熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

中国人の「象牙愛好」がアフリカ内戦を激化

2013年07月20日 | 学問・文化・芸術
   表記のような記事が、産経電子版に載っており、ケニアで急増する象牙密猟の現実をフジテレビで、放映していた。
   以前に、「死に追い詰められたシルバーバックのマウンテン・ゴリラ」と言うタイトルで、このブログで、殺された巨大なゴリラを、20人近くの現地人が運んでいる写真を口絵にして論じたことがあるが、アフリカの野生動物を保護する運動と裏腹に、激しい殺戮との戦いに、文明社会を悩ませていると言う。
   何故、絶滅寸前のゴリラが殺されるのか。ゴリラの生息地である森林を伐採して木炭を製造する為に、守護神であるべき筈のコンゴのヴィルンガ公立公園のディレクターHonore Mashagiroが、部下に命令して殺させたと言うのである。から、正に、無法地帯である。
   アマゾンの熱帯雨林の崩壊についても論じて来たが、自然環境の破壊によって利益を追求しようとする悪徳事業家によって、地球上の貴重な天然資源の枯渇を促進するのみならず、動植物の多様性が、どんどん、失われているのである。

   ところで、このアフリカ象の殺戮だが、この目的は、象牙で、豊かになった中国で「ホワイトゴールド」と呼ばれ、富の象徴でもある象牙を得ようとする動きが加速化して、アフリカに進出して来ている多くの中国人による違法な持ち帰りなど、象牙密輸で空港で逮捕される90%は中国人だと言うことである。
   WSJによると、象牙の中国での売買価格だが、2008年には1キロ157ドル(約1万2千円)だったのが、11年には最高7000ドル(約56万円)に跳ね上がっており、アフリカに入る中国人労働者の、象牙への誘惑が益々強まっていると言うのである。
   この動きが、ケニアなどアフリカの経済社会を攪乱し、内乱の遠因となっていると言うのだから恐ろしい。

   中国人が、アメリカ人並に、大きな家に住み、大きな車に乗り、高度な消費生活を行うようになれば、地球は破滅してしまうと、新マルサス論を展開して恐怖心を煽る欧米の識者が後を絶たないが、少なくと、中国のGDPが、アメリカのGDPを追い抜くのは、そう遠い話ではないことは、大体のコンセンサスを得ている。
   前世紀には、殆ど誰も考えなかったことなのだが、現実に、もう一つのアメリカが、近い将来生まれようとしており、このままでは、天然資源の枯渇のみならず、宇宙船地球号の命運さえ危うくなると考えても、あながち間違いではなかろう。
   いずれにしろ、異文化異文明の中国の経済的な台頭は、これまでなかった歪な天然資源への需要圧力を喚起して、象牙に止まらず、第二、第三の象牙問題が、起こって来ることは必定であろう。

   さて、毎年のことだが、今年も、土用の丑を前にして、ウナギの高騰が騒がれている。
   マグロもそうだが、結局は、人工養殖に頼る以外、道はないと思うのだが、日本の貴重な伝統的な食文化であるので、大切にしたいと言う思いもあろう。
   しかし、クジラもそうだが、天然資源、自然資源の枯渇が騒がれ、宇宙船地球号のエコシステムが危機に瀕している時に、何故、ウナギやマグロやと言って拘る必要があるのか、と、私は、何時も思っている。
   私の子供の頃には、また、マツタケご飯かと思ったり、頻繁におかずに出るカズノコが嫌で仕方がなかった思い出があるが、庶民の伝統とは、そう言うものなのである。
   品薄になって食べられなくなったら、無性に懐かしくなって食べたくなる。

   日本文化と伝統の維持は、大切だと思うし、貴重なことだと思う。
   しかし、もう、20年以上も経つが、赤坂の料亭に、イギリス人夫妻を連れて行って、会食した時に、それ程、日本人が大切にするマツタケだが幾らするのかと彼らが聞くので、中居さんに聞いたら、半切れのマツタケの吸い物が、当時の交換レートで50ポンドだと言われて、ロンドンなら、まずまずのフランス料理をフルコースで食べられると呆れていたことがある。
   私の、在欧時代に、あっちこっちのミシュランの星のついたレストランをはしごして歩いたことがあるが、実に美味しくて雰囲気抜群なのだが、赤坂程異常なレストランは皆無であった。
   マグロやウナギ、そして、クジラなど、旬のものなど伝統の食文化への日本人の拘りは、少し、異常かも知れないと思うこともあるのだが、
   そんなことを考えながら、中国人の象牙偏愛文化の行方を考えていた。
   
   

コメント
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