熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

秋深し錦秋の成田山・・・静かな参道を歩く

2005年11月17日 | 生活随想・趣味
   役所への帰りに時間を取って、久しぶりに成田山新勝寺に向かった。
   別にお寺廻りではなく、紅葉を見たくて出かけたのである。
   少し午後が遅かった所為もあり、実際は、新勝寺の裏の成田公園まで上っただけで、紅葉のある池の水際まで行けなかったので十分に目的を果たせなかったが、それでも、何本かあるモミジは錦に色付いていて夕日に映えて輝いていた。

   実を言うと、成田駅から新勝寺までの参道が結構面白くて、デジカメのシャッターを押している間に時間が立ってしまったと言うのが正直な所である。
   今までに、随分、日本各地の神社仏閣を回っているが、成田山のように、駅から商店街に囲まれた比較的長い一本道の参道が続いていて、結構楽しめる門前町はそれ程多くはない。
   京都や奈良の場合は、参道が旧市街と一体になっている場合が多く、門前町が整っているのは、地方の方が多い。
   それに、この成田は、東京から京成電車で1時間弱の所で、東京の田舎だから、当然、高級な店はないし、大半は、参拝客や観光客の為の店である。

   やはり、多いのは、名物の饅頭やお菓子など食べ物を売る店であるが、中でも異彩を放つのは米屋で、立派なお菓子のデパートと言った感じである。
   お寺へ出入りの老舗の菓子司が近代的な菓子店に脱皮したと言うところだが、これだけの店であれば、何か決定版の米屋独特の群を抜く高級饅頭なり菓子があっても良さそうなのだが、それがない。
   ウナギを食べさせる店が多いのは、有名な印旛沼や成田鰻の所為であろうか、それに、漬物なども門前町では常連である。
   どら焼きの店の店頭に列が出来ていたが、これから、寒くなってくるとこの店が良く繁盛する。とにかく、プーンとくる匂いについつい誘われてしまう。
   ところで、僅かに点在する古い旅館や料亭が、古いよき時代の日本の雰囲気を醸し出していて旅情を誘う。
   
   秋とは言え晩秋の所為か、客は少なかったが、参道を歩く外人の客が比較的多かったのは、成田に近いからであろうか。
   最近、空港公団が、乗り継ぎ客に、安い価格で成田山を含めたミニ・ツアーを提供しているようだが、それだけでもなさそうで家族客が可なり居た。
   中国、韓国、アラブ、ドイツ、横から会話を聞いているだけだが、結構国籍は雑多な感じであった。

   参道の店で面白かったのは、立派な太鼓を売っている店・川田太鼓工房があって、店内に色々な打楽器やお面等日本の儀式関係の品を展示している。さすがに、護摩祈祷で有名な成田山には欠かせない店である。
   この成田山のご本尊は不動明王で、迦楼羅炎と呼ばれる火炎を背負い、その炎で煩悩や障害を焼き尽くすと言われている。
   弘法大師が開眼したと言われる本尊の不動明王に護摩を焚き加持祈祷を行うが、その合図の太鼓が全山に鳴り響く。

   もう一つ面白かったのは、店頭に熊や今では成田空港税関で引っかかるような珍奇な動物の剥製など色々な動物や薬草を所狭しとディスプレイした漢方薬店・下田康生堂。
   子宝、中国版バイアグラは勿論、人間の身体に良いと言うあらゆる能書きを書いた漢方薬の数々、とにかく、如何様にも処方いたします、と言う有難い店がある。
   北京や上海で漢方薬店を色々見たが、この店は、流石に日本の店で、並べてある品も漢方とは関係のない日本の土俗的な雰囲気を漂わせたクスリもあり、如何様にも対応致しますと言うその優しさが良い。   

   この成田山は、歌舞伎ファンの私には、やはり、市川團十郎家の屋号「成田屋」との関係で、海老蔵襲名時にも、ここで御成り行列があった。
   荒事を創始した初代市川團十郎が、子宝に恵まれなかったので、この成田山に参篭して一心不乱に祈ったら、男子を授かったと言う。
   この團十郎の贔屓と、江戸深川に本尊を移して行った出開帳によって江戸市民の絶大な信仰を呼び起こして庶民信仰のメッカとなったとか。

   大晦日と新春は、大変な人の波でこの参道がごった返すようである。
   そのお陰で、京成電鉄が終夜運転を行うので、東京で大晦日から元旦にかけて行われる岩城宏之のベートーヴェン交響曲全曲演奏会に行けると考えるのは、不謹慎であろうか。
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1 コメント

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なぜか成田には詳しいです (ハンナ)
2005-11-18 01:06:55
成田の参道は、電信柱が地中化されたので面目を

一新しましたね。乗り継ぎで空港周辺のホテルへ

泊まっているお客と航空会社の乗務員の方々だと

思います。ホテルが駅まで無料の送迎バスを運行

しているのと、150円バスといって旧市街とニ

ュータウン、ショピングセンターとホテルを周遊

するバスもあるんです。



成田山の橋本貫首はクラシック音楽に造詣が深く

ご自身もテナーで第九の合唱のステージに立たれ

たりします。12月4日にも成田高のオケで第九

演奏会があります。一昨年はマタイ受難曲を演奏

していました。宗教的にはとっても寛容な方のよ

うです。
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