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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想4:「ランドセルガール」を生み出したのは、実のところ誰なのか? 麻衣なのか? 咲太なのか? はたまた翔子ちゃんなのか? 

2024-08-11 16:29:08 | 青ブタ
感想1感想2感想3もあります)

今回ようやく霧島透子の正体がわかったところで、じゃあ、結局、大学生編の青ブタって、

「ランドセルガール」って何なのか? 
誰が生み出したのか?

という問いに行き着くしかない気がしてきていた。

以前書いたときは、そもそも大学生編そのものが、麻衣が翔子さんに対する嫉妬から生み出したもう一つの世界だと思って、その世界の案内役として登場したのがランドセルガールだと思っていたのだけど、

今回、とうとう翔子ちゃんが大学生編のストーリー、それも霧島透子の謎解きにダイレクトに絡んできたことで、これは麻衣が生み出した世界ってわけでもなさそう、という感じがしてきた。

なぜなら、大学生編を生み出した麻衣が、嫉妬深い麻衣だとすれば、翔子ちゃんをできるだけ遠ざける、本音を言えばいなくなってもらっても構わないと考えると思っていたから。

でも、翔子ちゃんは戻ってきた。

それも咲太が大ピンチの中にいるという、絶妙のタイミングで。

そんな大逆転を、この世界が生み出したゲーマスたる麻衣が許すはずがない。

となると、麻衣ではない他の人物が、ということになるのだけど。

で、そうなると、俄然、浮上してくるのが、咲太がこの世界を作った、ってこと。

だって、翔子ちゃんの生存のための帳尻を今回も合わせないといけないから。

つまり、高校生編と大学生編はメタなレベルでより大きな世界として一つの世界に統合されている。

そうすると、俄然気になるのは、この物語のタイトル。

「青春ブタ野郎は、XXXXの夢を見ない」

で、青春ブタ野郎とは双葉による命名で咲太のことだから、要するに、

「咲太はXXXXの夢を見ない」

ということになって、つまりは、個々の物語は全て「咲太の夢」で、正確には、物語の最初で起こったような奇っ怪な夢のことだけど、それは咲太自身の関与によって解決される。

ただ、別に咲太が探偵のように正解を引き当てて問題が解決されるのではなく、咲太が他のキャラたちとやりとりすることで、その困った状況、多くは思春期症候群の結果と解釈されるやばい状況、が消失するような形で決着が図られる。

なので、素直に、これまでの物語が全て咲太の見る夢と考えると、量子力学的摩訶不思議現象も含めて全てが上手く、というか、都合よく解釈できる。

だって、全部が夢オチになるのでw

さすがにそれはないと思いたいのだけど、根本的なところで、どうして物語のそもそもの発端で、咲太だけがバニーガールになった麻衣を「認識」できたのか、という話になる。

あれは、麻衣の思春期症候群が引き起こした事件だってことで決着はついたはずだけど、それにしたってどうして咲太だけが認識できたのか?

その説明って実はされていない。

だから、一番単純な解答としては、いやそれは咲太が見た夢で、咲太が一年先輩の桜島麻衣と特別な関係になりたいと思ったから、というのが一番もっともらしくなる。

それなら、ランドセルガールを生み出したのも咲太だった、で済むから。

その意味では、桜島麻衣を想った咲太が作った世界に、同じく桜島麻衣の大ファンだった生前の霧島透子が作った世界が鑑賞してきた世界が、大学生編、ということになるのかもしれないけれど。

なんか、領域展開の対決みたいだがw

まぁこんな「夢オチ」ですべて説明されるとは、はなから思ってはいないけど、そもそもどうして、咲太だけが麻衣を認識できたのか、という疑問は消えないんだよね。

要するに、

麻衣のバニーガールで高校生編が始まり、
麻衣のランドセルガールで大学生編が始まった。

どちらも咲太だけが麻衣を認識している。

本巻でも冒頭の麻衣のコンサート会場に現れたランドセルガールほかの麻衣の姿を、咲太以外は認識していない。

赤城だけでなく、麻衣自身も認識していない。

それってもう咲太の脳内イメージが現実に漏れ出たとしか思えないじゃない。

だから、やっぱりこの世界の「夢の調律」をしているのは咲太じゃないのかな、と思うんだよね。

その方が「~の夢は見ない」というシリーズ全体のタイトル回収にもつながるから。

どうだろう?

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劇場版 SPY×FAMILY CODE: White 感想: ただのファミリー映画、それ以上でもそれ以下でもなく。

2024-08-11 15:49:34 | SPY×FAMILY
配信が始まったので見てみたけど、最初から最後までただのファミリー映画だった。

まぁ、公開時期からして年末年始のファミリー向けなのはわかっていたけど、それにしても、これはちょっとなぁ・・・というでき。

そもそも本編の展開と全然関係なく、というか、本編に何の影響もないように挟み込まれたものだから当然なんだけど、本気でどうでもいい話。

いや、事件自体は凄いよ、ヘタをしたら戦争が始まっていたわけだから。

ただ、結局それを阻止したのが、ロイド、ヨル、アーニャの3人、しかも、基本的に相互の連携は事実上ゼロ。

痛感したのは、ロイド、ヨル、アーニャがそれぞれ、スパイ、暗殺者、超能力者、という設定はあるけど、アーニャを除いて互いにその本性を明かしていないから、今回のような事件に出会っても自覚的な連携が取れないので、物語が全然膨らまない。

たまたま3人がそこにいて、たまたま3人がそれぞれの能力を駆使して、問題を解決しただけ、というオチ。

ただその無茶な設定はさすがに無理があると思う。

その点で、とにかくつまらなかった。

だって、結局、家族が一致団結して生き残った冒険!みたいな話にならないから。

あと、どうみてもヨルが強化人間にしか見えないところがどうにも。

原作を読んでないから詳しくはわからないけれど、さすがにあんなサイボーグまで素手で倒すとなると、もう凄腕の暗殺者じゃすまないでしょ?

110分もの間、とにかくずっと退屈で、なんでこんなもの見ようと思ったのか、と反省したくらい。

いわゆる、時間を返せ!っていいたくなるやつ。

あ、そうそう、ウンチの神様、あれはないわ。

クレヨンしんちゃん的なウケを狙ったのだろうけど、さすがにやりすぎ。

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負けヒロインが多すぎる! 第5話『朝雲千早は惑わせる』 感想: いや、まさか勝ちヒロインまでマケイン化するなんて思わないよねw

2024-08-11 13:35:39 | マケイン
いやー、ホント楽しいなあ、この作品w

前回の終わりがあまりにキレイな杏菜エンドだったから、え、これから何するの?って思ってたけど、

いや、まさか、マケインたちを負かしたはずの勝者が自らその地位を貶めるとは思わなかったw

朝雲千早、面白すぎるw

スタッフ凄いな、うえさまの使いかた、わかってるw

ぬっくんも災難だよなぁw

夏休み真っ盛りだと言うのにw

でもまさか、檸檬からこんな仕打ちが来るとはw

完全に死角から狙われた感じw

確かに杏菜や小鞠に比べれば、檸檬の失恋描写は淡白だったけどさ。

といっても、実際にぬっくんを斜め上から狙ってきたのは、デコキラの朝雲だったわけだけどw

えーと、彼女、このまま順当にマケイン化するんですかね?

その場合、杏菜の立場は?

キャラがだいぶ被ってる気がするのだけどw

むしろ、こうして「真・マケインとなにか?」って属性の洗練化が進むのかね?w


もっとも、杏菜も杏菜だけどねw

冒頭からいきなりそうめんの話をもちだす杏菜を見てると、その異次元時空の作りっぷりが一周回ってネタ化されたハルヒっぽくて、いやー、フリーダムすぎるでしょw

小鞠は小鞠でいつの間にか順当になろう作家化してるしw

ホント、面白すぎる。

ていうか、やっぱりこれスタッフに恵まれた成果なのだろうな。

前回までは、ものすごく精緻に写実的に映像をつくってたのが、今回から作画もわりと自由に崩してそれによってギャップの笑いも誘ってくるしw

これはマジでアタリだな!

いやマジで面白い。

ていうか、楽しいw そう、楽しいんだよ、この作品w

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想3: この青ブタ世界はシステムとしての霧島透子によって「スマホが現実を作り出す」という原理が支配する世界と考えてよいのだろうか?

2024-08-11 12:34:06 | 青ブタ
感想1感想2感想4もあります)

今回、ようやく霧島透子の正体、というか出自が美東美織だったということがわかったわけだけど、

相変わらず、ではなぜ、霧島透子という存在が伝播していくのか、そして、その結果、どうして現実が上書きされていくのか、は、まだわからずじまい。

いや、一応、その理由は、美東美織が友達だった霧島透子を失って思春期症候群を発症したから、ということで説明されてしまうのだけど。

でも、美織によれば、スマホを使わない咲太と出会うことで「私の現実は書き換わらなくなったから」のだという。

つまり、同じくスマホを使わないけれどそれだけでは美織の現実改変を変わらなかった。

実際、何人もの違う咲太と出会ってきたというし。

正直、そんな現実改変が続く状態を記憶して今に至っている美織の精神状態がどうなってるのか、とても心配なのだけど。

というか、今まで何人もの咲太に会ったことがあるなんて素振りを一切見せずに咲太を友達ごっこをすることができた美織がちょっと怖いのだけど。

だって、彼女は自分が霧島透子現象を起こしながら、その一部始終を知りつつ、かつ透子がファンだった桜島麻衣の彼氏にアクセスする、ってそのストーカーぶりが怖いし。

まぁ、そのあたりが10月に出る最終巻で明らかにされるのだろうけど。

とんでもないアクロバティックな理屈で決着が付きそうだけどw

それにしても、スマホを持っていない咲太が美織にとって何らかの意味で「特別」だから、きっと現実改変が起こらないんだよね。

正確には「美織の現実」の改変が起こらない。

あー、でもそれが今回の鍵なのかな?

つまり、「現実」とは万人に共通する「現実」があるわけでなく、あくまでもある特定の「個人の現実」があるだけ。

といっても、ある程度知り合った中、つまりグループとかコミュニティとかのあいだでは相互に矛盾が生じないような現実に調整される必要があるのだろうけど。

そのあたりの「パッチワーク化された現実」というのが、麻衣を救って、美織を救って、さらには翔子ちゃんも救って、当然、咲太も死なない「現実」として調律するのに必要な見解なのかもね。

高校編の、牧之原翔子編の「現実」は、あくまでも翔子ちゃんが夢見た「現実」だったけど、今回の夢はそれこそ「#夢見る」の形で世の中に流通して相互に調整サれたもののように思えるから。

まぁ、その場合、「#夢見る」に書くのが先か、実際に夢に見るのが先か、という問題はありそうだけど。

でもそうか、まずは「#夢見る」にその人の夢を書くのが先なのか。

だったら、咲太がスマホを通じて「#夢見る」に彼にとって最も都合の良い夢を書き込むのが一つの手なのかもしれない。
だって、霧島透子が支配する世界では、「夢見た」ものが現実として現れるから。

ハッシュタグを付けて公開しないといけないのは、霧島透子が、いわばネットワーク上のAIみたいなものとして、各自がアップした夢を互いに矛盾しないように帳尻を合わせてその都度修正するためなのだろうな。

そういう意味では、きっと正しく「霧島透子」とは、AI化されたアルゴリズムである。

「霧」のように靄がかかったかたちで人びとに間に広がり、
その中である程度の集団にとって都合の良い「島」のような現実を作り、
でも、その現実は島の外からも「透」けて見える、
そんな現実を生み出していくユニット=「子」。

そんな存在なのだろうね。

だから、霧島透子というシステムにアクセスしない咲太は、夢を見たとしてもスタンドアロンの、外から隔絶した夢しか見ないから、システム霧島透子の干渉を受けない。

同時に、システム霧島透子が改変した現実の齟齬にも気づけてしまう。

同じことが美織にも当てはまるのだろうな。

だから正確に言うと、スマホを持たない咲太に出会うまでの美織が感じていた現実とは、実は「彼女の現実」ではなく「彼女の周りにある現実」でしかなくて、きっと「彼女の現実」はずっと変わっていない。

それは多分、「友達の霧島透子の死と向き合えてない美織の現実」のままなのだろうな。

なので、そのこじらせた想いが解消できれば、霧島透子現象も解決できるのかもしれない。

ただし、問題があるとすれば、システム霧島透子が改変してきた現実は、局所的に可変されたもののパッチワークだから、実のところ、何が「真の現実」か、多分、判別がつかないことで。

その帳尻をどう合わせるのか?

その方法はまだわからないのだけど、でも、この霧島透子現象の最初にあったのが、例の「ランドセルガール麻衣」だったことを思うと、やっぱり、この「ランドセルガール麻衣」が、霧島透子事件が解決したあと、現実修復の鍵なのだろうなぁ。

なんとなくのアイデアはあるのだけど、そのことについては、もう少し考えてからw

感想4へ)

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想2: 翔子ちゃんが咲太の相棒を務めるということは、大学生編のメインヒロインは麻衣ってことでいいんだね?

2024-08-11 09:56:37 | 青ブタ
感想1感想3感想4もあります)

それにしても最後に咲太を救うのはやっぱり翔子ちゃんなんだな!

感想1でも触れたけど、今回、一番ビックリしたのは、ここまで咲太の大学生編では療養のために沖縄に引っ越したため影を潜めていた翔子ちゃんが、万策尽きた咲太の前に現れたこと。

それも、咲太と最初にあったときと同じ峰ヶ原高校の制服を着ての登場なのだから。

これはズルい。

さらにズルいのは、翔子ちゃんが高校に進学することができた、というイベントが達成されたことで初めて翔子ちゃんも自分に心臓をくれたドナーが誰か、わかったということ。

しかも、その名前が「霧島透子」というのだから。

それを知った瞬間、翔子ちゃんは翔子ちゃんで、いろいろと合点がいってしまったのだと思う。

と同時に、今の霧島透子事件の発端が翔子ちゃんへの心臓移植が発端だったことにも気づいてしまったのだと思う。

となると、事件の中核にいるのが、もともと翔子ちゃんに心臓を与えてくれるはずだった咲太と麻衣であることにも思いが及んだはずで。

いやー、この展開は本当に上手い。

やられた、と思ったよ。

結局、この青ブタの物語はすべて大元で翔子ちゃんの心臓移植の問題を抱えた世界の上で成り立っている。

ある意味で、翔子ちゃんが咲太の世界の重心になる。

ほんと、翔子ちゃんの再登場の理由は、盲点だった。

でも、その結果、終盤の物語が、面白いことに、咲太の高校生編、いってしまえば、牧之原翔子編のリバースのようになっていること。

どういうことかというと、

牧之原翔子編では、翔子ちゃんを救うために、咲太を麻衣が奔走したのだけど、

今回は、麻衣を救うために、咲太と翔子ちゃんが奔走することになる。

そうすることで、翔子ちゃんに対しても、麻衣が咲太の正ヒロインであることを納得させるプロセスを具体的に描くことができる。

前にも書いたけど、牧之原翔子編を経て、それ以前と明らかに変わったのは、麻衣が咲太のことを絶対離さないと宣言したこと。

いつか家族になろう、という言葉もそのことを表している。

それは、咲太にとって、翔子ちゃん・翔子さんが、初恋の相手として特権的な存在であるから。

要は、恋のライバルとして、というか、超強敵として、翔子ちゃんを捉えていること。

麻衣の翔子さんに対する嫉妬は半端ない。

だから、翔子ちゃんが翔子さんになる前に、先行逃げ切りで咲太をゲットしようと考えるようになった。

大学生編の麻衣って、突き詰めればそういう咲太絶対奪取するマン(レディだけど)w

その麻衣は霧島透子になることで全世界のアイドルになる、そうなると簡単には咲太を結婚するなんてこともできなくなる。

それこそ社会のしがらみによって。

多分、そうして麻衣が手をこまねいているうちに翔子ちゃんが泥棒猫してしまえる機会も増えるのだろうけど、でも、きっと翔子ちゃん自身がそれを望まないという選択をするようになるのかもしれない。

なぜなら、翔子ちゃんは咲太に麻衣も好きだから。

なんていうか、そのような、翔子ちゃんが咲太に対する想いに決着をつけることも、次の最終巻のテーマのひとつにあるような気がする。

だから、改めて、この青ブタの物語は、咲太、麻衣、翔子の物語だった、ってことを痛感させられて終わるんじゃないかなぁ。

そのためにもきっと「ランドセルガールの麻衣」が鍵を握るように思えるのだけど、そのことについてはまだ考えがまとまらないので、機会を改めたい。

感想3へ)

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想: 結局、霧島透子の正体は予想通りの美東美織だったわけだけど、その結果、咲太はとんでもないジレンマに直面せざるを得ないのが辛い!

2024-08-11 09:55:56 | 青ブタ
感想2感想3感想4もあります)

前巻によって、一旦白紙になった霧島透子の正体。

で、その時の感想では、もう候補として残ってるのは桜島麻衣か美東美織しかないじゃん!って結論したわけど。

予想の通り、概ね、その方向で収束しそうな気配だった。

というのも、まずは、麻衣が「私が霧島透子」だと宣言し、ということは、本当は違うよね?・・・というところからの真の正体は美東美織だった・・・という展開。

この14巻の紹介に、「わたしが霧島透子です」と語る麻衣が使われてからこうなる予感はすでにしていた。

つまり、麻衣と見せかけて実は美織が霧島透子だった、という展開。

正確には、ネット上の(架空の)アーティストである「霧島透子」を生み出したのが美東美織だったということだけど。

ただ、この二人のどちらかだと思っていたので、この展開そのものは、まぁ、そうか、と思ったわけだけど。

ただ、美織が霧島透子をネット上で、あるいは芸名として霧島透子を想像したわけではなく、霧島透子本人が実在して、しかし、すでに他界しているとは思わなかった。

しかも、その生前の霧島透子が、まさか、この世界の翔子ちゃんに心臓を与えたドナーだったとは思ってなかった。

完全にブラインドサイドをつかれた。

霧島透子の正体を探るうえで一番の障害は、「可能な未来」を全て見てきたはずの翔子ちゃんでも、一度も霧島透子という名には出会わなかった、ということだったわけど、それが、翔子ちゃんが見れた「全ての未来」とは、咲太が麻衣がドナーになった時の未来に限られていた、というのは気づかなかった。

確かにそう言われればそうだよね。

今、翔子ちゃんが生きていられるのは、本物の霧島透子が、咲太と麻衣の代わりに死んで、心臓を提供してくれたから、ということになる。

しかも、この本物の霧島透子がドナー登録をしたのは、大好きな桜島麻衣の映画に触発されたから・・・、となると、ますます咲太と麻衣の代わり身のように思えてしまう。

今更だけど、今、咲太が生きている世界は、翔子も咲太も麻衣も死なない世界としてすでに、一度やり直された(書き換えられた?)世界なんだよね。

正確には、すべて翔子が見た未来として扱われることで、翔子が生きられる世界線を見つけた後の世界だということで。

なので、翔子は全ての世界の記憶、というか、翔子の中でシミュレートされたことになっているすべての未来の結末に関する記憶を持ち合わせたまま、この世界に存在していて、そんな翔子を再開したことをきっかけにして、咲太と麻衣も自分たちのどちらかが死ぬ世界線のことと思い出したわけだった。

なので、とにかく咲太がいる世界は、読者が初期の頃に読んでいた世界とは違っていることになる。

で、その異なる世界線の世界、翔子も咲太も麻衣も死なない世界で、代わりにババを引いてしまったのが霧島透子だった。

そして、その霧島透子の死によって思春期症候群を発症させたのが美東美織だった。

・・・という、こう、どこを見ても、えー、どうしてこんなことになった、という嘆かわしいもの。

美織は、仲直りを考えていた透子が死んでしまったことをきっかけに、彼女の残した楽曲を歌って、ネットにアップしたら、それをきっかけに少しずつ世界が書き換えられる経験をしていった、という。

これは、要するに、翔子ちゃんと同じように、複数の世界の可能性を導き出す「発端」になったということなのだけど、美織のケースが翔子ちゃんの場合と違うのは、翔子ちゃんが知る世界は、すべて翔子ちゃんを基点にして発していたのだけど、美織の場合は、あくまでもきっかけを与えただけで、彼女が霧島透子をやめた後も、ネット上でその模倣者が続出し、第2、第3の霧島透子が生まれていったことで、それは、遂には麻衣の意識まで書き換えてしまった。

ということは、美織の意志を越えて霧島透子は増殖しているように思えるけど、実は、美織は無意識のうちに、誰かが霧島透子を継続してくれることを望んでいるということになる。

多分、その美織の、意識と無意識のズレが、彼女の思春期症候群の原因なんだろうね。

それが、最後に翔子ちゃんが、美織と透子の交換日記の中で見つけた、透子が死ぬ日に残した

「君に出会わなければよかった」

という言葉、というか、呪い。

美織としてはもう一度会いたいけれど、そもそも透子は美織との出会いからして望んでいなかった、という歪んだ理解だけが残った。

だから、翔子ちゃんの場合とは違って、美織だけが全ての未来を見渡したうえで選択できるような統制力がなくなった。

それをバタフライ効果という言葉で、回復不可能、ってことにしてるようだけど。

ただ、それでも、美織自身は、そうした「霧島透子効果?」によって、世界が少しずつ書き換えられることには気づいていて、記憶している。

だから、今の咲太とは違う別の世界線の咲太にも出会ってきた、ということなのだけど。

つまり、翔子ちゃんと同じように、美織も世界改変に関する「特異点」になっていて、ちゃんと世界が変わったことの記憶を保持しているんだよね。

だからやっぱり、美織の思春症候群を解決しないことには、この増殖する「霧島透子」の世界を停めることはできない。

うーん、これどうすればいいんだ?

咲太にとっての問題は、美織も突きつけてきたように、咲太なら元の世界線に戻すことができるのかどうか?ということなのだけど。

問題は、理論的にできるのか?ということと、咲太がそれを望むのか?ということにある。

だって、霧島透子が死なない世界を作るなら、もう一度、翔子か咲太か麻衣の誰かが死ぬ世界線を考えないといけない。

仮に、透子も救ったうえで、翔子、咲太、麻衣も救われる世界線を選べたとしても、そこでは、今度は、透子の代わりに誰かがドナーになるために死ななければならず、透子と美織のような悲劇が別の誰かで起こるのかもしれない。

つまり、今回の透子のような事件はいつまでも続いていく。

だからといって、翔子や麻衣が死ぬ世界は咲太は認めらないはずで、そうなると大本の咲太が交通事故にある世界に戻ってしまう。

・・・という具合に堂々巡りが続いてしまう。


もうひとつ、咲太にとっての問題は、咲太以外の人たちは、別に透子によって改変された世界を不都合だとは思っていないこと。

むしろ双葉のように、佑真と恋人でいられるこの世界のほうがいいと積極的に改変を拒む人もいる。

にしても、この理由で、咲太が双葉の助力を期待できないのは痛い。

まぁ、だから代わりに翔子ちゃんが、今回、咲太の相棒役になれるわけだけど。

ほんと、どうするのだろう?

いくつかヒントになりそうなのは、まず、美織が、今のスマフォを持たない咲太に出会ってから、世界改変を経験していない、ということ。

となると、この咲太には何らかの抑止力が伴っているはずで。

まぁ、それが次巻のタイトルにある「ディアフレンド」、つまり「友達」になるということなのだろうけどね。

友だちになることは、きっかけなのか、結果なのか、という問題はあるけれど。

もう一つのヒントは、赤城との連絡が途絶えていること。

別世界通信ができるw赤城がいることが、霧島透子の維持に不都合だと感じられるからなのかもしれないけど。

でもそうなると、赤城との交信回復が一つの鍵になるのかもしれない。

三つ目は、かえでと花楓が共存していることの意味。

世界改変が個々人の夢=願望に基づいているとしたら、少しずつ融通を付けて、玉虫色の世界に調整可能かもしれない。

で、最後に、未だに謎のランドセルガールの麻衣。

以前に咲太が別世界に渡った時、ランドセルガール麻衣は、どうやら咲太の「界渡り」を導いてくれたので、またなんかしてくれるのかもしれないw(テキトーw)

あとは、翔子ちゃんの未来視?みたいな力もあるのだろうけど、思春期症候群が解消された今、それはないのだろうな。

まぁ、なんにしても2ヶ月後の「ディアフレンド」を待てば正解はわかるんだけどね。

でもとにかく、咲太は、どうやって誰も傷つけない世界線を引き寄せるのか?

なんか、それにしても、ひとりで全部できるとは思わずに、少しずつ他人に任せればいい、というような世渡りの知恵で解決らしき終幕をもって終わりそうな気もするけどw

ということで、とりあえず読後直後の感想はこれくらいに。

もう少し考えてまた書くかも。

しかし、ここはもう、翔子ちゃんしかいないじゃん!って思ったところで、ホントに翔子ちゃんが現れたときは、ものすごいヒーロー感があったな。

咲太さんとはやっぱり運命で結ばれている、

というのも、ホントにそうだね、って思ったよw

ただ、最終章の前半で翔子ちゃんが出張ってきたということは、後半は麻衣が巻き返してくるのだろうなw

ただそれとは別に、咲太は美織と友だちになる、というのが最終巻の山場になるのだろうけど。

さてさて、どんな終りを迎えるのだろうね、青ブタ最終巻は!


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