カーネギー・ホールに始めて入った。
よくTV などで映されるスターン・オーディトリアムと言う2800席ほどの大ホールであるが、120年経っているだけに、重厚かつ古風で中々雰囲気のある素晴らしいホールである。
このホールは、クラシックもジャズやポピュラーも、あらゆるジャンルの有名ミュージシャンが桧舞台として登場してきた劇場なので、客席の外側の回廊の壁面に所狭しと彼らのサイン入りの写真が飾られていて壮観である。
セピア色に変わりかけた巨匠達、カラヤンやカラスなどの若々しいモノクロ写真が郷愁を誘う。
予備室には、古いレコードや厖大なドキュメントとともにジャズなどの歴史資料が展示されていたり、喫茶室には大きなホロビッツのポスターが貼られていたりして、ノスタルジアに浸れて楽しい。
私の聴いたのは、ニューヨーク・ポップス・オーケストラの”GREAT MOMENT FROM POGGY AND BESS AND DAYFUL OF SONG"と言うタイトルのオール・ガーシュイン・プログラムである。
ニューヨーク・ポップスと言うオーケストラがあるのさえ知らなかったが、これは、正に、アメリカでしか聴けないアメリカならばこその、素晴らしいコンサートであった。
ガーシュインは、ジャズ的なリズムの音楽で正にアメリカを代表するクラシック音楽の巨匠だが、私自身は、オーケストラで、「ラプソディ・イン・ブルー」と「パリのアメリカ人」を聴き、特に、ラプソディのピアノの何とも言えない音色に感激してファンになった。
その後、大分経ってから、ロンドンのロイヤル・オペラで、ガーシュインのオペラ「ポギーとベス」を観た。スラム街の黒人達の生き様を描いた実に物悲しいオペラなのだが、ベスの歌う「サマータイム」は良く知られたポピュラー音楽になっているが、あのシチュエーションで聞くと、胸を締め付けるほど感動する。
ポギーは、ウィラード・ホワイト、ベスは、シンシア・ヘイモンで、歌手は殆ど黒人達であったが、当時、最高のメンバーでのオペラ公演であった。
ところで、このコンサートは、ニューヨーク子としてガーシュインに惚れ込んだ指揮者でピアニストのアンドリュー・リットンが作り出したガーシュイン音楽で、ポギーとベスは、オペラを3分の1にコンパクトに短縮して、たった4人の歌手だけを起用してアレンジし直したコンサート版のポギーとベスなのである。
先ほどのポギー歌手ホワイトから、ロンドン交響楽団の演奏会のポギーとベスの抜粋演奏会を提案されたが、不都合があったので、ホワイトの薦めもあって、作曲家の意図を十二分に盛り込んだ全オペラのシーンを包含したオーケストラ版のコンサート組曲を作り上げたと言うのである。
サマータイムは消えていたが、4人の黒人歌手達が一寸した仕草を交えながら感動的な舞台を展開してくれた。
特に、ベスとクララを歌ったモレニケ・ファダヨミは、声のみならず実に妖艶で魅力的なウィーンで学んだオペラ歌手であったが、他の3人の歌手達もキャリアーを積んだ素晴らしい歌手達であった。
もう一つの「DAYFUL OG SONG」は、これまで一度も日の目を見なかったガーシュインの手書きの原稿からリットンが掘り起こした7曲の歌曲集で、ニューヨーク初演だと言うことで、リットン自身が、ピアノの前に座って指揮しながら弾き語りを行った。
1995年に、リットンが、ワシントンのワーナー劇場で国会図書館のガーシュイン記念コンサートの芸術監督に指名された時に、ガーシュインの未公開写本や原稿にアクセスすることを認められたお陰だと言う。
長く音楽監督を務めていたダラス交響楽団から、一番ガーシュインを得意とするコーラスだと言って、バックにはダラス交響楽団合唱団を引き連れてきていた。
このリットンだが、寒いノルウエーのベルゲン交響楽団やオペラでも音楽監督をしていたようだが、一寸アンドレ・プレヴィンを思わせる器用で陽気なアメリカのマルチタレント指揮者と言う感じで、非常に楽しいコンサートであった。
ニューヨーク・ポップスだが、1983年に、アメリカの豊かな音楽遺産を演奏し公開する為にプロのオーケストラとして設立された最大のポップス楽団のようで、このカーネギー・ホールをベースに、世界各地でもコンサートを開いている。
高校などに無料で音楽教育奉仕も行っているようで、この日も、沢山の黒人の小学生達が招待されてやって来ていた。
一度だけ聴いたが、有名だったのは、アーサー・フィードラー指揮のボストン・ポップスで、映画音楽など華麗な演奏で楽しませてくれた。このオーケストラは、ボストン交響楽団の各パートの主席を欠いたオーケストラであったようだが、今でもやっているのであろうか。
日本やヨーロッパには、このようなフルスケールのポップス専門のグランド・オーケストラがないように思うが、やはり、映画音楽の国アメリカの産物なのであろうか。
よくTV などで映されるスターン・オーディトリアムと言う2800席ほどの大ホールであるが、120年経っているだけに、重厚かつ古風で中々雰囲気のある素晴らしいホールである。
このホールは、クラシックもジャズやポピュラーも、あらゆるジャンルの有名ミュージシャンが桧舞台として登場してきた劇場なので、客席の外側の回廊の壁面に所狭しと彼らのサイン入りの写真が飾られていて壮観である。
セピア色に変わりかけた巨匠達、カラヤンやカラスなどの若々しいモノクロ写真が郷愁を誘う。
予備室には、古いレコードや厖大なドキュメントとともにジャズなどの歴史資料が展示されていたり、喫茶室には大きなホロビッツのポスターが貼られていたりして、ノスタルジアに浸れて楽しい。
私の聴いたのは、ニューヨーク・ポップス・オーケストラの”GREAT MOMENT FROM POGGY AND BESS AND DAYFUL OF SONG"と言うタイトルのオール・ガーシュイン・プログラムである。
ニューヨーク・ポップスと言うオーケストラがあるのさえ知らなかったが、これは、正に、アメリカでしか聴けないアメリカならばこその、素晴らしいコンサートであった。
ガーシュインは、ジャズ的なリズムの音楽で正にアメリカを代表するクラシック音楽の巨匠だが、私自身は、オーケストラで、「ラプソディ・イン・ブルー」と「パリのアメリカ人」を聴き、特に、ラプソディのピアノの何とも言えない音色に感激してファンになった。
その後、大分経ってから、ロンドンのロイヤル・オペラで、ガーシュインのオペラ「ポギーとベス」を観た。スラム街の黒人達の生き様を描いた実に物悲しいオペラなのだが、ベスの歌う「サマータイム」は良く知られたポピュラー音楽になっているが、あのシチュエーションで聞くと、胸を締め付けるほど感動する。
ポギーは、ウィラード・ホワイト、ベスは、シンシア・ヘイモンで、歌手は殆ど黒人達であったが、当時、最高のメンバーでのオペラ公演であった。
ところで、このコンサートは、ニューヨーク子としてガーシュインに惚れ込んだ指揮者でピアニストのアンドリュー・リットンが作り出したガーシュイン音楽で、ポギーとベスは、オペラを3分の1にコンパクトに短縮して、たった4人の歌手だけを起用してアレンジし直したコンサート版のポギーとベスなのである。
先ほどのポギー歌手ホワイトから、ロンドン交響楽団の演奏会のポギーとベスの抜粋演奏会を提案されたが、不都合があったので、ホワイトの薦めもあって、作曲家の意図を十二分に盛り込んだ全オペラのシーンを包含したオーケストラ版のコンサート組曲を作り上げたと言うのである。
サマータイムは消えていたが、4人の黒人歌手達が一寸した仕草を交えながら感動的な舞台を展開してくれた。
特に、ベスとクララを歌ったモレニケ・ファダヨミは、声のみならず実に妖艶で魅力的なウィーンで学んだオペラ歌手であったが、他の3人の歌手達もキャリアーを積んだ素晴らしい歌手達であった。
もう一つの「DAYFUL OG SONG」は、これまで一度も日の目を見なかったガーシュインの手書きの原稿からリットンが掘り起こした7曲の歌曲集で、ニューヨーク初演だと言うことで、リットン自身が、ピアノの前に座って指揮しながら弾き語りを行った。
1995年に、リットンが、ワシントンのワーナー劇場で国会図書館のガーシュイン記念コンサートの芸術監督に指名された時に、ガーシュインの未公開写本や原稿にアクセスすることを認められたお陰だと言う。
長く音楽監督を務めていたダラス交響楽団から、一番ガーシュインを得意とするコーラスだと言って、バックにはダラス交響楽団合唱団を引き連れてきていた。
このリットンだが、寒いノルウエーのベルゲン交響楽団やオペラでも音楽監督をしていたようだが、一寸アンドレ・プレヴィンを思わせる器用で陽気なアメリカのマルチタレント指揮者と言う感じで、非常に楽しいコンサートであった。
ニューヨーク・ポップスだが、1983年に、アメリカの豊かな音楽遺産を演奏し公開する為にプロのオーケストラとして設立された最大のポップス楽団のようで、このカーネギー・ホールをベースに、世界各地でもコンサートを開いている。
高校などに無料で音楽教育奉仕も行っているようで、この日も、沢山の黒人の小学生達が招待されてやって来ていた。
一度だけ聴いたが、有名だったのは、アーサー・フィードラー指揮のボストン・ポップスで、映画音楽など華麗な演奏で楽しませてくれた。このオーケストラは、ボストン交響楽団の各パートの主席を欠いたオーケストラであったようだが、今でもやっているのであろうか。
日本やヨーロッパには、このようなフルスケールのポップス専門のグランド・オーケストラがないように思うが、やはり、映画音楽の国アメリカの産物なのであろうか。