セッターは一番難しいポジションだと私は思っています。バレーボール経験のない人間にとって、セッター作りほど難しいものはないと、いつも頭を悩ませています。しかし、一番悩んで考えて指導をしているだけに、自分のチームのセッターのレベルは毎年向上しているように感じます。
現レギュラーセッター・Y菜は、身体が小さくてネットの高さギリギリのパスには手が届かない欠点がありますが、あと5センチ背が伸びればほとんどの返球をトスアップしていけるようになるでしょう。約1年もの長い間悩み続けてきたサーブも最近安定しつつあり、超大型軍団の力を発揮させるために、なくてはならない存在に成長してきました。
次の課題は「チームの仲間から信頼感を得る」ことにあります。そのためにY菜は努力をするしかありません。言葉ではなく、練習態度でみんなを引っ張っていけるくらいにチャレンジしましょう。
「100万個の言葉より、1つの勇気ある行動」
という言葉をプレゼントしておきましょう。
今日はY菜にセッター話をしました。Y菜が忘れないように話したことの中で大事なことだけ書き残しておきます。
「バレーボールで勝つために練習をしているけれども、先生にはそれ以上の目的がある。厳しい練習を通して『強い心』を作ること。バレーボールを通して『きれいな心』を作ること。仲間と協力して『やさしい心』を作ること。
そして大人になったらそういう素敵な心の母親になって、自分の子どもを『きれいな心』の持ち主に育ててほしい。そこまで考えてバレーボールを教えているんだ。
チームの中で誰よりも厳しく指導されているのは、Y菜なら必ずそういう子に育っていくはずだと信じているからだ。
バレーボールをやっていて、『ああ、うちの娘はいい子になった』とお父さんとお母さんを喜ばしてあげられるようになった時、はじめて本当のセッターになれる。君ならできる。」
Y菜、今日の涙を忘れてはいけないよ。