熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ウォルマート ネット販売に重点を移す

2016年10月07日 | 経営・ビジネス
   日経ネットに、「ウォルマート、ネット注力 店舗・鮮度てこにアマゾン追う 」と言う記事が掲載されていた。
   2016年1月期は世界で4821億ドル(約51兆円)を売り上げたウォルマートだが、前年同期比では0.7%減で成長は頭打ちで、その不振の大きな原因は、アマゾンの台頭で、ネットに店舗の顧客が奪われている。と言うのである。
    状況の打開を狙って、ウォルマートは、今後2年間で20億ドルをネット販売事業に投じて、特に、野菜や肉などの生鮮品をネットで受注して、店舗や施設で引き渡す新サービスを展開すると言う。

   Order online! FREE pickup at store と言う訳である。
   walmart.comを開けると、クレジット・カードを開けば、250ドルまで10%ディスカウントすると広告が出ており、ネットで注文すると、いつでも、3%ディスカウントされるようである。
   ネット販売強化において、ウォルマートが、アマゾンと異なる最大の利点は、「店舗とデジタルの融合」に重きを置いている点で、生鮮品のネット販売だと、基本的に店の商品をその場で詰めて配達するため簡単にサービスを始められ、全米に約4600ある店が、そのままネット事業の拠点として生きる。生鮮品の鮮度管理では、アマゾンよりはるかに優れており、全米に163の物流センターから、7836台の冷蔵庫付きトラックで配送し、「店舗」ビジネスで積み上げた資産で独自色を打ち出せると言うことになる。

   しかし、ネット販売は、バーチャルだが、ウォルマートは、全米で膨大な実店舗を保有し、約150万人が働く国内最大の民間雇用者で、店舗が身軽なはずのネット事業の効率性を損ないかねない。実店舗での雇用コストは、ネット専業のアマゾンには生じにくく、競争上不利であり、また商品によっては消費者が「ネットで買えばいい」と割り切るものもあり、実際にも、衣料品では17年までにアマゾンが全米トップの小売り業になると予想される程、アマゾンが先を走っている。
   アマゾンに対抗するために、最大の書店であったバーンズ&ノーブルが、ネットショッピングを始めて挑戦したが、実店舗との競合などに苦慮し苦境に立っていて、実店舗を保有する巨大企業のネットショップへの転身では、成功した会社が殆どないようである。

   しかし、ウォルマートは、カメラとフィルムのイノベーターであり最大かつ最高の会社であったコダックを、使い捨てカメラで、追い落とした実績を持っており、何しろ、世界最大の最もイノベイティブな企業であるから、どのような凄いネットショッピング戦略を打って、アマゾンに挑むか未知数であろう。
   膨大な資金力を駆使して、ITベンチャーを相次ぎ買収して、ネット販売では、本社のあるアーカンソー州ベントンビルではなく、カリフォルニア州の別組織で約2500人を雇用し、店舗を生かしたネット用の最適物流の分析や決済ソフトの開発を進めていると言うから、威力を発揮して、商業システムに、想像を超えた革命的変化を齎すかも知れない。

   ウォルマートは、今や、既に54年の歴史を持つ巨大企業だが、押しも押されもしない世界最大のグローバル企業になったとしても、何となく、田舎臭い、そして、色々問題も多くて垢抜けしないイメージがあったように思うのだが、やっと、まだ、3%に過ぎないと言うネットショップへ軸足を移そうとしている。

   ところで、今日の日経の朝刊に、「セブン&アイ、百貨店縮小」と言う記事が掲載されていて興味深く読んだ。
   私は、バーゲン価格だと言っても、コンビニやスーパー主体の会社が、シナジーを考慮したのか何を考えたのかは知らないが、欧米先進国で、何十年も斜陽の一途を辿っていた百貨店を、何故、買収して業域に組み入れたのか、疑問に思っていたので、当然の決断だと思っている。

   アマゾンの快進撃を思えば、既に、小売業の趨勢は、前世紀末から見えていた筈。
   このセブン&アイとウォルマートの日経記事を面白く読ませてもらって、今昔の感を感じている。
コメント
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