採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

台湾2023.4:国立故宮博物院南院

2023-06-06 | +海外

4月に台湾に行ったときのことです。

嘉義にある、故宮博物院南部院区に、お友達に連れて行って頂きました。

故宮博物院といえば台北ですが、台湾南部の嘉義に、2015年に別館が出来たのです。
建築家は、台湾出身の姚 仁喜(ヤオ・レンシー/ Cris Yao/クリス・ヤオ)氏。
現代建築には明るくないので知りませんでしたが、台湾で沢山の公共建築を手がけた方だそうです。
あと、台湾の大手書店・雑貨チェーン「誠品生活」の日本出店1号店(東京・日本橋。2019年)の店内設計も手がけたそうです。

故宮博物院南院

駐車場からてくてく歩いて池のほとりに出て、更に進んで池の上の橋を渡って建物に至ります。
橋の右に見えるのが目的地。
中国の書の濃墨、飛白(かすれ)、渲染(ぼかし)の三つの筆法にインスピレーションを得たのだそうです。


故宮博物院南院

建物はこんな感じ。
(Wikiからの借り物です)

ここまでで思ったことは次の通り。
・なんでこんなに広大な敷地なのに駐車場が狭いのか。
(昼の直前に到着し、いっぱいで待つほどでした。週末とはいえ特に大人気の特別展があったとは思えないのに)
・駐車場からずいぶん歩くようになっているけど、高齢者や体調不良の人にはつらいのでは。
斜路になっているので一応車椅子でもいけるけど・・・。
・しかも道中、日よけになる屋根なし。台湾の真夏、また雨の日はこの距離は楽しめなさそう。
・遠くから眺める橋はまあ綺麗だが、構造物本体は、特に印象なし(写真撮り忘れたほど)。
写真で見返しても、うーむ、まあ、なんか、ゴツゴツしてるというか・・・。
・もし美術館地下に直結の駐車場があるならば、次はそちらに停めたい(建築の鑑賞はもういいかな・・)。
   ↓
と思って調べたら、身障者用に建物近くに駐車場があるようでした。
あと、今回停めた遠い駐車場からはシャトルバスがあるようです。私がいたときは目につきませんでしたが・・。

故宮博物院南院

館内は、ロビーエリアは明るい構造でした。
展示物のエリアは、展示物保護のため外光が全く入らない設計になっているようです。

今回行ったときは、
・例の翡翠の白菜
・仏教美術(含龍蔵経
(この龍蔵経、外箱とその装飾、包み布など全ての点でとても貴重なものらしい、ということは分かるのですが、実際どう使ったのか(それともたまに見るだけ?作っただけ?)など基本的なことが分かりません。どこかに解説がないものか・・・。)
・茶道具の歴史
・清朝の七宝
などの展示をやっていました。

撮影は不可ではないようですが、気後れしてあまり撮れず。
じっくり鑑賞を楽しみました。


ちょっと面白いと思ったのは、茶道具の展示で見た、お茶の入れ方の歴史。
時代によってお茶っ葉の形状やお茶の入れ方って異なっていて、それに対応して茶器も変わってくるのです。
日本の抹茶のルーツかも、と思うものも。

故宮博物院南院

■唐代のお茶
固く押し固めた茶葉(餅茶)を遠火であぶる(プーアル茶みたいな感じかな?)
→茶葉を薬研のようなもので粉にする
→粉状のお茶をふるう
→鍋にお湯を沸かし細かい方の粉茶を入れる
→煮えているお茶をお玉に汲んで高いところから注ぐようにして泡が立つようにする
→朝顔型に開いた茶器にお茶を注ぐ

故宮博物院南院

■宋代のお茶
搗き臼のようなものでお茶を粉々にする
→茶餅の場合は薬研で、茶葉の場合は石臼で更に細かくする。
→粉茶を篩う
→粉末のお茶は容器にしまっておく(茶道の棗みたいな感じかしら)
→茶杯に粉末茶を入れる
→沸騰したお湯をそこに注ぐ
→茶筅というかササラ?のようなもので攪拌する
→独特の形状の台に、茶杯を置く

粉末のお茶にお湯を注いで攪拌だなんて、お抹茶のようです!
あと、日本のどこかにぶくぶく茶だったかバタバタ茶という泡立てるお茶もあるようですが、あれのルーツもこのあたりかな?

故宮博物院南院

■明代のお茶
お湯をわかす
→茶葉(粉ではない)を壺からすくい出し、急須に入れる
→急須にお湯を注ぐ
→急須から茶杯にお茶を注ぐ

この方法は、現代の中国や日本の通常のお茶の入れ方ですよね。

故宮博物院南院

■清代のお茶
お湯を沸かす
→茶葉を(壺から)掬いだし、急須に入れる
→急須にお湯を注ぐ
→急須から、茶こしを通して茶碗にお茶を注ぐ
→茶碗には蓋をする

明代とほぼ同じですが、茶碗に蓋をするようになっています。



展示物の中で印象に残ったのは、上記のどれとも該当しない茶器。
チベットのバター茶を作るための木製容器「ドンモ」を模して作られた、陶磁器のドンモ。

故宮博物院南院

バター茶を作るには、まずブロック状の茶葉から少量の茶葉をほぐし、大量のお湯で煮出します。
この熱いお茶と、ヤクのバター、塩、はったい粉のようなものも混ぜて攪拌して乳化させると、ポタージュスープのようなものになるのだそうです。
このバター茶は、チベットの人が大変に愛好する飲み物。一日に10杯も飲んだりするそうです。

清朝の宮廷にもチベットからお客さんが来るので、このバター茶を作って振舞ったのでしょうか。

故宮博物院南院

ひとつめの写真のドンモはまだ、木製で金属のタガがはまっている原型の様子が残っていますが、これはすっかりかけ離れたロココ調(?)の華麗な装飾。
別途、本当のドンモで攪拌してバター茶を作っておき、この装飾茶器はあたためておいて、出来上がったバター茶をこれに入れたのでしょうね。

チベット人でなくても、リッチなバター茶好きの清朝宮廷人がいたりしたのかな。

 

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