熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

CEATEC JAPAN 2011・・・エコ&スマート

2011年10月04日 | 展覧会・展示会
   幕張で、恒例のCEATEC JAPAN 2011が開幕したので出かけた。
   基調講演のNECの矢野薫会長の「スマートイノベーションが導く新たな日本の成長」と、パナソニックの大坪文雄社長の「エレクトロニクスがもたらす新たな「くらし革命」」を聞いたが、後は、広い展示場を回って過ごした。

   今回は、大震災で電気事情が著しく悪化したので、どうしても、省エネとエコに話題が行くのだが、所謂、グリーンとスマートが強調されている感じだけれど、電器会社の未来への提案は、ユビキタス、ユビキタスと連呼していた数年前と殆ど変っているようには思えない。
   特に、パナソニックなどは、今回、正面切って、「丸ごと提案へ」と、電工、三洋の子会社化の経営戦略を前面に押し出していたが、私は、このような丸ごと自社で事業を一体化して囲い込むなどと言った総合化は、経営戦略としては大いに疑問だと思っており、総合○○と言う事業形態故に、失われた20年以降、多くの日本の企業が、業績の低迷に辛酸を舐めていることから、何も教訓を得ていないような気がして仕方がない。
   ここで、ジャック・ウェルチが、ドラッカーの指導を得て、業界で1位か2位でなければ撤退し、絶対やるべき事業には資金を振り向けて事業化するとしたGEのかっての戦略の良しあしを論ずるつもりはないが、大体、同じような業態の競争会社が寡占状態で存在し、まして、競争力のある新興国の同業者の追い上げを受けているような状態で、コア・ビジネスで取り立てて差別化にも価格競争にも優位・特色のない会社が、真面に、競争に勝って行ける筈がないと思っている。
   各部門で競争優位にある企業にアウトソーシングするとか、オープン・ビジネス戦略で囲い込むとか、外部の有力な企業とのコラボレーションが、グローバル・ビジネスの成長戦略の基本となっていることからも自明であろう。

   ところで、展示会場の方だが、やはり、目が行くのは、コンシューマー・エレクトロニクスの方面。
   昨年は、3Dが全盛であったが、今回は、何故か、3Dは、どことなく下火で、同じ3Dでも、メガネをかけずに見られる方に関心が移っているようであった。
   東芝のブースは、長い列であったので、諦めたが、JVCとケンウッドの協力で開発した情報通信研究機構NICTの「200インチの自然な裸眼立体像表示技術」のディスプレイの映像は、圧倒的な迫力で、素晴らしい。
   観察者が、左に右にと動くと、自然に立体像が変化し、少ししか見えなかった車の中が、移動すると大きく見えてくるなどと言った本当の立体像が見られるのであるから、驚きである。
   日立では、実空間融合フルパララックス3Dディスプレィを、小さな卵形の映像に投影して見せていたが、面白いことは面白いのだが、ピンボケだし、何故、あのような稚拙な未完成の作品を見せるのか、その心境が分からないと思って見ていた。当然、暗い片隅のブースだから、観客も少ない。

   シャープは、日経ビジネスで、社長が、テレビは詰まらないと言ったようなことを書いていた所為なのか知らないが、今回は、、「停電・災害時用バックアップ電源システム」など 、太陽光発電システムと組み合わせた最新のホームエネルギーソリューションや、新製品のソーラーパネルやイタリアなど世界各地に拡がるメガソーラー発電所の事例など、ソーラー関連に力を入れていた感じである。
   昨年、鳴り物入りで、展示していたタブレットの「ガラパゴス」が展示されていたので、ツタヤと決別したり生産を中止すると言う報道があったので、撤退するのではないかと聞いたら、製品を中型の1機種に絞って出直すのだと言っていた。
   大体、進化論のダーウィンに因んだのか知らないが、絶滅種動物の住むガラパゴスと言うネイミングからして、常識を疑う。

   ところで、シャープのTVだが、アイキューブド研究所との共同開発のフルハイビジョンの4倍の解像度を持つICC4K液晶テレビや、次世代のTV放送サービスであるスーパーハイビジョンに対応する直視型85V型液晶ディスプレイなどは、非常に素晴らしい画像で、細部の画像の解像力のみならず、その輝きや微妙な質感が表出されていて、臨場感と表現の豊かさは、格別である。
   尤も、このような持続的イノベーションとも言うべき技術深追いの努力は、新旧並べれば違いは分かるが、個別に見れば別に特別な差はなく、既に顧客のニーズをはるかに超えた技術開発なので、顧客は、それに見合った見返りを支払う意思はないので報われないのであるが、現実的にも、他社製品との差別化以外の価値はないのが現状であろう。
   テレビが、3D化であろうと、画質や音質の向上であろうと、いくら良くなってもテレビには変わりなく、スティーブ・ジョブズがして来たように、もっと便利で楽しい機器を生む破壊的イノベーションが現れないのであろうかと思う。

   ユーザー・エクスペリエンスを強調するソニーだが、巨大なスクリーンに大音響で、「“Sony Tablet”をはじめとしたネットワーク対応機器による新たなユーザー体験」と銘打って派手な演出を行っているので、大きなホールが満員の盛況だが、列をなしているのは、ヘッドマウントディスプレイ“Personal 3D Viewer”『HMZ-T1』とデジタル録画双眼鏡『DEV-3』で、何のことか良く分からなかったが、並んでみることもないと思ってパスした。
   ソニーも、パナソニックと同じで、間口は狭いが、コンシューマー・エレクトロニクスととエンターテインメントを、そして、ハードとソフトを纏めて統合・総合化して、ワンセットで、顧客に向かおうとしているのだが、このような囲い込みが有効な戦略なのかどうか、多少疑問に思っている。
   ソニー・ミュージックがあったばかりに、ダブルベッディング出来ずに、iPodに負けたことを考えれば、得意中の得意のコア・コンピタンスに集中した方が良い筈なのだが、既に斜陽のテレビやビデオをコアだと思っている限りは、この戦略も無理かも知れない。
   “Sony Tablet” Sシリーズ、Pシリーズや、電子書籍リーダー“Reader”『PRS-G1』『PRS-T1』に嫌に力を入れているのだが、競争会社に勝てるのであろうか。

   色々の会社のブースで、最先端の技術開発や製品を見せて貰って説明を受けたが、悲しいかな、殆どが、デジタルのモジュール型で、リバース・エンジニアリングで、すぐに、新興国企業に追いつかれて、時には追い抜かれてしまうものばかり。
   創業者利潤の供与は、ほんの瞬間と言った感じで、日本企業が、回転車のハツカネズミのように見えて仕方がなかった。
   
   スマート・グリッドの1端末と言った感じのニッサンの電気自動車の電気システムが、TVで話題になっていたが、周りには、「スマート・コミュニティ”ZERO”」と言うゾーンが出来ていて、三菱自動車など多くの企業が新しい試みを紹介していて面白い。
   その意味では、パナソニックのエコ・シティとして計画されている「フジサワ エコ タウン」プロジェクトなどは、スケールも大きく、最先端を行く、非常に興味深い試みであり、期待が持てると思う。
コメント
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