天草の下田温泉で一泊した翌朝は、天草の下島を更に南下します。
最近世界遺産になったという崎津集落に行ってみることにしました。
(集落の様子はまた別途)
ぶらぶらしていると、可愛らしいお菓子が目につきました。
![2018/12/20天草崎津の杉ようかん 天草崎津の杉ようかん](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/85/03b103f0312a0592401c3c0cd32745d6.jpg) |
「杉ようかん」というもの。
白い米粉のお餅に、ピンクで着色してあり、緑の杉の葉が添えてあります。
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![2018/12/20天草崎津の杉ようかん 天草崎津の杉ようかん](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/46/2942d48ff5a1eadc75188dbe21075a51.jpg) |
買ったお店で、コーヒー1杯とこの杉ようかんを二人ではんぶんこしました。 ご主人がこのお菓子の由来を教えて下さいました。(↑集落内に看板もありました) 徳川家斉公の将軍即位の祝賀で琉球王の使節が江戸に向かったのですが、途中で嵐にあって、この崎津に漂着したのだそうです。 その際に崎津住民が救助を手伝ったお礼として、このお菓子の作り方を伝授したとのこと。
最近は作るお店もなくなっていたのですが、数年前、県の地域おこしか何かの事業(?)で、この地域特有のものはないか、という調査があり、杉ようかんが再発見されました。 昔は、かなり大き目で、杉の葉をぎっしりしきつめて、何層にも重ねたものだったそうです。 何日かにわたって食べるもので、結構固くなってしまったりもしたとか。 幸い、作り方を知っているお年寄りがまだいらっしゃいました。
商品開発にあたっては、現代風にアレンジ。 観光客が試しに買いやすい小さ目サイズにし、お値段もおさえ(確か1パック200円)、杉の葉は、剥がしやすい程度の分量に。 で、このような形になりました。
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![2018/12/20天草崎津の杉ようかん 天草崎津の杉ようかん](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/37/799bf66545119775cef7efd3c301e7b5.jpg) |
ようかんとはいうものの、米粉のお餅のようなもの。中に2筋に餡が入っています。 (杉の香りはよく分かりませんでした) ぺとぺとと手にくっつきますが、とても柔らかくモチモチして、おいしいお餅でした。
琉球由来・・・。 オリジナルはこちら、ムーチーです。
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![沖縄のムーチー 沖縄のムーチー](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/af/7e5e0d9139998c0cf4af9dbefbf25aae.jpg) |
(写真はWikipedia「ムーチー」より)
米粉(餅米粉)を練ったものをサンニン(月桃)の葉っぱで包んで、蒸してある餅菓子です。 大好きなお菓子で、以前沖縄に行ったときに沢山買って帰ったりもしました。 お餅に、月桃のいい香りがしっかり移っているのです。 (この香りが苦手という人もいるようですが)
杉ようかんは、このムーチーに、なんとなく通じるものはありますが、だいぶ違うかも。 まず包む葉っぱが、平たくて包みやすいものではなく、チクチクして、包むのには不向きじゃないかと思える、杉の葉。 琉球の人は、実際作ってみせたのだろうか、それとも作り方を教えただけ・・? レシピを書いて渡す(又は口頭で説明する)だけでは、この地に根付くまでには至らなかったと思うので、実際作ってみせた(救助のお礼に御馳走した)と思うんですよね。
とすると、琉球のパティシエは平たくて月桃的なものを探したはず。でも、代用になるものがうまくみつからなかったのかなあ。 香りがよくて、苦さなどが移らずに害にならない木の葉は、スギしかなかったのだろうか。 (それにしてもチクチクで、お餅に食い込んだら剥がすのは大変そうなんだけれど・・・)
日本全国でいうと、お餅を包む葉っぱとしては、ミョウガ、サンキライ(サルトリイバラ)、紫蘇、笹、などがあります。 ミョウガ(や生姜)は結構月桃に近くない? 200年前の崎津で、ミョウガの葉が採用されなかったのはなんでだろうなあ・・・。
あんこが挟んであるところも違います。 沖縄のムーチーは、小豆餡は入っておらず、餅自体に黒糖や紫芋で風味をつけてあります。 沖縄は暑いし、小豆餡は傷みやすいので、ムーチーに使う習慣はない、ということだと思います。 とすると、琉球パティシエは、きっと、餡なしで作ったんじゃないかなあ。 琉球の人から教わったあと、時代を経る間に、「やっぱあんこがあった方がおいしいよね?」と崎津で変化していったのかもしれません。
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■参考情報
沖縄の餅各種(杉ようかんに似たものはないです)