地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

福井鉄道モハ140・最後の雄姿

2006-03-30 17:46:37 | 地方民鉄 (中京北陸)


 今回の福井寄り道訪問にあたっては、もちろん名鉄600V車の活躍開始前夜の模様を目にしてみたいという願望もあったのですが、それ以上に重要だったのは、3月いっぱいで運用を離脱することが分かっている80・120・140・300形の最後を記録しておくことでした。
 しかし、非常に古い車体が最高に魅力的な120形は、せっかくカルダン駆動に改造されながらも、車内が半鋼製ロングシートであるためか、予備の中の予備ということで、運用に入っていることなど滅多にあり得ません。そこで、せいぜい武生新に留置中の姿を撮れれば御の字だ……と思っていたのですが、当日行ってみたところ西武生の非常に撮りづらい位置に留置中だったため、根本的に撮ることは叶いませんでした (TT)。
 その代わり、釣掛駆動のままで半鋼製転換クロスというスペックの140形が、何と120形の定位置 (?) に留置されており、しかも何とパン上げ中!! v(^o^)v この140形についても、通常は予備車扱いということで元々パン上げ状態は全く期待しておらず、とにかく撮ることが出来るだけでも良いと思っていただけに、古典電車の廃車直前パン上げ姿を目にすることが出来ただけでも、高いワープ料を払って来た甲斐があったというものです! 
 もちろん欲を言えば、是非ダイナミックな轟音と揺れまくりの乗り心地を体験してみたかったのですが (結局一度も乗ったことがなかった……-_-)、長野出身車 (前パン側) と名鉄出身車 (パン無し) という全く生い立ちが異なる車両どうしがデコボコな固定編成を組んで活躍してきた……という、如何にも古き良き地方私鉄らしい組み合わせは、もう今後余り見ることが出来ないものでしょう。
 そういう意味でも、今回の140形の廃車は、LRT化や大手私鉄ステンレスカー導入の道を進むことによって生き残ろうとする地方私鉄のひとつの典型的な象徴的事例なのかも知れません。
 ちなみに、このあと西武生駅で雨宿り中に会話をした同業者 (初老の紳士ながら、どう見ても偉大な写真家に似ておられる……) のお話によりますと、この140形は翌朝 (29日) に動くとのこと……。長電や名鉄の同時代の車両たちは全て廃車になってしまった中、21世紀に至るまで、しかも引退の直前まで朝のラッシュアワーに活躍の場を与えられたこの2両は、本当に幸運だったのかも知れません。