浅草にK先生と待ち合わせて、衣装を探しに行きました。
先生が連れて行ってくださったお店は、偶然にも詩舞を習い始めたときに、飛び込みで入って舞扇をとりあえず買った店でした。
商人だけあって、こちらの話の持っていき方をすばやく察知して、お客が満足するように相槌を打ち、納得するように接客をするものなのだと感心しました。
先生といろいろと話し合った末に、もっとも出番が多いと思われる衣装は、黒紋付と色袴という選択でした。
ほんとは、同系色の濃淡で上下をそろえたかったのですが、十周年のお祝いであることから、黒紋付はどうしてもはずせないということになったのです。
着物、紋付というとシルクを想像しますが、とても手が出ないので、踊り専門の呉服屋さんで、ャ潟Gステル素材のものを求めました。
下着、旅、襦袢、紋いれも含めて4万円台ですんだのには、ありがたかった。
紋を入れるのに2日ばかりかかるので、その時まとめて受け取ることとして、今日は手ぶらで帰りました。
お付き合い願った先生にはせめてお昼をご馳走したいとの申し出を快く受けていただいて、浅草といえば大黒屋さんの天丼を30分ほど並んで、いただきました。
詩舞を専門となさっている先生とは、今日でお目にかかるのが3回目。
いろいろと、話したいことがいっぱいあって、並んで待つのもあっという間でした。
そのあとは、先生御用達の扇屋さんに行って、これからお弟子さんに教えるための扇を求めるのにお付き合いさせてもらい、新しい店の開拓になりました。
「このお扇子をもっておいきなさいまし。」
その言葉を、すっかりプレゼントと勘違いし、舞扇を求められた先生はすこぶるつきのお得意様なのだと思ったのでした。
そして、ありがとうございますと返事をし、それでは申し訳ないから、ぽち袋をせめても買い求めたのでした。
下町の老舗では、こういう言葉遣いをするのだと知って勉強になりました。
店員さんも誤解に気が付いたのか、別の理由でなのか分かりませんが、半額の値段をさりげなく提示したので、私もさりげなくお扇子とャ`袋の料金を払ったのでした。
今、思うとまんまと買わされたのか、それとも、由緒正しい老舗の正統派の店員さんは、半額にして損をしたのか、よくわからないまま、とても気に入った扇子を手に入れたのでした。
写真は、去年詩舞を始めるに当たって、とりあえず、吟の詩の内容にあった舞扇をお店の人の助言で購入した舞扇と曰くつきでも初めて持つちゃんとしたお扇子です。
今まで、、あおぐための扇子といったら、母が残した宣伝のために配られた扇子で、会社名、主に生命保険会社や新聞社の名前の入った景品でした。
景品といっても、なかなか、良い図柄のものが多く、母はこだわらずに使っていたから、今も残っているわけなのです。
会社名といっても、扇子に入れられる名前は、さりげなく小さく入っているから、ちっともそれとわからなかったし、団扇のようにウラの面いっぱいに会社名が印刷されていて使うたびに広告塔になることはなかったのです。
扇子の送る風は、涼しくほのかに香りがして、優雅なものです。
今まで家にあった扇子は、女性が持っても良いけれど、男性にも持てるような大きさだったから、今回手にいれた見るからに華奢な女性用の扇子は、なんだか、うれしい。
舞扇にしか目を向けていなかったから、店員さんの勧め?がなかったら、手にすることも開いてそのかわいらしさを喜ぶことも無かったから。お礼をいわなくちゃねぇ。