採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

サンザシ

2020-11-09 | +ジャム・ピール(果物系保存食)

近所の産直で、珍しいものを見かけました。
この産直は、とても小さくてローカルなので、基本的にはあまり冒険したものは置いていないのです。
でもたまに変わったものがあります。

今回は「山査子 サンザシ」。

サンザシ

なにこれ初めて!
これまでも出ていたのに見逃していたのか!? 
不安になってお店の方に聞いてみましたが、
「いや、今年初めてなんですよ。だから私たちも使い方よく分からなくて・・」
とのこと。

これは買ってみなくてはね。

サンザシ

ぱっと見、さくらんぼくらいのサイズの赤い実です。
でも比重はずっと軽く、コロコロと軽い実です。

サンザシという名前はずっと前から知っていた気がします。
子供の頃に読んだ児童文学のあちこちで見た記憶が。
(ちなみに英語だと hawthorn ホーソーン や mayblossom などいくつもの呼び名が。 
『緋文字』の作者 ホーソーンは、Hawthorne で末尾にe がつくみたいです。)

あと、高校生頃だったか、十円玉くらいのサイズの円盤状の中国の甘酸っぱいお菓子(山査子餅)を食べたことがあります。
父が中国に赴任していたのでそのおみやげだったかなあ。それとも友達にもらったのだったか。

山査子餅というのはこれです。

サンザシ

(写真は借り物です)
この写真だとほんとに10円玉みたいな色合いに写っていますが、もう少し赤紫色ぽかったような気がします。
ごく小さなうすべったいお菓子ですが、酸味のパンチが効いているので、この1枚で結構満足感があるものでした。

それにしても、この状態では、もとの果実が何か、というか、もとが果実かどうかすら不明ですよね。
なのでサンザシってずっと謎の植物でした。


さて、初めて見る本物のサンザシを観察してみます。

サンザシ

大きさは、小さ目のサクランボくらい。
色はきれいな赤い色で、つるつるしていて、ゴールドの点々が散っています。
軸がついている側は、ほとんど窪んでいません。
花落ちのが環は、大きく窪んでいて、ガクが残っています。

断面を見ると、皮の赤さが中までしみているように、果肉も赤く染まっています。
果肉が赤いりんごの御所川原や、ムーンルージュ・なかのの深紅を思いおこさせますが、赤さはサンザシが一番濃いかも。

まずは生でちょびっと食べてみました。
皮はとても薄く、果肉は以外にも、リンゴやナシとは違って、フカフカ。
(りんご的なシャキシャキ系か、もしくは梨みたいにツブツブがあるのかと想像していました)
水分がなくてわりときめ細かいスポンジ状(劇落ちスポンジくらい?)。
古くなったりんごからさらに水分を抜いた感じかな(よりきめ細かい)。

こんなにフカフカなので、持った感じ、比重が軽かったのですね。
ただ、組織が柔らかいせいか日持ちはしなさそうで、軸が千切れたところなど、割といたみが早そうでした。

味は、甘さは控えめだけれど、ほどよい酸味があって、古くなったりんごよりは美味しいです。
(これが、加熱するとまた変わってくるのです!)

種は、りんごとは違って鞘には入っておらず、ツブツブしたものが数個あります。

サンザシ

この種は、縦長形状で、小石のように固くてなめらか。
色は、サクランボの種のような色合いでしょうか。

サンザシ

種は、当然バラ科だし5個かと思ったら、受粉の度合いによるのか、いろいろでした。これなどは4個。

サンザシ

こちらは5個。
きっちり5個あるものの方が少なかったかも。
セイヨウサンザシのある品種は、種は一個なのだそうです。


種と軸、花落ち部分を取り除くために、縦横に4分割しました。


大量に木から摘んだ場合は、水たっぷりで煮て、透明な液体部分のみ使ってジェリーにしたり、越してジャムにするのかなと想像しますが、丸ごと使うのはちょっとおすすめできません。
というのも ↓

サンザシ

こんな風に、結構虫食いの個体があるのです。
少なくとも半分に切って、中をチェックした方がよさそう。


サンザシ

きれいにしたサンザシに、お砂糖をまぶしてしばらくおいたところ。
あまり水分は染み出してこず、白っぽかった果肉がちょっと濃い色合いになってきました。
(リンゴの変色みたいですね)
で、これを電子レンジで加熱。

サンザシ

果肉が少し透明になり、全体が赤く染まってきました。
なんかきれい☆ わーい☆☆

で、この状態で食べてみると、生のときはフカフカだったのですが、今度は不思議とモチモチに。
皮はもともと薄かったので全く気になりません。
このモチモチ感はペクチンたっぷり、ってことかな?

で味なのですが、さっきは、ああ、酸っぱいなーくらいの味わいだったのですが、加熱後は
「うわ、すっぱ!」
と、酸っぱいもの好きの私が思うほど。
触感のモチモチ感が楽しくて、ひとかけずつつまみ食いするのですが、4つくらい食べると、酸っぱさのあまり一休みしたくなるほど。
ダンナサマは、酸っぱいもの、そこそこ大丈夫なのですが、「食べてみる?」と聞いてみても、
「いや、やめとく。サンザシが酸っぱいって知ってるし」
ですって。子供の頃、何らかの形のサンザシを食べたことがあるようです。(時代? それとも九州ローカル?)

酸味が強いだけでなく、独特の風味があります。
(昔食べた中国の山査子餅を思い出す・・・。でも加工食品のアレよりはもっとおいしいですけれど)
なんかいい香りです。


せっかくの強い酸味なので、酸味不足のものとあわせてみることにしました。
丁度、酸味がなくて物足りないりんご(ひめかみ)があったので、それをレンジで加熱してから混ぜます。

サンザシ

加熱後のかさで、サンザシ:りんご=1:2くらいかな?
これをスティックミキサーでピュレ状に。

サンザシ

きれいなオレンジピンクのジャムになりました。
(りんごが黄色かったので、オレンジ系の色味が強くなったのかな)

だいぶりんごで希釈しましたが、これでもまだ酸味のパンチが効いています。
でももっと薄めると、サンザシの風味が薄れてしまうかなー。
サンザシのペクチンのせいか、とってもぽってり固めになったので、水を足してもいいのかもしれません。



初めての食材、とっても楽しみました。
今年の売れ行きが悪いと来年出てこないかもしれないけれど、注文してでも買ってみたいです。


■参考情報
サンザシ Wikipedia
この項目は日本語版が一番充実していました。
というのも、よく見ると、中国から日本に伝わった Crataegus cuneata という品種についての項目でした。

英語圏でも結構有名な植物なはずなのに、と思って調べてみると、英語が充実しているのはこちらでした。
Crataegus monogyna (セイヨウサンザシ、シングルシードサンザシ)
Crataegus (サンザシ属)

さらに調べると、サンザシにはものすごくたくさんの種類があるようです。(全部利用される訳ではないとは思いますが)
黒い実のサンザシが約40種
黄色い実のサンザシが135種くらい
(赤い実のはおそらくさらに沢山)

へー、黄色い実・・・と、書いていて思い出しました。
イタリアで、黄色い実のサンザシ、見た

うわー。完全に忘れていた。ナポリの市場で、小さいマルメロみたいなの、なんだろう、と思ったのでした。
今回赤かったし、全然違う雰囲気。
あと、イタリアのは、買わなかったし印象が薄かったのだわ、うむ。

写真を再掲しておきます。AZZERUOLE がイタリア語のサンザシになります。
三番目のものは商品ラベルがなくてよく分からなかったのですが、たぶんサンザシじゃないかなと・・。

西洋サンザシ
西洋サンザシ
西洋サンザシ
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2 コメント

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Unknown (●レモンさま~Fujika)
2020-11-11 14:39:03
サンザシの砂糖まぶし、カルディや富澤にあるのですね!ダンナサマが知ってる、と言ってたものがそれかも。これまであまり目にとめたことがありませんでした。今度探してみます!

山査子餅は、もうちょい人工的な風味もしたかも・・・(中国ぽい香料とか)。
欧米ではそこらに生えていそうですよね。きっとリンゴなどより丈夫なんでしょうね。
花も、バラ科の五弁の白い花がびっしりついて、きれいなようです。メイフラワーってこれかー、と思いました。
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Unknown (レモン)
2020-11-09 21:52:33
山査子は子供の頃から大好きで、今でもカルディや富澤商店などで買ってたまに食べます。原材料は山査子と砂糖のみといたってシンプルで、ぎゅーんと酸っぱくて美味しいんです。写真の山査子餅も同じようなお菓子かな?と気になります。

園芸カタログにもよく苗木が載っていたし、わりと栽培が簡単な果実なのかもしれません。見た目からりんごの極小版のような感じ?と勝手に想像していましたが、不思議な果実なんですねー。
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