【教務主任通信】 ドラッガーの言葉から教育を考える(4)

(10)企業経営のエッセンスは、何かに『卓越』することと、『決断』することである

 このドラッガーシリーズの1回目にも書きましたが、何かに卓越するとは、自分自身の「強み」を持つということと同じだと思います。
 今回の言葉の「企業経営」を「学級経営」に読みかえて下さい。さてさて、自分の学級はどんなことに『卓越』しているでしょうか。また自分自身の『卓越』していることは何でしょうか。
 児童一人一人もまた、その子だけが卓越している何かを持っているはずです。ぜひとも「子どもの心の宝さがし」をしてあげて下さい。
 学級経営のポイントのひとつに担任の「決断力」もあります。子どもたちにとって担任は「指導者」であり「経営者」であり、「お山の大将」でもあります。学級組織のトップに立つ者が、授業の中で迷っている姿を毎日のように見せたら当然信頼関係が崩れます。反対に子どもたちに起こった問題を決断力を持ってどんどん解決してくれる人がトップに立てば、安心して力以上のものを発揮するようになります。



(11)「リーダーは尊敬されるが、必ずしも好かれるとは限らない」

 私たち担任は子どもの機嫌取りではありません。指導者です。目の前の子どもを伸ばすためには、時には厳しいことも言わなくてはなりません。厳しくても納得できる指導であれば、子どもたちは担任を尊敬するようになり、3月ごろにはきっとこういう言葉を話すようになるでしょう。
「4月からも先生に担任をしてもらいたい。」
 ただ気をつけなくてはならないのは、好かれなくていいということではありません。担任がいつも楽しそうに授業をしていれば、子どもたちは当たり前のように担任を好きになるはずです。また、楽しい授業が毎時間くり返されれば、「今度はどんな勉強をするのかな!学校って面白いなぁ!」と、学習する脳が強化されます。こうなってくると、なんと子どもたちは自ら勝手に学ぶ集団へと成長していきます。



(12)『研究者に求めることが少なければ少ないほど、成果もあがる』と考えるのは、研究開発をめぐる大きな迷信にしかすぎない

 大学時代に先輩から「仕事は一番忙しい人に頼むものだ」と教えられ、だから君に頼むんだと理不尽なことを言われ、訳も分からずにいろんなことを鍛えられた井上です(苦笑)。例えば、「弁当は5分で食べろ」とか。
変なストレスに感じてしまうと困るので、この話題については反対だと感じていただいてもOKです。
ただ、研究や授業開発に関しては、自分自身に対して求めることが大きければ大きいほど成果が上がります。先日、私のお隣の席にいらっしゃるベテランの先生と話したことですが、
「これまでいろんなことをやらせてもらったし、今でも区や都の研究授業とか助言者とか講師などたくさんやっている。こうしたことが本当に力になっている。」
とおっしゃっていました。私もまったく同感で、だからこそここ5年間連続で区小研の研究授業をやってきたわけです。やればやるほど授業の奥深さに気づかされ、研究することの面白さにとりつかれるのですね。
 みなさん、研究授業は買ってでもした方が良いですよ。



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小学生によるマインドマップメンタルトレーニング術

辰巳ジャンプの副キャプテンがバレーボールについてマインドマップ(写真参照)で考えたことを作文にしてきました。
かなり長文(原稿用紙4枚強)で書けましたので、ここで紹介します。

本人には「推敲(すいこう)」をすると論理的思考力が伸びるよとアドバイスをしてありますので、ここでは私が作文を校閲・推敲し、より良い文章に直して掲載します。

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「マインドマップで考えたバレーボールのこと」

私はバレーボールで大切なことをマインドマップにしてみました。今から作文に表したいと思います。

私はバレーボールでアタッカーとしてスパイクを打っています。スパイクはステップとジャンプが大切です。
ステップはスキップのように正しくおぼえます。正しくといえば、トスも正しく上げないといけません。誰もがセッターみたいにアタッカーが打ちやすいトスを上げないと、アタッカーが十分に力を出し切れるスパイクを打てないと思います。辰巳ジャンプのセッターはH.Nさんです。H.Nさんは、アタッカーに決めてほしくて、打ちやすいトスをいつも上げてくれます。
次はジャンプについてです。ジャンプはウサギみたいにジャンプします。ジャンプと言えば辰巳ジャンプともつながります。辰巳ジャンプは日本一になります。日本一になるためには、練習をしないとなれないけど、うちは練習の量が少ないので、部員一人一人が家で自主練習をすると、もっともっと強いチームになれると思います。

サーブを打つ時は、フォームとスピードが大切です。私にとって正しいフォームから思い浮かぶことはスパイクや水泳です。今の私の目標は、スパイクはストレートに打てるようになることです。さらに「絶対決める!!」という気持ちで打つと、いいスパイクを打つことができます。スパイクが決まると思わずガッツポーズをしてしまいます。ガッツポーズは試合に勝ったとき、気合を入れるときに私はよく使います。ガッツポーズが増えると試合に勝てるのではないかと考えました。
良いスパイクを打つためには、打つ前に力をぬくことも大切です。水泳でも力をぬいて泳ぎます。泳げると楽しくて楽しくて、何時間でもやりたくなります。バレーボールも何時間でもやりたいです。
スパイクはスナップを使ってドライブをかけることも大事です。
スピードはチーターや新幹線を目標にして走ります。そのくらい速く走れるとかっこいいです。プロの選手や先日応援してきた辰巳ジャンプの先輩(高校生)もかっこいいです。私はプロの選手や先輩にとってもあこがれています。私もそういうふうになろうと思いました。

次にレシーブについて考えました。
レシーブは絶対に落としません。また面で受けます。面で受けるには、足を動かして正面に入ったり、うでをしぼったりしないとできません。動くときは全力で走ってあきらめなければどんなボールでも取れると思います。全力で練習して強いチームになりたいです。

次に心についてです。
心は大切です。大切なのは家族や友だちで、家族は私のことを思って応援してくれます。私たち辰巳ジャンプの部員は、そのことも頭に入れながら練習をしていかなくてはならないと思いました。
友だちは仲間です。いざというときには相談にのってくれます。そんな友だちといっしょに学んで、体験して、遊んでいきたいです。
心といえば「ハート」で、イメージするとピンクや大好きという言葉がうかんできますよね。しかしバレーボールをしている時には、気持ちは強く、ねばり強い気持ちでプレーしたいと私は思います。しかし強気でやろうと思ってもできなくて、いつの間にか泣いている時があるので気をつけます。

次はトスです。
トスといえばセッターで、その中でも有名な全日本選手・竹下選手です。私は「自分が竹下選手になれたら試合でオーバーをミスらないのにな~」と思いました。トスは声を出しながらアタッカーが打ちやすく上げます。「レフト!」や「センター!」と呼んだら、アタッカーが迷わないので打ちやすいです。

最後に、バレーボールで大切なのはやはり仲間です。
仲間とは助け合ったり、励まし合ったりします。励ますときには「ドンマイ!」「元気出して!」「次があるんだよ!」などと励まします。仲間はどんな時でも私のそばにいます。そのことを忘れないで生きていこうと思います。

このようにバレーボールについていろいろと考えてきましたが、私たち辰巳ジャンプは大きな目標に向かって、みんなで練習をがんばっていきます。その中でも私はみんなを引っ張っていけるようなアタッカーに成長していこうと思います。

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実はこの子のノートに書かれていることは、とても小学生とは思えない高度なレベルなのです。今すぐ小学校の教師になっても大丈夫なのではないかと思えるほどです。2週間前に私が教えた「成功法則」も、自分なりに消化して、分かりやすくノートにまとめてありました。
バレーボール経験7カ月で、まだまだ技術が未熟なのですが、来年1月の教育大会の頃にはチームの大黒柱としてコートを走り回っていることでしょう。

伸びゆく子どもを指導できることほど楽しいことはありません。


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辰巳っ子 やればやるほど 伸びる夏 【俳句】

気温34℃の体育館。外にいる方が涼しい。
そんな中で辰巳ジャンプの子どもたちは練習に励んでいます。

20人の部員のうち、実質バレーボール経験1年以上あるという子が6人。普通ならば1勝もできないような経験値であるチーム事情ですが、東日本大震災でホーム体育館を破壊されて以来、不思議なことにチーム状況はどんどん良くなって、秋の大会で「都大会をねらう!」と宣言しても不思議ではないくらいに子どもたちは成長してくれました。

子どもたちは、何しろ真面目です。
こうするんだよと言えば、その通りに努力してくれます。
考えながらバレーをするんだよと言えば、一生懸命に練習ノートを書いてきます。

今のチームの“素直さ”は、辰巳ジャンプ史上最高と言っていい。
そのくらい、気持ちの良い子どもたちです。


レシーブ技術に力を入れて指導してきた4~6月を終え、今は攻撃力育成に力を入れています。
夏休みがあける頃には、スパイクの決定力を3倍にアップしておきたい。そのための私から子どもたちへの要求が高くなっています。子どもによっては、その要求を重荷に感じることもあるかもしれません。そこでひとこと、この夏の合言葉を示しておきます。

忍耐

これです。

耐えて耐えて耐え抜いた時に、美しい花がパッと開くような練習をしていきたいと思っています。
実は、レフト・ライトの新米アタッカーは、あと少しでスパイクのコツをつかめる段階まで来ています。

夏休み終盤から、東京新聞杯江東中央予選が始まりそうなので、急ピッチで5年生を育て上げるつもりです。



3年生も「U10大会」に向けて、チーム行動ができるようになってきました。
何をしでかすか分からない面白さのある3年生の子どもたちです。
勝ち負けではなく、一生懸命にプレーをする小学生バレーボールの面白さを味わわせてくれるに違いありません。
保護者の皆様の応援をよろしくお願いいたします。


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「セルフマネジメントノートブック」を作ってみました

先週、中学生の卒業生が私のところに来て、「勉強方法を教えて下さい。」と相談してくれました。
それなら用意をするから1週間後に来てくれと約束し、準備をしました。

中学校の勉強は小学校の単元学習とはちがって、定期テストが基本リズムとなっているし、各教科ごとに担当の先生の出題傾向に違いがあるので、小学校の教員がアドバイスできるとしたら「モチベーションアップ」と「学習リズム」、さらに「成功法則」を実感させることと判断し、卒業生の心を向上心に向けるためにどうしたら良いかと考え抜きました。

その結果、考え出したのが「セルフマネジメントノートブック」です。(写真参照)

この「セルフマネジメントノートブック」の要素は下記のようになっています。

(1)目標管理
(2)スケジュール管理
(3)学習定着シート
(4)俳句による言語感覚育成
(5)日記マインドマップによる脳活性

1週間考えて、修正に修正を加えただけに、けっこうできが良いと自画自賛しています。実際に職員室内ではかなり評判が良く、中学生を子育て中の先生は「これいい!私の息子にやらせるからちょうだい!」と言って持って帰ってくれました。



なんと残念なことに、約束していた卒業生は連絡もなく来ませんでした。本人たちは意識していないでしょうが、残念ながらこれほどのチャンスを生かし切れない生き方なわけです。「生きる力」というのはこうしたコミュニケーション能力にも出てくるわけです。本人たちがこのブログを見ることはないでしょうが、誰かが伝えてくれることを期待して、あえて書き残しておきます。



実は、このノート作りに大きなヒントを得ました。

近い将来、私は学校の「オリジナルノートブック作成構想」に着手しようと思います。現任校では実現できないと思っています。次の赴任校か、またその次の赴任校では実現する方向で、アイデアを蓄積していこうと思います。

また、指導している辰巳ジャンプでも、子どもたちが書く「練習用オリジナルノート」を自費で作ろうと思っています。

「オリジナルなノート」を作成することで、自分がやろうとしている教育を実現する近道となるはずだと直感しています。


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学習指導要領と小学生バレーボールとの関連

今日は初めて中央区の小学校に練習試合に行きました。広くてとてもきれいな体育館に、さすがに教育予算のある区は違うなぁと感心しました。無理すれば2面取れる体育館で、もし1日貸していただけるなら、思う存分、交流試合をしていける環境でした。

練習試合の最中に、私自身が、
「もっと相手をよく見て“判断”を早くすること!」
「どこに打てば点を取りやすいのか、どこにポジション取りをすれば相手に点をあげないですむのか、よく“考える”ことが大事だ!」
「チームのみんなに何をしてほしいのか、ミスをした仲間をどんなふうに励ますのか、しっかり“表現”をすること!」
ということを語っていることに気づきました。

気づいた瞬間、なんと脳内で「学習指導要領・総則」と一致しました。
自分が指導しようとしていることは、学習指導要領の目指す人材像と一緒ではないか。日本国家の目指す人材像をバレーボール指導の中でも育てていくことができるのだ。指導をしながら自分自身の思考を深めていきました。

では、学習指導要領の総則にはどんなことが書かれているのかを紹介しておきます。


【総則 第1の1】(前半省略)
 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。



総則第1の1にあるキーワードは「生きる力」「基礎基本の知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的取り組み」「個性」「言語活動」「家庭との連携」「学習習慣」です。


バレーボールの試合の中で子どもたちに教えていることを項目別に示してみましょう。


【判断力】

(1)自分やチームの仲間の能力や行動を理解し、どのようなプレーをすることで成長していくことができるのかを「判断」する。

(2)相手をよく観察して、どんな攻撃や守備をしてくるのかを理解する「判断力」が必要であること。

(3)スポーツでは「瞬間的判断力」という言葉をよく使います。この判断力を伸ばすために必要なことは、「バレーボールをよく知っている」という基礎基本の知識や経験が力となります。



【思考力】

(1)今、自分やチームに必要な練習課題は何なのか。今行っている練習は試合の時にどのように役立つのか。サーブをフローターやジャンピングフローターに変えたのだが、どんなふうに打てば強いサーブを打てるのかなど、練習で「思考力」を必要とする場面はいくらでもある。

(2)試合中には、相手は何を考えているのか。自分たちのバレーボールをするためにはどうしたら良いだろうか。ボーっとしながらバレーボールをするよりも、考えて考えて考え抜いてバレーボールをしえちく方が伸びるに決まっています。「思考力」のある子が伸びるのです。

(3)思考力といえば、思考方法を知っているかどうかも大事です。バレーボールに必要な思考方法は「プラス思考」「ポジティブ思考」であり、その思考を創り出すのが、辰巳ジャンプの開発した「3%の神様習慣」です。



【表現力】

(1)自分の思いや課題を適切にはっきりと言葉に表現できる力は、自分自身の意識にも強くアクセスすることができるので、上達が早いです。声に出さなくても、心の中で自分自身に言い聞かせながらプレーしている子、逆に何も考えず、言葉にもしていない子、見ていて分かります。豊かな言葉で自分のことを表現する能力が大事なのです。

(2)チームスポーツであるバレーボールは、黙ってプレーをする人はあまり上達しません。トップレベルにあるチームの選手ほど、うるさいくらいにしゃべり続けながら試合をしています。時には大喜びしてチームを盛り上げ、時には怒りながらチームを引きしめる。言葉の力は本当に大きいです。私自身も指導者として言葉豊かに指導していけるように努力しなくてはいけないと、あらためて感じました。

(3)「スポーツオノマトペ」という考え方があります。超一流のスポーツ選手は、120%の力を発揮するために、その人独特の声を出しています。例をあげると、卓球の福原愛選手の「サーッ!」とか、プロ野球楽天のエース・田中投手の投球前のつぶやきとか。砲丸投げの室伏選手も投てき直後に大声を出します。自分の力を最大限に発揮させる「オノマトペ」を持っているかどうか。たったこれだけの表現力のあるなしで、人間の能力が決まってしまうのです。




ボランティアで指導していることが、学習指導要領の柱である「思考力・判断力・表現力」と結びつきました。
さらに自信をもって、子どもたちを深く強く指導していこうと思います。


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感動した丸山亜季先生のピアノ

斎藤喜博先生を追いかけ、林竹二先生を追いかけ、私は教師生活を送ってきました。

今日は勤務校の特別支援学級で研究授業があり、その講師として斎藤喜博先生と共に学校を作り上げてきた作曲家の「丸山亜季先生」をお招きしました。ご高齢ながらお元気いっぱいな亜季先生のお姿を拝見し、さらに丸山先生のピアノの生演奏を聴くことができ、私はこれまで追い求めてきた斎藤喜博先生の教育実践を、生きたものとして脳裏に刻んだ感じがしています。

斎藤喜博先生の実践は、ひとことで申し上げると「学校創り」の実践だと思います。校長として、常に子どもたちの成長を考え、そして教師に対しても温かくも厳しく指導をし、共に授業を考え、大きな教育成果をあげられた。その根本的な考え方は、どのような「授業」を行うかという一点に絞られると思います。

斎藤喜博先生の学校では、子どもたちが「勉強試合をしましょう!」と教師に投げかけてくることがしばしばあったと、著作には書かれています。勉強試合とは、ひとつの学習課題に対して、いったい何が相応しい答えなのかを、あれやこれやと討論していく授業のことを言っているようです。教え込みでは決してない。子どもたちも教師も同じ土俵に立って、真剣に意見を交わす授業。そんな真剣勝負の授業を追い求めていきたい。私のこれからの教員生活の中でも、こうした「真剣勝負」の授業をできるだけ多く実践していきたいと思っています。


さて、今日の特別支援学級の指導案の中に、とても素敵な言葉が入っていました。私はその一文字にくぎ付けになってしまいました。

それは、『霧』という一文字です。

「劇を演じたり、歌を歌ったりするとき、私たち教師の心の中にも、知らず知らずのうちに霧が漂いはじめ、心を曇らせることがよくある。そんなときに、子どもたちの「晴れやかな歌声」が私たち教師の心の中にある『霧』を晴らしていくことがある。そんな子どもたちの輝く姿を引き出したい。」

というようなことが書かれていました。

私はまったく同感だと思いました。普通学級にいる教師も児童も生徒も、みんなみんな、自分の心の中の『霧』を抱えながら学習をしている。しかし心が解放されていない中で課題に取り組んでも、力以上のものが出ることは決してありません。「解放された本当の自由な心」こそ、すべての学習にとてつもないエネルギーを与えるのです。



私は学校の教員に、「もっと特別支援学級の授業を参観してほしい」と呼びかけています。
「教育の原点は特別支援学級にある」とも言っています。
その原点とは「解放された心」のことを言っているつもりです。

心が解き放された子どもたちは、周囲の目には振り回されることなく、自分の持てる力を存分に発揮していく事に喜びを感じていきます。その姿は神々しいとも言えます。

今日、一緒に参観した新任教諭にも感想を聞きましたが、
「言葉にはならないほど感動しました。教育の原点という意味を、あの場の空気、子どもたちの生き生きとした姿、そして先生たちの動きから感じました。」
と答えてくれました。

願わくば、普通学級の子どもたちも、特別支援学級の子どもたち以上に、心が解放され、自分でも気づいていない「神々しい内面」に気づいてくれると素晴らしいのですが、これを実践することを今後の私自身の課題にしておきたいと思います。



研究協議会に参加する時間がなかったので、担任の先生には下記のような感想メモを残しておきました。

「今日の授業は、指導案にあるように、まさに霧が晴れていくような授業でした。授業を参観しながら“共育”という言葉が思い浮かびました。子どもたちの晴れやかな歌声が、大人である先生方を育てている。このことは間違いありません。もしも宮沢賢治が現代に甦って、今日の授業を見ることができたら、きっと賢治は特別支援学級の担任を希望することでしょう。今日の授業はイーハトーブの再現だったと思います。」


最後にもう一度。
丸山亜季先生は、今日の授業の中で「ゲストティーチャー」としてピアノを弾いてくれました。そっと後ろから覗いてみると、なんとなんと楽譜を使っていませんでした。それでも音を間違えずに、子どもたちが動きやすい、歌いやすいように演奏してくれる技術に、またまた感銘したのでした。


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斎藤喜博 授業 (人と教育双書)
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心をひらき歌う合唱―斎藤喜博に学びながら
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