チュニジアに端を発した北アフリカと中近東のイスラム世界の民主化の波は、とうとう、カダフィの暗殺と言う大詰めを迎えて、終局に向かいつつある。
また、オバマ米大統領が、21日ホワイトハウスで記者会見し、イラク駐留軍を年末までに完全撤退させ、イラク戦争を終結させると発表した。
イスラム世界に対する欧米先進国の反発なり嫌悪感は、9・11を頂点にして、ウサーマ・ビン=ラーディンを精神的指導者としたアルカイダ、すなわち、イスラーム主義(イスラーム原理主義)と反米・反ユダヤを標榜するスンニ派ムスリムによるイスラーム過激派国際ネットワークへの恐怖と対峙したヒステリックな反イスラム運動と、民衆を抑圧し続けた専制的独裁者への反発が呼応して、激しい文明の衝突が展開されて来た。
そして、ムスリムの台頭に反発したノルウエーのナチズムによる連続テロ事件が、ヨーロッパ諸国で頻発するムスリム移民との摩擦を象徴しているように、今や、キリスト教徒を主体とした欧米とイスラム教徒との文明の衝突が、冷戦終結後の、前世紀末から今世紀初頭の最大の歴史的事件となっている。
ブッシュ大統領は、大量破壊兵器で世界を恐怖に陥れているとしてフセイン・イラクに戦争を挑み、イラクの民主主義化を標榜して無意味な殺戮を続けたが、あの戦争にしても、現在のアフガニスタンでの民主化運動にしても、私たちは、殆ど、欧米のメディアや政府の情報、或いは、欧米の文献や資料、そして、それに影響された日本の報道や情報でしか、知り得ないのであるが、果たして、本当に、これらが、客観的でフェアな情報であり知識であるのか、私自身は、いつも疑問に思っている。
歴史を振り返ってみれば、勝てば官軍負ければ賊軍で、支配的な勢力が総て自分たちを正当化するために、世論を操作し、歴史の真実を塗り替え書き換えて来ていることからも、この疑問がそれ程間違っているとは思えないのである。
中世と呼ばれている西洋文明の暗黒時代は、西ローマ帝国が崩壊した紀元476年から、コロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年までだが、この間、世界を制覇し、文化文明の頂点を極めていたのはイスラム(そして、元等の中国)であり、ギリシャ文明や高度なオリエント文明を継承し、イタリア・ルネサンスを触発したのも、イスラム文化文明であることは、周知の事実であり、今でこそ、あたかも欧米の白人文化と政治経済社会体制によって世界秩序が維持されている様相を呈しているのだが、当時は、イスラムの足元にも及ばなかったのである。
このあたりの話などは、塩野七生さんの「ローマ亡きあとの地中海世界」などを読めば面白いが、あの大航海時代の後も、相当長い間、イスラムの歴史上での影響力は強く残っていた。
それに、中国とインドのアジア大国の経済力は、19世紀の半ばまで、世界の過半を占めていたことも歴史上の事実であり、今日の中印などBRIC'sの台頭は、今世紀に置いて、世界的支配の趨勢が、再びアジアに逆転する傾向であると考えられているのも、故なしとしないのである。
私は、西欧とイスラム文化の融合の姿を見たのは、まず、最初に、グラナダのアルハンブラ宮殿で、あの歴史遺産の素晴らしさは、正に、感動の一語に尽き、その後、コルドバで見たメスキータであり、流石のスペインのキリスト教文明も、イスラムの文化の粋を結集した宮殿やモスクを破壊できずに、自分たちの宮殿や境界を付加せざるを得なかったのであろう。
ここで、北アフリカや中近東の春を迎えたイスラム諸国の再建について偉そうな口を叩くつもりはないが、一つだけ言いたいのは、どの国にも、その固有の文化文明と長い歴史によって培われた国民精神とか価値観なり貴重な精神的財産がある筈なので、イラクでアメリカが行ったような手前勝手なアメリカ型民主主義の押し売りなどは、絶対にすべきではないと思っている。
マッカーサーが、修身・日本史・地理の授業の停止を命じて教科書を回収したと言った暴挙で、日本人に対して、日本人の依って立つ道徳的規範や、日本自身の歴史と国土に関する日本人にとって最も重要な教育をないがしろにしたのだが、これなどは、文明国日本に対する絶対に許せない最大の侮辱であり、こんなことが、春を迎えたイスラム国家に対して、西欧先進国によって、絶対になされてはならないと思っている。
私自身は、アメリカで大学院教育を受け、欧米等で長年住んで、欧米の文化文明の素晴らしさとその恩恵を十分に受けており、現在の自由主義的民主主義を認めてはいるが、どのような歴史段階にあり、どのような地域に存在しようとも、その国固有の文化文明、歴史、価値観等を尊重すべきだと思っている。
また、オバマ米大統領が、21日ホワイトハウスで記者会見し、イラク駐留軍を年末までに完全撤退させ、イラク戦争を終結させると発表した。
イスラム世界に対する欧米先進国の反発なり嫌悪感は、9・11を頂点にして、ウサーマ・ビン=ラーディンを精神的指導者としたアルカイダ、すなわち、イスラーム主義(イスラーム原理主義)と反米・反ユダヤを標榜するスンニ派ムスリムによるイスラーム過激派国際ネットワークへの恐怖と対峙したヒステリックな反イスラム運動と、民衆を抑圧し続けた専制的独裁者への反発が呼応して、激しい文明の衝突が展開されて来た。
そして、ムスリムの台頭に反発したノルウエーのナチズムによる連続テロ事件が、ヨーロッパ諸国で頻発するムスリム移民との摩擦を象徴しているように、今や、キリスト教徒を主体とした欧米とイスラム教徒との文明の衝突が、冷戦終結後の、前世紀末から今世紀初頭の最大の歴史的事件となっている。
ブッシュ大統領は、大量破壊兵器で世界を恐怖に陥れているとしてフセイン・イラクに戦争を挑み、イラクの民主主義化を標榜して無意味な殺戮を続けたが、あの戦争にしても、現在のアフガニスタンでの民主化運動にしても、私たちは、殆ど、欧米のメディアや政府の情報、或いは、欧米の文献や資料、そして、それに影響された日本の報道や情報でしか、知り得ないのであるが、果たして、本当に、これらが、客観的でフェアな情報であり知識であるのか、私自身は、いつも疑問に思っている。
歴史を振り返ってみれば、勝てば官軍負ければ賊軍で、支配的な勢力が総て自分たちを正当化するために、世論を操作し、歴史の真実を塗り替え書き換えて来ていることからも、この疑問がそれ程間違っているとは思えないのである。
中世と呼ばれている西洋文明の暗黒時代は、西ローマ帝国が崩壊した紀元476年から、コロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年までだが、この間、世界を制覇し、文化文明の頂点を極めていたのはイスラム(そして、元等の中国)であり、ギリシャ文明や高度なオリエント文明を継承し、イタリア・ルネサンスを触発したのも、イスラム文化文明であることは、周知の事実であり、今でこそ、あたかも欧米の白人文化と政治経済社会体制によって世界秩序が維持されている様相を呈しているのだが、当時は、イスラムの足元にも及ばなかったのである。
このあたりの話などは、塩野七生さんの「ローマ亡きあとの地中海世界」などを読めば面白いが、あの大航海時代の後も、相当長い間、イスラムの歴史上での影響力は強く残っていた。
それに、中国とインドのアジア大国の経済力は、19世紀の半ばまで、世界の過半を占めていたことも歴史上の事実であり、今日の中印などBRIC'sの台頭は、今世紀に置いて、世界的支配の趨勢が、再びアジアに逆転する傾向であると考えられているのも、故なしとしないのである。
私は、西欧とイスラム文化の融合の姿を見たのは、まず、最初に、グラナダのアルハンブラ宮殿で、あの歴史遺産の素晴らしさは、正に、感動の一語に尽き、その後、コルドバで見たメスキータであり、流石のスペインのキリスト教文明も、イスラムの文化の粋を結集した宮殿やモスクを破壊できずに、自分たちの宮殿や境界を付加せざるを得なかったのであろう。
ここで、北アフリカや中近東の春を迎えたイスラム諸国の再建について偉そうな口を叩くつもりはないが、一つだけ言いたいのは、どの国にも、その固有の文化文明と長い歴史によって培われた国民精神とか価値観なり貴重な精神的財産がある筈なので、イラクでアメリカが行ったような手前勝手なアメリカ型民主主義の押し売りなどは、絶対にすべきではないと思っている。
マッカーサーが、修身・日本史・地理の授業の停止を命じて教科書を回収したと言った暴挙で、日本人に対して、日本人の依って立つ道徳的規範や、日本自身の歴史と国土に関する日本人にとって最も重要な教育をないがしろにしたのだが、これなどは、文明国日本に対する絶対に許せない最大の侮辱であり、こんなことが、春を迎えたイスラム国家に対して、西欧先進国によって、絶対になされてはならないと思っている。
私自身は、アメリカで大学院教育を受け、欧米等で長年住んで、欧米の文化文明の素晴らしさとその恩恵を十分に受けており、現在の自由主義的民主主義を認めてはいるが、どのような歴史段階にあり、どのような地域に存在しようとも、その国固有の文化文明、歴史、価値観等を尊重すべきだと思っている。