詩吟体操の始まりは、なるべく体に添って腕を持ちあげる。
肘から持ち上げると楽ですが、それではこの体操の良さが半減します。
指の先から上げていくようにすると、腕とはなんて重いんだろうと思います。
その重さを感じながら、脇も一緒に誘いあげていきます。
そして、今度は、その重さを胸骨で受け止めます。
それを実感するには、反対の手の指先を胸骨に置いて、腕を回して行くと
実感できます。
此の胸骨を感じることが出来ると、しぼんでいた胸が巨大な空洞となります。
喉を大きく開けてと言うと、喉に力がかかってしまいます。
胸骨を感じて、そこを視点にやじろべぇのように両手を開いて、小さくゆすると
胸骨が持ち上がる感じがして、結果的にバストアップします。
胸骨に与えた緊張の力を抜いた時、より開放されできた大きな胸の空間に
どれだけの声が響いて、相手に届くだろうか。
その次に、手のひらを返したときに肩甲骨へと導かれていく様子は、
小指から肩甲骨へと電気が通じるようにつながっていくと、次の体操への
理想的な始まりとなる。
次の始まりが、次の緊張と解放を呼び、また次へと。
この体操の本質を、ほんとうに説明して理解していただくには、長い長い
時間がかかります。
完璧に出来なくても、することに大きな意義があります。
体感するのは、女性が得意ですが、男性にも体感していただくのには私の
伝える力が足りないと感じることが、しばしば。
それでも、あきらめないで、続けて行く。実感できなくても、体には着実に
良い影響が届いているはずです。
23日は、会の始まりの体操の時、初めて、胸骨に言及しました。
理想的に喉が開くと、楽に声が出て大きく響きます。
この姿勢を保つのには、背筋の支えが必要と感じます。
先日山田先生の発声のための筋肉は腹斜筋と背筋であるとの音楽の講義で
習ったということを思い出し、このことをどのように伝えたらよいかを
考えました。
力を入れるのと、支えるのとは、的確に伝えないと誤解が生じます。
これは、思ったより難しく、力を入れると取られたかもしれません。
生半可にわかった体のことだから言葉にするのは、まだ、早かった。
ただ、体操のかたちを知っていただくことの方が、感覚的には正しく
伝わったかもしれない、想像すると言葉の危うさを知る。
前回の、吟友草加での体操は、効果的に伝わったと思ったのですが、
次回のお稽古で、確かめてみましょう。
体は楽器、理想のかたちをまず自分に。
きゅっと力を与えた後に脱力することが大事。
力を入れるのが重要なのではない。力を抜いた後の連鎖が重要。
今ある楽器の最高の力を引き出したい。