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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

映画 空の青さを知る人よ 感想

2021-04-02 18:04:54 | Weblog
長井龍雪の監督作品ということで見てみたけど、これ、岡田麿里とかといっしょにやってる、超平和バスターズの作品だったのね。

そういう意味では、長井龍雪作品というよりも、岡田麿里作品って感じで。

で、まぁ、どちらでもいいのだけど。

シナリオの展開も、唐突な飛翔シーンとかの映像とかも、既視感ばりばりで、うーん、さすがにこれはもういいかなぁ、と思ってしまった。

多分、岡田麿里の脚本に飽きちゃったんだろうな。

というか、岡田麿里が参考にしていたはずの、90年代的なテレビドラマのシナリオ構造が、あまりに現在だと、古臭くて嘘くさく感じるからなんだろうな。

リアルでなければ、ファンタジーでもない。

中途半端なつくり。

申し訳ないけど、秩父が舞台なのにも飽きた。

というか、地方都市を舞台にする斬新さが、もはや大都市圏にはない、ってことなんだろうな。

もはや東京も巨大な地方都市のような感じで、随所でシャッター街となる地域も出てきたし。

この映画であれば「しんの」にしても「あおい」にしても、東京に出ればなんとかなる、夢が叶う、自分は変われるとか思っているけど、スマフォで追跡可能な現代に、抜け出す先なんかないし、じゃあ、東京の奴らはどこに逃げればいいの?ということにもなる。

だからまぁ、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」、という本作のタイトルの元ネタになったことわざに従えば、もう日本中、どこもかしも井戸でしかなくて、それぞれが、その井戸の中で空の青さを見上げるしかないのだ、ということなのかもしれない。

そうなら、逆に、思い切り時代にマッチしている、ということになるけど。

でも、それだと、夢はないよね。

あと、舞台を、秩父にする必然性もないよね。

だって、東京も秩父も井戸であることでは変わらない、というのであれば、見た目、華のある土地を舞台にしたほうがいいだろうに、と思ってしまう。

あ、あと、いやいくらなんでも、演歌はないでしょ?と思った。

変化球として狙いすぎ。

唯一、この映画でいいところだったのは、あおいに恋心を抱いている小学生のツグが、将来、ちゃんとあおいを支えると冷静に決意していること。

あの6歳?くらい上の、夢に生きようとする女子高生の未来を俺が支えてやると決意する小学生、というのは、いかにも今風の、男女の力学が拮抗し、あまつさえひっくり返ることもある様子を描いていて、岡田麿里っぽいと思った。

もっとも、それはいまどきの男子が最初から夢に生きることを放棄していることも表しているけど。

その点では、31歳のギタリストの慎之介は、間違いなくオールドタイプになるのだけれど。

その分、31歳になっても17歳?のときのままの、慎之介とあかねの恋物語の成就に物語の終幕を担わせたのは、さすがに中途半端。

終わってみれば、あおいは初恋に破れた女子高生でしかなかったわけだから。

どちらにしても、出口がない。

だからまぁ、「空の青さを知る人よ」なのだけれど。
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