「不都合な真実」を著して、宇宙船地球号の危機を警告したアル・ゴアの更なる我々人類の「The Future]に対するレポートである。
大統領選で、実質的にブッシュに勝利していたと言うTVドキュメンタリー放映もあったくらいだから、アメリカの民主主義も藪の中。
ゴアが、大統領になっていたら、アメリカのみならず、世界の21世紀が、どのようなスタートを切っていたか、あまりにも、目まぐるしい激動の時代であったから、つくづく、考えざるを得ないと思っている。
ゴアの博識と英知には、畏敬さえ感じているのだが、
ゴアの重要だと指摘する世界を動かす6つの要因の最初の
1、グローバル経済の台頭(アース・インク<EARTH Inc.>)で、ゴアは、
アース・インク(株式会社 地球、と言う捉え方であろうか)は、グローバル経済の拡大によって、人類がこれまでに経験したことがないような速度と規模で変容しつつあり、「高度につながり合い、強固に統合され、大いに相互に作用し合い、技術的な大変革が進行中の新しい経済」という新たな現実に対して、国家政策や地域戦略、長い間受け入れられてきた経済理論は最早当てはまらない世界なのだと言っている。
ここで、冒頭、仕事のデジタル化と、劇的な変化として、
1.先進国から新興国へのアウトソーシング、
2.未成熟ながら日進月歩の人工頭脳への仕事のロボットソーシング
を引き起こしたと指摘している。
この1の現象によって、先進国の労働者の仕事を新興国の労働者が奪って格差拡大を引き起こしたが、2の現象によって、今後、逆に、先進国が新興国の労働を奪うと指摘したのは、イアン・ブレマーで、このことについては、先日、このブログで論じた。
ゴアも、この点に触れて、ロボットソーシングの結果、アウトソーシングによる雇用の減少を打ち消し始めているとしている。
ここで、ゴアが論じているのは、当然の帰結ではあるのだが、すこし違った視点からの指摘で、
このロボットソーシングとITによるアウトソーシングへの構造的転換が起こると、労働投入量に対する資本投入量の比率が大幅に変わり、先進国の労働者の賃上げ要求の力が弱くなる。
ロボットソーシングによって、ネットワーク化された知能機械が、かなりの割合の雇用に取って変る一方、残っている少数の従業員の生産性は大きく高まる。
その結果、ロボットソーシングの影響を受けずに生き残った従業員の所得は増加するであろうから、経済格差は、益々、拡大することとなる。
この技術曲線の急勾配が上り始めて、多くの企業や産業で、このプロセスが、同時進行すれば、その齎す影響の総和は、雇用の大幅な減少を生み出すこととなり、多くの従業員には、新たな職に就くのに必要なスキルがないので、排除されてしまう。
いずれにしろ、急速に進展するICT革命にキャッチアップできる知的能力やスキルを欠いた従業員は、益々、雇用の機会が奪われて行き、弱者としての運命を辿らざるを得ないと言うことになる。
この、人工頭脳の加速と低所得国への雇用の移転の累積効果が、先進国のみならず新興国においても、所得と純資産の格差拡大を生み、職を失う人の所得は減る一方で、技術資本の相対的価値の増大から恩恵を受ける人々の所得は増える一方なので、グローバルベースで、経済格差の拡大がどんどん進行していると言うのである。
また、製造業や農業だけではなく、サービス産業でも、根底にある技術革命の加速的な影響によってノベーション曲線や生産性曲線が上昇し、多くの雇用が次第に失われつつあると言うことであるから、近年の経済成長は、次第に雇用の増大を伴わなくなってきているのである。
平たく言えば、チェスも碁も将棋さえも、コンピューターに勝てなくなってしまった、AI人工知能の時代であるから、仕事でも何でも、賢くない人間は、生きて行けない時代になりつつあると言うことなのである。
産業革命の時に、機械化の普及で、失業のおそれを感じた手工業者・労働者が機械の破壊や工場建築物の破壊を行ったラッダイト(Luddite)運動が、起こった。
その後の産業革命時においても、前述のように新技術が雇用に打撃を与えたのは、当然の傾向で、今回のICT革命によるアウトソーシングやロボットソーシングでは、影響は、もっとドラスティックなのだが、"We are the 99%" ”ウォールストリートを占領せよ”程度のデモが精々のところなのである。
しかし、この怒り、特に、若年層で、大学を奨学金で出て、巨額の借金を抱えた米国民などの反発は強く、サンダース上院議員に対する熱烈な支持運動に明確に表れている。
一方、同じく、職を追われて格差拡大に憤懣やるかたない白人の教育水準そこその庶民階級がトランプに傾倒するのも、この傾向の一端であって、両現象とも、ここまで、アメリカの資本主義を無茶苦茶にしたエスタブリッシュメントに対する拒否反応と拒絶感情の爆発であり、その凄さは、歴史をもひっくり返す勢いで、まさに、驚異であり脅威でもある。
決して、あだ花でもなく一時的な現象でもなく、閉塞感漂うアメリカの現状の表出なのである。
生産性を向上させ、人類の生活環境を良くし、経済成長を促進しようとする努力が、結果として、アウトソーシングとロボットソーシングを現出し、雇用環境を悪化させて格差拡大を助長し、更に、人工知能の発達によって、人間らしい生き方や人間性を破壊し、どんどん人類を窮地に追い詰めて行くと言うこの巨大なパラドックス。
東京都知事選挙戦が、別世界のように思えるのが不思議である。
大統領選で、実質的にブッシュに勝利していたと言うTVドキュメンタリー放映もあったくらいだから、アメリカの民主主義も藪の中。
ゴアが、大統領になっていたら、アメリカのみならず、世界の21世紀が、どのようなスタートを切っていたか、あまりにも、目まぐるしい激動の時代であったから、つくづく、考えざるを得ないと思っている。
ゴアの博識と英知には、畏敬さえ感じているのだが、
ゴアの重要だと指摘する世界を動かす6つの要因の最初の
1、グローバル経済の台頭(アース・インク<EARTH Inc.>)で、ゴアは、
アース・インク(株式会社 地球、と言う捉え方であろうか)は、グローバル経済の拡大によって、人類がこれまでに経験したことがないような速度と規模で変容しつつあり、「高度につながり合い、強固に統合され、大いに相互に作用し合い、技術的な大変革が進行中の新しい経済」という新たな現実に対して、国家政策や地域戦略、長い間受け入れられてきた経済理論は最早当てはまらない世界なのだと言っている。
ここで、冒頭、仕事のデジタル化と、劇的な変化として、
1.先進国から新興国へのアウトソーシング、
2.未成熟ながら日進月歩の人工頭脳への仕事のロボットソーシング
を引き起こしたと指摘している。
この1の現象によって、先進国の労働者の仕事を新興国の労働者が奪って格差拡大を引き起こしたが、2の現象によって、今後、逆に、先進国が新興国の労働を奪うと指摘したのは、イアン・ブレマーで、このことについては、先日、このブログで論じた。
ゴアも、この点に触れて、ロボットソーシングの結果、アウトソーシングによる雇用の減少を打ち消し始めているとしている。
ここで、ゴアが論じているのは、当然の帰結ではあるのだが、すこし違った視点からの指摘で、
このロボットソーシングとITによるアウトソーシングへの構造的転換が起こると、労働投入量に対する資本投入量の比率が大幅に変わり、先進国の労働者の賃上げ要求の力が弱くなる。
ロボットソーシングによって、ネットワーク化された知能機械が、かなりの割合の雇用に取って変る一方、残っている少数の従業員の生産性は大きく高まる。
その結果、ロボットソーシングの影響を受けずに生き残った従業員の所得は増加するであろうから、経済格差は、益々、拡大することとなる。
この技術曲線の急勾配が上り始めて、多くの企業や産業で、このプロセスが、同時進行すれば、その齎す影響の総和は、雇用の大幅な減少を生み出すこととなり、多くの従業員には、新たな職に就くのに必要なスキルがないので、排除されてしまう。
いずれにしろ、急速に進展するICT革命にキャッチアップできる知的能力やスキルを欠いた従業員は、益々、雇用の機会が奪われて行き、弱者としての運命を辿らざるを得ないと言うことになる。
この、人工頭脳の加速と低所得国への雇用の移転の累積効果が、先進国のみならず新興国においても、所得と純資産の格差拡大を生み、職を失う人の所得は減る一方で、技術資本の相対的価値の増大から恩恵を受ける人々の所得は増える一方なので、グローバルベースで、経済格差の拡大がどんどん進行していると言うのである。
また、製造業や農業だけではなく、サービス産業でも、根底にある技術革命の加速的な影響によってノベーション曲線や生産性曲線が上昇し、多くの雇用が次第に失われつつあると言うことであるから、近年の経済成長は、次第に雇用の増大を伴わなくなってきているのである。
平たく言えば、チェスも碁も将棋さえも、コンピューターに勝てなくなってしまった、AI人工知能の時代であるから、仕事でも何でも、賢くない人間は、生きて行けない時代になりつつあると言うことなのである。
産業革命の時に、機械化の普及で、失業のおそれを感じた手工業者・労働者が機械の破壊や工場建築物の破壊を行ったラッダイト(Luddite)運動が、起こった。
その後の産業革命時においても、前述のように新技術が雇用に打撃を与えたのは、当然の傾向で、今回のICT革命によるアウトソーシングやロボットソーシングでは、影響は、もっとドラスティックなのだが、"We are the 99%" ”ウォールストリートを占領せよ”程度のデモが精々のところなのである。
しかし、この怒り、特に、若年層で、大学を奨学金で出て、巨額の借金を抱えた米国民などの反発は強く、サンダース上院議員に対する熱烈な支持運動に明確に表れている。
一方、同じく、職を追われて格差拡大に憤懣やるかたない白人の教育水準そこその庶民階級がトランプに傾倒するのも、この傾向の一端であって、両現象とも、ここまで、アメリカの資本主義を無茶苦茶にしたエスタブリッシュメントに対する拒否反応と拒絶感情の爆発であり、その凄さは、歴史をもひっくり返す勢いで、まさに、驚異であり脅威でもある。
決して、あだ花でもなく一時的な現象でもなく、閉塞感漂うアメリカの現状の表出なのである。
生産性を向上させ、人類の生活環境を良くし、経済成長を促進しようとする努力が、結果として、アウトソーシングとロボットソーシングを現出し、雇用環境を悪化させて格差拡大を助長し、更に、人工知能の発達によって、人間らしい生き方や人間性を破壊し、どんどん人類を窮地に追い詰めて行くと言うこの巨大なパラドックス。
東京都知事選挙戦が、別世界のように思えるのが不思議である。