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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ストライク・ザ・ブラッド 第10巻 『冥き神王の花嫁』 感想

2014-03-10 20:52:36 | ストブラ
ストブラは最初は大して気にかけていなかったのだけど、第2クールに入ってから、キャラも物語も動き始めてきて面白くなってきた。その意味では、第2クールで失速した東京レイヴンズとは真逆なわけだけど、ともかく、その勢いで、原作も読んでみた。

ということで、最新刊の10巻について。
一応ネタバレもあるので、スペース空けときます。








































最初に、原作を読んでのストブラ全体の印象を書いておくと、
とにかく、

既存ラノベのマッシュアップ感がハンパない!

というのが率直なところ。
いいところだけ混ぜ込みました!って感じがするものすごさ。
いやー、本シリーズそのものが「究極(電撃)ラノベ」を作るためのカレイドブラッド計画のように思えてしまうくらいw

これは褒めるの半分、呆れるの半分、って感じ。

ある意味で、典型的な、ラノベ以後のラノベ、なんじゃないかな。

幾つかそう思ったところを挙げておくと、

まず、設定は『禁書目録』の反転。

科学が魔術になって、物語の舞台についても、学園都市=立川(東京の北)が、魔族特区=絃神島=伊豆諸島南方(東京の南)という具合に、東京の反対側に移動w
で、カインを登場させるところは、アレイスターとの照応感がハンパないw

カレイドブラッドという第四真祖を、神々(カイン?)との決戦用の人工の最終兵器として用意しているところは、学園都市でレベル6の開発を進めるところと似てるし。

で、主人公は、『はがない』のような難聴キャラw
古城の鈍感ぶりは読んでて呆れるくらいだが、しかし、『SAO』のキリトさん並の一級フラグ建築士w そのくせ、上条さんなみの説教臭さ、道徳臭さも併せ持つ。

その主人公が神にも匹敵する超絶能力を使役する部分は『カンピオーネ』そのもの。
眷獣を使役して戦う、その使役のためにはヒロインとの吸血行為が必要だけど、それは草薙護堂が言霊の剣を使うためにヒロインとキスしなければならないのと同じ。

特に9巻以降、敵の能力やサイズのインフレが進んだ結果、まさに怪獣大戦争のような感じになっているところも、カンピオーネそっくりw

それに、主人公をサポートする部隊が実質的にヒロインだらけ、というところも。
で、そのヒロインも、見事にテンプレ属性で分類される。

ヤンデレ・ストーカー=雪菜
スーパーハッカーで、ビッチもどきの幼なじみ=浅葱
基本男嫌いのお色気暗殺者=紗矢華
ボクっ子、元気っ子=優麻
ロリババア=那月
オテンバ(腹黒w)姫=ラ・フォリア
ロボ子(ホムンクルス)=アスタルテ
巫女の妹=凪沙
金髪幼女=アヴローラ
銀髪美少女=夏音
ウルサ妖精で錬金術士=ニーナ
しっかり型幼女=結瞳
小麦肌ツンデレ=セレスタ
 ・・・・

って具合。あー、お腹イッパイw

ついでに、不良オヤジ(牙城)とダメオカン(深森)。にゃんこ先生w

メインヒロインが「ヤンデレ」なところも今風。

一応、今回、ジャガンが古城といいコンビぶりを発揮させているけれど、これも、ツンデレの野郎版だしね。。


で、物語の展開は面白いくらいワンパターン。

大体、こんな感じで進む。

魔族関連の事件が絃神島に襲来
→公社関係者(主には矢瀬w)がその事件に古城が関わるように仕向ける
→事件にかこつけて新ヒロイン登場、古城と関わる
→古城のストーカーである雪菜も事件に巻き込まれる
→取り巻きヒロインたちが乱入
→前座として那月ちゃんが魔族に敵対
→ヴァトラーが余計なちょっかいをいれて事態を複雑化w
→古城、超ピンチ!
→ヒロインの誰かが献血行為
→新眷獣、ゲット!
→勢いにまかせたまま、最終決戦に雪崩れ込む
→眷獣召喚、ドカーン!バコーン!の超大味なバトルであっさり決着
→雪菜がツンツンして大団円!

おおむね、これの繰り返し。

で、このフォーマットに対して、各種組織の間で抗争が繰り広げられる。とりわけ、9巻あたりから、日本政府内の組織間抗争や、南北アメリカの地域紛争なんかも加味されてきて、徒に事件の規模がでかくなってきている。

設定としては、まず魔族特区の絃神島があって、そこを仕切る公社がある。あと一応本土政府の公安にあたる獅子王機関と、9巻で出てきた太史局。この二機関は「カインの巫女」を巡って意見が対立。で、国外に目を向けると、どうもアメリカがまた絡んできて、とうとう、魔法技術を使ったサイボーグもどきまで登場する始末。

まぁ、錬金術士なんて便利設定なものまでだしてしまったから、もうなんでもありなんだけどね。そういう意味では、10巻でん、ニーナ+夏音の修道院ペアが結構無双なのは笑ったw

で、こうした地域紛争的なものの外側に、いわば「神々の戦い」的に、吸血鬼の第一、第二、第三真祖がいて、カインとの戦いに備えている。

で、物語全体としては、最終兵器たる第四真祖を鍛えあげる方向に向かってる感じかな-。

以上が、物語全体の構図かな。

で、10巻のポイントは、最終決戦に向けて、ヴァトラーはヴァトラーで暗躍し始めているところ。しかし、コイツ、ホントにただの「バトルマニア」なだけなのかなー。もうちょっと裏があるような気がする。

で、そのヴァトラーが用意しているのが、12体のカレイドブラッド。

今回、最後にヴァトラーが第三真祖から譲り受けた焔光の夜伯は6番目と10番目。確かに、これは過去編の7巻と8巻でもちゃんとは登場していなかったもの。

整理しておくと、まず、12体の眷獣のうち、7巻と8巻の過去編の事件を通じて、ルート→アブローラ→古城、によって受け継がれた眷獣は全部で10体。

そのうち、古城が既に顕現させたのは、

1、3、4、5、7、9、11

の7体。

残る3体のうち、12番目の眷獣は凪沙の中にいるので、古城が直接呼び覚ませることができる眷獣は

2、8

の2体。

で、今回、ヴァトラーが今まで登場しなかった二体をようやく登場させた、ということ。

今回、1番目の眷獣を召喚するのに夏音の血を吸ったことを考えると、多分、2番目と4番目の眷獣を顕現させるのに「献血」wするのが、9巻で登場した結瞳と本巻で登場したセレスタなんだろうね。

あと、今回、凪沙は牙城と一緒に巫女の祖母のところに行ったわけだけど、きっとその件を通じて、12番目の古城への譲渡なりの策を考えるのだろうな。

そうなると、ヴァトラーが用意した二体の眷獣については、今まで同様、新たに二人の「献血予定者」を新ヒロインとして登場させるのか、それとも、話を一気に加速させるために、上の凪沙の件と絡めて合わせ技で古城のものにさせるのか。

で、気になるのは、その時、浅葱が献血者になるのかどうか、ってことだよね。

難しいのは、今回の事件でカインの巫女たる浅葱が絃神島の主たる?「カイン」の発動?もしくは顕現?のために、一応、そのための祭壇と思しきところに待機させられていたこと。

これ、素直に考えると、この物語の最後の「超ヒロイン」が浅葱、ってことになりそうな気がして、そのため、多分、浅葱を絃神島の呪縛から救い出すために、古城は12体の眷獣を全てその前に掌握しておかないといけないように思うんだよね。そんなところが次巻以降のポイントかな。

・・・と、こんな感じで、ストブラ自体は、可もなく不可もなし、って感じ。
テンプレてんこ盛りなため、なんとなく先も見えてしまう。
ものすごいメタ感。

だから、次巻が楽しみかというと微妙。

ただ、こんな感じのテンプレてんこ盛りな作品だからこそ、映像にすると、そういったテンプレな部分は端折ってもストーリーを終えるところがいいんだろうな。

で、その分、眷獣戦のような大味な戦闘を、丁寧に映像化すると、映像化の満足も自動的にあがる。

なんていうか、こういうところは上手いといえば上手い。

逆に言うと、東京レイヴンズのような話は、原作がきちんとした怪奇譚なだけに、逆に映像にすると、そのゾクゾク感が消えてしまう。

あるいは、ソードアートオンラインやアクセル・ワールドのように、大技ではなく個人の戦闘スキルで地道に戦わざるを得ないものだと、無駄に戦闘描写が濃くなってしまって、その分、読む方は退屈してしまうわけだけど、そういうところも、古城の眷獣のような大技を使うと、文章ではものすごく単純な描写でカタが付いてしまう。そこは便利。

ともあれ、とりあえずは、眷獣をあと2+2+1体を獲得しなければならないので、最低でもあと5巻は物語が続くのだろうとは思う。その間、物語の本筋がダレないといいのだけど。

というわけで、何ともいえない不思議な話。

あまり10巻について書いてないけど、結構長くなってしまったので、思いつくことがあったら、別に書くかも。

しかしなー、ホント、テンプレの嵐だな-。
その点は、マジで感心するw

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