9日の午後、東京都教職員研修センターに出張させていただきました。東京都教職員研修センターが主催する「平成21年度 教育課題研究発表会」に出席するためでした。
教育課題の発表は4本あって、「創造性の育成に関する研究」「学ぶ意欲や態度に育成に関する研究」「学校におけるOJTの効果的な実践に関する研究」「自尊感情や自己肯定感に関する研究」というテーマでの発表でした。
「創造性の育成に関する研究」では、マインドマップを活用して授業を行うと発想が広がり、それに加えて集団力を活用した学習を行うと問題解決ができる力が伸びるという内容でした。
マインドマップに着目したことは素晴らしいことでしたが、残念ながらマインドマップの活用については決して十分とは言えず、発想や思考を促すためのツールとしてのパワーを発揮してはいませんでした。「マインドマッピング法」として紹介されたものは、フィンランドの教育で行われている「カルタ」のことであり、本物のマインドマップにはほど遠いものでした。
ここ2年間、本気でマインドマップ実践をしてきた私としては、「マインドマップ」と「カルタ」では大違いだということを体験的につかんでいるので、やはり教育現場はひとつのことを掘り下げるのではなく、こうしたを手法を広く浅く表面的に使ってしまうなと、私が懸念していたことを見せられた思いがしました。これをもって東京都としての「創造力の研究」というのならば、私の学級で起こっていることは“人類史的な規模の創造力育成教育実証”と言って良いのではないかと、かなり傲慢なことも思い浮かんだりしました。
実は私が最も関心を持っていたのは「自尊感情や自己肯定感に関する研究」でした。
この1年半ほど、「自尊感情(セルフエスティーム)」を高める教育実践について、これからの時代には絶対に必要な考え方だと判断し、個人的に研究実践してきたことなので、東京都としてどのような研究をしているのか楽しみにしていました。その期待に応えて、非常に面白い内容の発表がありました。
「自尊感情に関する測定尺度」を慶応大学の伊藤美奈子先生の支援を受けながら作成したのです。全部で32項目からなるこの分析シートは、第1期マインドマップ公認フェローのあらっち先生がキャリア教育の実践の中で作成した「自己分析表」にも通じるもので、これは小学校の教育現場で大いに活用できると私は判断しました。
さっそく6年生で検証・活用していくつもりです。
さて、この記事の題名に書きました通り、昨日の講演をしてくださったのが、宇宙航空開発機構名誉教授であり、NPO法人「子ども・宇宙・未来の会」会長である的川泰宜先生でした。
たくさんの印象に残るお話の中で、ひとつだけ強烈に心に残った言葉を紹介します。
「人類は壮年期に入っています。壮年期というのは気をつけて生活しないと死んでしまう段階です。」
なるほどと思いました。人間の一生の中で、青年期は多少無理なことをしても元気でいられます。しかし壮年期に入った人間は、病気もするようになるし、無茶なことをしていたら、たちまち体がおかしくなり、死につながってしまいます。だから注意をしながら生きていかなくてはならない。こことを人類に当てはめてみれば、壮年期に入った人類は、よほど注意深く暮らしていかないと絶滅(=死)してしまうということです。
メタファーとしてこれほど分かりやすい話はないなと大変感心しましたし、人類壮年期説に私も賛同します。
自ら希望して参加させてもらった「教育課題研究発表会」でしたが、本当に行って良かったと感じました。