またまた1週間ぶりの更新となってしまいました。
殺人的な忙しさに、さすがの私も体調を崩してしまいました。大声を出したわけでもないのに、のどが腫れてしまい、痛くて普通の声を出すことができません。
昨年は「マインドマップ体験会」での実践報告を話すために、毎週土日に全国各地に飛んでいたくらい忙しかったのですが、今年は昨年以上に過労気味。最大の理由は、学校の教育課程の大改革に手をつけてしまったからです。それに加えて、2月中は19勤務日中10日も出張をしていました。しかも重大任務・・・・・倒れない方がおかしいですね(苦笑)
ということで、毎日更新ができない状況。
もし毎日更新をし始めたら、「また何か新しい仕事法を編み出したんだな!」と私のことを探ってみて下さい。たぶん何か出てきますから
さて、本題です。
2月22日(月)に、隣組のモジャ先生が2月8日(月)に行った「言葉の授業」を追試してみました。さらにそれだけでは深まりがないと判断し、2月24日(水)に授業を発展させてみました。
モジャ先生の授業の様子はこの文字をクリックしてください。
こうした授業への挑戦について、斎藤喜博先生はこのように書いています。
「創造のないところには新鮮なものはない。喜びもない。同じことをくりかえしているところには、固定化があり、沈滞があり、腐敗があり、堕落があるだけである。だから授業においては、一度発見し創造し完成したものは、惜しげもなく突き崩し、次の新鮮な完璧なものを創り出していかなくてはならない。それを一時間の授業の中で、また一つの教材の何時間かの授業の中で、何回も繰り返していかなければならない。そういう新鮮な流動したものを、授業の中に数多く創り出していくことによってだけ、子どもも教師も常に流動し新鮮になる。」(『授業』斎藤喜博著 国土新書)
自分たちが使っている「言葉」に焦点を当てた授業です。
【ねらい】
(1)普段何気なく使っている言葉を意識することにより、音声言語への関心を高める。
(2)自己の成長を促す言葉と阻害する言葉を分類し、より良い言葉を選んで使おうとする態度を養う。
(3)これまでの言語的な成長過程を振り返り、現在使っている言葉がどのようにして身に付いたのかを分析し、自分の生活に活かす。
【1時間目の展開】
(1)自分たちが日ごろ使っていると思われる「プラスな言葉」と「マイナスな言葉」を出してみて、自分自身が持っている内的な言語環境について可視化する。ここでマインドマップを活用するが、教師が自作したワークシートでも同様の効果は得られるはずなので、どうしてもマインドマップを使わなくてはならないということでもない。
(2)自分の言語環境を客観視して考えたことを「今後への決意」として書いておく。
これが1時間目の授業(モジャ先生が考えた授業)の内容でした。
これを私なりに、次のステップに発展させました。
まず、1時間目の授業で、子どもたちから出てきた言葉を、2時間目の資料とするために分類整理しました。
≪プラなス言葉≫
あいさつ的(ごめんね・おはようございます・また明日)
感謝(ありがとう・サンキュー)
共感(楽しいね・OK!・協力しよう・うける!・おもしろい)
責任(自分がやる)
励まし(がんばって・できるよ!・大丈夫・気にしない・ドンマイ・何とかなる・平気!平気!・ファイト・何でもできる!・小さいことは気にするな・次もある・いいことあるって!)
ほめ言葉(おめでとう・すごい!・天才じゃん・ナイス・かわいい・いいね!・うまい!・えらい!・強い!)
≪マイナスな言葉≫
焦り(やばい)
怒り(うるさい・何だよ・ざけんな・ムカつく・さわんなよ・ふざけんな)
怠惰(めんどくさい・やらない・やだよ・~でいいや・ダル)
ネガティブ(最悪・できない・終わった・無理・まずい・じゃあいいよ)
否定(は~?・意味不明)
命令(消えろ・オイッ!・罰金・どっか行け)
悪口(きもい・うざい・バカ・バカじゃないの・死ね・アホ・何だお前・クソ・くさい・けがれる)
(ちなみに、この分類した言葉を使ってマインドマップをかくと、かき方のトレーニングになりますよ。)
1時間目の授業を受けて、子どもたちの多くは、このような感想を持ちました。
『マイナスの言葉を使うと自分がそういう人間になってしまうので、プラスの言葉を使うようにしたい。』
『プラスの言葉をたくさん言おう!マイナスの言葉はなるべく頭から消そう!みんなに言葉でよろこんでもらおう!』
『「がんばれ」「ドンマイ」とかのはげましの言葉をこれからかけていきたい。プラスの言葉よりもマイナスの言葉の方が多かったから、なるべくプラスの言葉を言いたい。』
この「言葉の分類表」と「全員の感想文集」を資料として2時間目の授業の始まりです。
【2時間目の展開】
(1)まずは資料すべての目を通す。
(2)「マイナスな言葉」に視点を当て、4つブランチで“BOI指定”のマインドマップ(なぜ・いつ・誰・気づき)を書かせ、どうしてそのような言葉を話すようになったのかを分析する。
(3)教師の書記による板書マインドマップ化しながら、さらに深い意見交流を行う。
(4)学習の感想を書く。
板書マインドマップがこちらです。
この授業で面白い発見がありました。
実は再雇用の先生が一緒に授業に参加してくれていたので、私から質問をしてみました。
「Y先生、先生の子どもの頃のことを思い出してくれませんか。この資料に出てくるような言葉はどのくらい使っていましたか?」
すると、
「そうですねぇ、ほとんど使っていなかったと思います。“バカ”とか“めんどくさい”っていうのはよく使われていたけど、“死ね”とか“消えろ”とか“やばい”っていうのは使っていた記憶がありませんねぇ。」(ちなみに1950年代)
そこで私、
「なるほど、私の時代(1970年代)には、どうも“やばい”っていう言葉が流行りだした気がするんですよ。“ムカつく”なんてのも、ある時期からみんないっせいに使いだしたことを覚えています。」
こうした話から、授業の中で「時代によって使う言葉が変わってきている」という事を発見できたのです。教師も意図せぬような発見がある授業ほど面白いものはないと思います。
最後に数人の子の感想を紹介します。
『私は、Y先生⇒井上先生⇒私たちと、だんだんマイナス言葉が増えていて、このままいくと、この世の中はどうなっちゃうんだろうと思いました。このマイナス言葉は知らず知らずのうちに、心の中にたまっているようなので、それが爆発する前に、止めたいと思いました。それから、このマイナス言葉をこれ以上増やさないようにしたいです。もっとプラスな言葉を増やして、明るく楽しい世の中にしていきたいと思いました。また、教室内もマイナス言葉ではなく、プラス言葉がたくさん飛びかう教室にしたいです。』
『ぼくは、マイナスな言葉が使われている理由で、言葉を略すことができるのも、マイナスな言葉を使ってしまう理由だと思いました。理由は「きもい」は「気持ち悪い」という言葉の略なので、略すことによって、簡単に言えるようになったからです。それとぼくは、マイナスな言葉も昔から増えているけど、プラスな言葉も少しは増えているんじゃないかなと思いました。理由は、「ナイス、サンキュー、ドンマイ、ファイト」などの言葉は、昔には日本ではあまり使われていなかったからです。これからもプラスな言葉がどんどん増えていくと思いました。』
『私は、「言葉」というのは、世代や国の様子によって変わっていくんだなーと思いました。理由は、昔はマイナスな言葉をあまり使っていないのに、今はマイナスな言葉があちらこちらで聞こえるからです。多分、街やテレビや友達が言っている言葉に影響されて、自分もそういう言葉を使ってしまうんだと思います。でも、影響されたとしても、自分で「マイナスな言葉は使ってはいけないぞ!」と心がければ、悪口などが減ると思います。』
『私は、マイナスの言葉の勉強をして、言葉は人によってどんどん使えられるんだなと思いました。親や友達などから、悪い言葉を覚えたり、テレビから耳に入ってきたりすることで、一人の人に大きな影響が与えられるということを学びました。なので、これからは、人にマイナスの言葉を行ったりしないように心がけたいです。』