地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

韓国の重量級セメント列車@堤川駅

2009-12-04 07:02:00 | 韓国の鉄道


 いま、朝鮮半島全体が揺れに揺れまくり……。北朝鮮では膨大なタンス預金の没収と国家統制の回復を狙ったデノミ(通貨切り下げ)が突如断行され、ふだんは金王朝に対して従順な人々がキレる寸前になるほど経済が大混乱に陥っているとか……。今年は著しい不作とも伝えられる中、今後何が一体どうなることやら……。万人にとって要らない国には早々に崩壊してもらい、一刻も早く北の鉄道で自由に撮り鉄出来る日が来ることを楽しみにしているのですが……(汗)。
 いっぽう韓国は韓国で、鉄道労組による史上空前のストライキが1週間以上と長期化し、とくに貨物列車は数%の運行本数も確保できず、韓国経済を徐々に麻痺状態に追い込んでいるとか……。韓国の貨物輸送といえば、大型の海コンをそのまま貨車に積載可能であることから、全国各地から釜山などの大港湾にコンテナ列車でダイレクトで運ぶ輸送が結構繁盛しているだけでなく、内陸部で膨大な量が生産されるセメントをソウルをはじめ各地のストックヤードまで運ぶセメントタキ (?) 列車が頻繁に運転されています。そして、効率良く大量輸送することが可能なだけの鉄道インフラが整っていることが、そのまま韓国セメント業・建設業の競争力を辛うじて保つことにもつながっているようです。そんな鉄道貨物輸送が既に1週間死んだに等しい状態であることから、徐々に韓国経済界全体から悲鳴が上がり、李明博政権は鉄道労組と徹底的に戦う方針を示しているとか……。ストとデモ行進は韓国名物であるとはいえ(爆)、やり過ぎは幅広い支持を得られるとは到底思えず、日本国鉄と同じく深刻な鉄道離れ→経営危機を引き起こすだけでなく、労働組合自体もかつての国労と同じく自滅の道をたどるのではなかろうか……と、外つ国の物好きの一人として思う次第です。あ、個人的には、韓国で今でもストとなると往々にして見られるアジビラベタベタ通勤電車を撮りまくってみたいのですが……(^^;;)。(以上の点に関するコメントはご遠慮下さい→11:37付記:労組全面降伏で終了)



 そんなニュースに触れて、そういえば……去る7月の韓国出張撮り鉄ネタがまだまだあったことを思い出しました (^^;)。とくに、ソウルから中央線で安東(慶尚北道)に向かう途中、わざわざムグンファ号を堤川(忠清北道)で途中下車したのは、まさに韓国内陸部における鉄道貨物輸送の一大拠点にて、おフランスEL重連に牽引されたセメント列車を撮りまくるためだったのでありました……(*^^*)。
 堤川という場所は、韓国全体からみればごくごく地味な地方都市という位置づけのようですが、ここでは第二次大戦中に開通した中央線(ソウルと釜山を結ぶ、内陸部の迂回路線)と忠北線、そして朴正熙政権時代に(?)山岳部のセメント・石炭資源を開発するための路線として開通した太白線が合流し、まさに鉄道城下町の観があります。とくに圧巻なのは、電化時におフランスの技術援助で大量に用意されたELが、駅の南側の広大な機関車・客車溜まりにズラ~リと並んでいる光景や、駅西側のヤードに夥しいセメントタキ(?)編成が停車し、まさにセメント列車のために複線電化された忠北線を通って送り出されるのを待っている光景だったりします。そして堤川駅構内で待ち構えていても、それこそ数分から10数分に1回は必ず20両編成のセメント列車が現れ、ズドドドドド……と通過して行くのですから、その興奮は例えようもありません(*^O^*)。ここはまさに、日本からも気軽に訪ねることができる車扱貨物の聖地……。
 そして、堤川駅からさらに中央線・太白線を分け入って行きますと、それこそ各駅ごとにと言っても良いほど頻繁に巨大セメント工場が姿を現し、スイッチャーと連結されたセメントタキ (?) の姿が! う~む、いつかその全貌を把握してみたいものだと思いますが、果たして滅多に列車が停まらないド田舎の駅のホーム(それでも有人駅)で長居させてくれるのかどうか……(^^;)。
 ちなみに、堤川界隈を頻繁に行き交うELは、旅客→ドイツ風、貨物→おフランス風となっていますが、もしも中央線や忠北線の電化が歴史的に早い段階で実現していたとすれば、それこそ鮮鉄デロイ・デロニの量産タイプや、EF64あたりの韓国バージョンが大量に走っていた可能性もあります(ソウルの地下鉄が当初全面的に日本技術に依存していたことも考えれば、日韓国交回復に伴う大量の経済協力[戦後賠償の代わり]の一環として、山岳幹線の日本技術による電化がメニューに入っても良かったはず。既に引退して韓国鉄道博物館に保存されている中央・太白線用ムグンファ電車も485系の亜流っぽいデザインですし ^^;)。しかし、タイミングのズレ、または技術供与元多角化方針(?)により、結局おフランス天国になってしまったのは少々残念ですね……。まぁ、おフランスに行かずとも、気軽におフランス風情を楽しめるというのは、これはこれで有り難いのですが (笑)。