Nopera Aoi 日本の伝統と最先端クリエーションとの出会い
http://www.hakujuhall.jp/syusai/39.html
青木涼子 能アーティスト
池上英樹 打楽器
斎藤和志 フルート
馬場法子 作曲
山縣良和 ファッションデザイナー
12月14日 白寿ホールにて
すべての意味において、年を感じたこのコンサートでした。
7時開演の10分前には、ほとんど空席、ぴったり7時には、満席となり、5分ほど遅れて開演。
観客は、ほとんどが、仕事帰りの若い人ばかり、たまにご年配の方がいても、若々しく年を感じさせない人ばかり、その中で、頭の白い私は浮いていたかも。
プログラムをさぁ読みましょうと、取りだして、眼鏡もかけたのだが、開演前の照明は暗くて、小さすぎる字は読めなかった。
駆け込んできた人は、事前にネットで、プログラム、チラシにある情報は入れてきているらしい。
私は、それと知らず、読めないことに躍起となっていたのだが、帰って読んでみたら、HPでもうすでに仕入れていた事実だった。
周りがあまりに若い人ばかりで、ちょっと臆してしまって、しかし、青木さんの登場で、そんな気持ちは飛んでいった。
なんだろう?フルートといっても、私のイメージするフルートの音は出てこない。
知識不足なのか、新しい音なのか。
強いて言えば、おそらく、幽玄とかそのあたりの表情をあらわしたのだろうねぇ。
私の座ったF≠Wの席は、ど真ん中に立った青木涼子さんの姿が、すっきりと見通せる席だった。
Fの列から前の席と半分ずれて設置されていたため、肩と肩との間からまっすぐに見えたということ。
おかげで、一番の興味、能の声がどのように出てくるのか、全身を見ることができた。
袴の紐が十字に結ばれた華奢な腰からどうしてあのような、低い良く通る声が出てくるのか、結局はわからなかった。
ただ、まっすぐに私のところに届いて来る声を、一身で受け止めた、感じたというところだろうか。
駅から、ホールまで、偶々ご一緒だったご婦人は、当日券を買うため別の場所に並ばなければならなかったので、ほんのの二言三言しか言葉を交わせなかったのだが、とてもお疲れの様子で、初対面であれこれ聞ける雰囲気ではなかった。
そのご婦人は、終わって、エレベーターに乗ったとき、別人かと見まがうほどの穏やかな表情になって、うしろの方から乗ってこられました。思わず声をかけそうになったのだが、周りは、静かで穏やかな人ばかり、数人の肩越しに声をかけられる雰囲気ではなかったので、それっきりになりました。
私も、あんな穏やかな表情になっていたのかしら?
それなら、嬉しいのだけれど。
声の響きは、やはり、空気に乗って届いて来る声でなくちゃね。
訓練された声は、美しく、漂ったり、あるいは、まっ直線に、届いて、凝った心をほぐしてくれた。
能の微細な動きに焦点を当てられたと言うこの舞台は、辛うじて、前衛「ん?」という感覚にはならなかったのは、能の青木涼子さんの伝統を守って正しく発せられた芯のある声の響きの賜物でしょうね。
揺るがないということ、迎合しないということ。自分を信じるということ。
ぶれないってこと。その上で、コラボの相手を十分理解し、取り込んで、この形できあがる。
コラボって、並大抵ではない。
来春はフランス講演もあるとか。ぶれない、伝統券\と自在な洋楽とのコラボを、フランスの人もきっと楽しむことだろう。