熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

秋深き東大での午後のひと時

2008年12月09日 | 生活随想・趣味
   最近、東大の安田講堂で開催されるフォーラムによく出かける。
   シンボルがイチョウであるので当然であろうが、今、正門から安田講堂にかけてのイチョウ並木が黄金色に輝いて非常に美しい。
   午前と午後のフォーラムの合間に、1時間半休憩があったので、東大のキャンパスを少し歩いてみた。
   我が母校京大のキャンパスとどうしても比べてみるのだが、京都の場合には、街全体が昔の条里制で区画されたている所為か、方形の街区に区切られていて非常に狭いので、正門から講堂を併設した本部建物までの距離がなく、まず、広場さえないので、東大のスペースの豊かさは非常に羨ましい。
   京大のことは、もう、何十年も前に卒業式に出たままで、本部建物のその後の改築後の姿を知らないので分からないが、東大の安田講堂は、半円形の2階席のある非常にシックな建物で、中々、雰囲気があって素晴らしい。

   この安田講堂の前庭広場と講堂の地下に、大きな食堂がある。
   地下1階の中央踊り場部分にディスプレイと食券売り場があり、その下の地下2階の中央に厨房と配膳カウンター、その周りに沢山のテーブルが並んでいる。
   学生たちでごった返しており、工場の食堂のような感じで、決して、美しいとか清潔だとかと言う雰囲気ではないが、沢山の品揃いで選択肢があり、市価より安くリーゾナブルな価格だから満足すべきであろう。
   余談だが、ヨーロッパでは、街の中心にあるラートハウス(市庁舎)の地下には、必ず、ビールかワイン主体の大きな居酒屋風の食堂があり、何時も、市民客で賑わっていたのだが、いくつかのラートハウス・レストランでグラスを傾けながら、非常に素晴らしいシステムだと思っていた。

   東大キャンパスで素晴らしいのは、夏目漱石でも御馴染みの三四郎池で、安田講堂から赤門よりのすぐ傍にあって、一歩入り込めば、鬱蒼とした森の中の雰囲気となり、切り立った斜面の下に水草にびっしりと覆われた池が見え隠れして、丁度、数本あるもみじや落葉広葉樹の紅葉が、木漏れ陽に輝いていて美しい。
   殆ど人はいないが、池畔に座って恋を語っているのであろうか、カップルの学生がじっと動かずに水面を見詰めていたのが印象的であった。(尤も、遠目で眺めていただけ)
   無粋なのは、鳥の鳴き声で、近くに上野の森や不忍池があり多くの鳥がいるはずなのに、からすの鳴き声だけが耳障りで興ざめであった。
   水面では、鴨のカップルが戯れているのに。

   もう一つ私が目指したのは、東大生協のブックショップである。
   第一印象は、東大関係の書籍のコーナーがある程度で、殆ど、一般の書店と変わらない感じで、特別な本が並んでいる訳ではない。
   一番目立つメインの平積みカウンターには、「ソロスは警告する」、「ランド」、新しく出た「クルーグマンの視座」などに混じって、田原総一郎の「再生日本」や姜尚中教授の対談集、ムハマド・ユヌスの「貧困のない世界を創る」等々バリエーションに富んだ雑多な本が並んでいる。
   経済経営関係の平積みカウンターには、ノーベル賞のクルーグマン、新大統領のオバマ関連本が数冊ずつ並んでいたが、「ブラック・ショールズ微分方程式」とガルブレイスの「大暴落1929」に挟まれて、白川日銀総裁の「現代の金融政策」が置かれていたのが面白い。

   何故か、一般書店で人気の高い勝間和代の本が2冊うず高く積まれていたのが目立ったが、売れているのか売れていないのか分からない。
   余談だが、同じ人気の高い茂木健一郎の本は殆どなかったように思う。
   結局、私は、これまでに何度も講演を聴いている小宮山宏東大総長の「講演 知識の構造化」サイン本を、纏めて論点を復習しようと思って買って書店を出た。

   ところで、安田講堂の建物の裏手地階の隅に、生協のショップがある。
   コンビニを2~3倍の広さにしたような店で、飲料や軽食、弁当などは、全くコンビニと同じディスプレーだが、違うのは、文房具やシャツなどの東大グッズのコーナーがあることで、東大饅頭などの菓子類まで並んでいる。
   入り口には、売り物の自転車が数台並べられており、それに並んで、卒業式用の袴(HAKAMA)のレンタル広告が張ってあり、ご丁寧にも、真っ赤な振袖に袴をつけた着物がディスプレイされていた。
   私が学生の頃には、京大でも、ウォートン・スクールでも、女子学生の数は極めて少なかったが、今では、東大のキャンパスでも、シックで綺麗な女子学生が、キャンパスを歩いているし、偶に講義を一緒に聴く教室でも見かけるので、当然のこととは言え今昔の感である。

   ところで、何時も、キャンパスには、高校生の集団が沢山来ているのだが、修学旅行であろうか。或いは、東大を目指しての見学であろうか。
   それに、結構観光客が多いのにびっくりする。
   欧米では、大学のキャンパスが観光コースに当然入っているので、この東大の傾向も好ましいことである。
   
コメント
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