ホセ・ブルゴス神父(1837~1872)はスペイン系メスティーサ(スペイン人とフィリピン人とのダブル)を母としてここヴィガンに生まれた在俗司祭です。私は旅行を計画した時点で彼の博物館を是非訪れたいと思っていましたが、旅行コースにはありませんでした。そこで自由時間を利用していきたいと思っていました。残念ながら当日休館日でした。写真はコースにあった6代キリノ大統領の生家の隣にブルゴスの生家がありその標示板です。
彼のことを知ったのは「フィリピン革命とカトリシズム」(池端雪浦著)でした。この本によると「原住民社会の側に自己を一体化し」(p68)彼の思想は「聖職者集団間の権益争いが、やがて、人種差別問題として自覚され、それがさらに民族意識へと成長していく過渡期の微妙な歴史過程をわれわれの前に開示している」(p71~72)
彼の思想はスペイン当局に危険視され彼とは全く無関係の暴動事件への関与をでっち上げられ処刑されます。彼の思想はスペインからの独立ではありませんでしたが、後のフィリピン革命(独立)へ繋がるものでした。
3月1日に記述した「カトリック教はスペイン支配の尖兵であると同時に、一方ではスペインからの自立、独立の拠点という相反する役割を歴史的に担ってきました」の一例でもあります。
なお、この「フィリピン革命とカトリシズム」はこのことがテーマの好著です。