認めない代わりに、3年ごとの
更新義務を果たせば無期限で韓国在留を認めるというものだった。


△事務所の窓で在留資格の説明③

しかし、現在、就業制限は大きく緩和されているので、在外同胞に
とっては、実質、永住権(F5)に近い意味を持つ在留資格に
なっている。

参考までに、韓国で永住権を取得すれば、当然、就業制限や更新の
必要はなく、取得後3年が経過すれば選挙権も認められる。


△不法滞在者にH2、F4取得を呼びかける事務所(Daum地図ストリートビューより)

近年、韓国で急増している朝鮮系中国人のほとんどは、上記のF4と
H2ビザの所持者と、その家族だ。

法務部の資料によれば、2016年7月末現在、F4(在外同胞)ビザ所持者が
35万5000人、H2(在外同胞訪問就業)ビザ所持者が27万人に上って
おり、そのほとんどが朝鮮系中国人だ。


△F4取得には一定の韓国語能力が求められる?(Daum地図ストリートビューより)

D
aum地図のストリートビューでソウルの朝鮮系中国人の街を観察して
いると、多種多様な中国料理店に混じって、多くの
行政書士事務所や
職業紹介所、旅行店が目につく。


△地下鉄大林洞駅近くの職業紹介所①(Daum地図ストリートビューより)

在留資格を延長したり変更しようとすれば、行政書士の手助けが
必要となる。


△地下鉄大林洞駅近くの職業紹介所②

また、
とにかく生きていくためには何より仕事が必要だ。



そして、故郷と往来するためには飛行機や船、列車のチケットも
必要になる。





(終わり)



参加カテゴリ:地域情報(アジア)


韓国の新8大中国人街

2016年10月07日 |   〇朝鮮族と高麗人

過去、韓国の中華街と言えば、近代以来の歴史を持つ、インチョン
(仁川)港とプサン港の2大中華街が有名だった。


△韓国の新8大中国人街

しかし、朝鮮族(朝鮮系中国人)を中心に、韓国に在住する
中国人が100万人を突破した現在(104万5533人、2016年7月
法務部)、京仁工業地帯(ソウルから仁川につながる韓国屈指の
工業地帯)の各所で、主に大規模な工業団地の周辺に、過去に
類例を見ない規模の中国人街が新しく形成されつつある。

ここでは、Daum地図の地名(店名・施設名)検索とストリート
ビューを活用し、韓国の新8大中国人街を紹介する。



ソウルの加里峰洞大林洞

Daum地図の検索では、各種施設やレストランなどの店舗も検索対象に
なっているので、「延吉」や「延辺」などのキーワードで、全てでは
ないにしろ、かなりの数の施設、店舗が検索に引っかかる。



当然、当ブログで既に紹介済みのソウルの加里峰洞(九老区)や
大林洞(永登浦区)には、例えば、「연길(延吉)」の検索に
引っかかった施設や店舗が密集して現れる。
(関連ブログ記事  

では、加里峰洞や大林洞以外に、こうした地域はないのだろうか?

それが、あるのだ。

ソウル市広津区紫陽洞



ソウル市内に限って言えば、3大中国人街の一つ、ということに
なるだろう。


△紫陽洞の中国人街

加里峰洞や大林洞とは、また雰囲気の異なる大規模な中国人街が
存在するのが、広津区の紫陽洞だ。

隣接する華陽洞(広津区)や聖水洞(城東区)の工場団地(縫製
工場中心)で働く朝鮮系中国人を中心に形成されてきた街だという。


△紫陽洞の中国人街

この街にも、中国の華北や東北で人気の「美国加州牛肉面大王」が、
しっかり店舗をかまえている。

なお、同じくソウル市内で加里峰洞や大林洞と並び中国人住民が
多い街として知られる奉天洞(冠岳区)には、なぜか大規模な
中国人商店街がない。



すぐ近くに大規模な中国人商店街が存在しているので、その必要性が
ない、と言ったところなのだろうか。

京畿道安山市始興市水原市華城市城南市



ソウル市近郊の京畿道でも、いずれも大規模な工業団地の周辺に、
かなりの規模を持つ中国人街が5地区で形成されている。


安山市の中国人街

Daum地図で確認する限り、京畿道では、安山市の中国人街の規模が
最も大きい。


安山市の中国人街

例によって、この街にも「美国加州牛肉面大王」の店がある。

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

安山市に隣接する始興市にも中国人街が存在する。

規模はやや小さい。


始興市の中国人街

それでもストリートビューの特定のカットだけを見ると、そこは、
まぎれもなく中国である。


始興市の中国人街

例に漏れず、この街にも「美国加州牛肉面大王」の店舗がある。

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

京畿道の道庁所在地である水原市にも中国人街が形成されている。


水原市の中国人街

密集度はそんなに高くないが、水原駅近くの1本の通りに集中して
中国人店舗が存在する。


水原市の中国人街

当然のごとく「美国加州牛肉面大王」もある。


水原市の中国人街

変わったところでは、「毛主席小串」は水原にしかない。

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

次に華城市


華城市の中国人街

この街も、規模はそんなに大きくないが、かなりの数の中国人
店舗が存在する。


華城市の中国人街

「美国加州牛肉面大王」もちゃんと存在する。

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

最後に、ソウル近郊に戻って城南市の中国人街。


城南市の中国人街

この街にも、小規模ながら、かなりの数の中国人店舗が密集している。


城南市の中国人街

ただし、残念ながら(?)、この街では例の「美国加州牛肉面大王」を
確認することはできなかった。



(終わり)

 

 




ブログランキング 韓国情報ブログ     ← 応援のクリックをお願いします。


釜山と財閥と台風

2016年10月06日 | 【釜山情報】

天然の地勢にがっちり守られた港湾内の埋立地ならいざ知らず、
外洋に直接面した港湾外の海岸の、しかも海抜高度の低い埋立地の
岸壁近くになど、普通、
誰も家など建てない。

特に、目の前に広がる海域が台風の影響による高潮や高波の起きやすい
「凶暴な海」となれば、なおさらのことだ。


△釜山市海雲台マリンシティーの威容(10月6日 SBS 8NEWSより)

ところが、韓国の財閥(ここでは現代、斗山など)は、そういう
事情を知ってか知らずか、そういう危険な場所に、プサンでも最高級の
超高層マンション街を作り上げた。


△10月5日午前、台風18号に見舞われるマリンシティー(広安里、ニューシス)

ただただ一途に、巨額の収益が見込める大型プロジェクトの遂行に
まい進する財閥には、財閥特有の論理がある、とでも考えるしか
ないのか。


△海水が流入するマリンシティー(聯合ニュース)

しかし、まるで全能者のごとく振る舞う韓国の財閥でも、自然を
ねじ伏せることはできない。


△10月6日 SBS 8NEWSより

これまでも、台風が接近するたびに浸水被害に見舞われてきた
というマリンシティー。


△10月5日、現場を取材するKBSの記者(KBSニュース)


報道によれば、過去には、地下駐車場に海水が流れ込み、数百台の
車が海水に浸かるという惨事もあったという。


△海水に流された高級車(MBNニュース)

今回の白昼の台風来襲には、全国の注目が集まった。


△台風18号が去った後のマリンシティー(聯合ニュース)

大海原に面した風光明媚な立地と引き換えに、時に襲ってくる
凶暴な高波と戦い続けて行くことを宿命づけられた街。


△ブロックが散乱するマリンシティー(10月6日 SBS 8NEWS)

この夏、マリンシティーの美しい夜景を撮影したばかりの
「ヲタク」の心境は、けっこう複雑である。



(終わり)






参加カテゴリ:地域情報(アジア)


ソウルの牛肉面大王

2016年10月04日 |   〇朝鮮族と高麗人

李先生 (Mr.Lee)」とは、現在、華北と東北を中心に、中国全土で
800店あまりをチェーン展開する牛肉麺
ファストフード店だ。


△Mr.Leeは北京李先生加州牛肉面大王有限公司の登録商標

中国のケンタッキーフライドチキン、あるいは中国版マクドナルドの
ような存在だと考えればよい。

「ヲタク」は、中国系アメリカ人の李先生(李北祺)が北京で始めた
「美国加州牛肉面大王」が、中国における「美国加州
牛肉面大王」の
起源なのかどうか、はっきりしたことはわからない。

ただ、
ホームページ(北京李先生加州牛肉面大王有限公司)の説明に
よると、少なくとも「李先生美国加州牛肉面大王」(現「李先生」)

歴史は、カリフォルニアで牛肉麺店「牛肉面大王」を成功させた中国系
アメリカ人、李北祺が1986年、
北京に「美国加州牛肉面大王」
第1号店を開店したことに始まる。

以後、フランチャイズ加盟店の増加と人気の高まりに伴い、各地に
「美国加州牛肉面大王」の屋号を持つ類似店舗が林立するように
なった。

そこで当社は、2008年、創業時から使い続けてきた屋号ではあるが、
類似店が多く商標権もあいまいな「美国加州牛肉面大王」の名を
捨て、
全国のチェーン店の店舗名を新たな登録商標である「李先生」に統一、
類似店との差別化を図り、現在に至っている。

これくらいの予備知識を持った上で、話題を韓国、ソウルに
移したい。

例によって、Daum地図のストリートビューで見る限り、ソウルの
中国人街(加里峰洞、大林洞)に、現在、「李先生」の正規加盟店は
1店も確認できない。(ウィキペディアによると、現在、「李先生」の
海外進出はオーストラリアのみ)


△大林洞の「美国加州牛肉面大王」。屋号にニセ(?)の「李先生」も見える。

しかし、いわくつきの「美国加州牛肉面大王」の屋号を持つ店舗は、
少なくとも3店舗が存在している。


△大林洞の「美國加州牛肉面大王」

画像からもわかる通り、3店舗に提携関係など全くなさそうに見える。



△加里峰洞の美国加州牛肉面大王は、重慶小麺の店か?

ソウル訪問のあかつきには、とりあえず、そうした屋号問題のことは忘れ、
ソウルの中国人街でも人気の加州牛肉面とやらを、是非、一度は食してみたい
「ヲタク」である。


△大林洞の拉麺店

また、日本のラーメンの原型とも言える伝統的な蘭州拉麺(牛肉麺)の
店にも、合わせて立ち寄ってみたいものである。



(終わり)




参加カテゴリ:地域情報(アジア)