ソウルの中心街からアプローチしやすい車両基地・工場といえば、龍山と並んで水色[スセク]もオススメでしょうか。ここは韓国鉄道事情にご興味をお持ちの方でしたらご存じの通り、ソウルを発着する非KTX長距離列車の運行上欠かせない超重要車両基地でありますが(なお、KTXは幸信駅の先にある高陽車両基地)、京義線が今年夏に複線電化されるまで、水色駅から車両基地内の車両の撮影は、いろいろな障害物に阻まれてやりづらかったという……(CDCの車内から一瞥してスッパリ諦めておりました)。しかし、京義線複線電化の完成により状況は一変! まず、水色駅手前数百mの位置にオープンしたDMC[ディジトル・ミディオ・シティ→ハングルをそのまんま読んだ場合]駅からの眺めが素晴らしい……。駅の真横が客車だまりとなっており、湖南・全羅線方面へ向かう485系風 (?) 客車ムグンファのサボを眺めているだけでも旅情をかき立てられますが、時折入換中の大型DLがグロロロロ……とゆっくり通過し、背後の高層ビルとの組み合わせが何とも「ダイナミック・コリア」です (一体いつの観光キャンペーン・スローガンだよ……と。笑)。
DMCからムン山行の電車に乗って1分、複々線化されて新装成った水色駅に到着しますと、今度は貨車も含めて夥しい数の編成を留置可能な大ヤードが目の前に広がっております(*^^*)。そして、確か機関区がさらにムン山寄りの位置にあることから、この位置でも入換中のDLを撮影することが出来ます(電柱が手前にカブる可能性が低い分、こちらの方が撮りやすいですね~)。太極旗カラーのDLでもまぁ別に良いのですが(単にアメロコ・デザインであるだけでなく、とにかく満鉄・鮮鉄サイズでデカい点が日本で味わえない魅力)、やっぱり旧塗装で水色基地撮り放題を楽しんでみたかった……と思うのは私だけでしょうか。仮に今すぐ南北直通定期客車列車がソウル=平壌間で運行されるとしても、機関車は都羅山か開城で交換されることになると思いますので、この位置でコメコン・テイストな北のDL(コメコンという言葉が死語になってからも20年経つのですなぁ) を撮影するのは夢のまた夢か……と (^^;)。
それにしても、こうして撮影地ガイドをしまくったところで、絶対に撮り鉄が殺到することは予想できず、何時訪れても悠々と自分一人だけで極上スポットを独占できる……というあたりが韓国撮り鉄の魅力でしょうか。この日も、京義線の電化開業後最初の週末であったにもかかわらず、DMC駅で撮り鉄していたのは自分一人だけ(^^;)。これもまた、鉄道趣味不毛国・韓国らしい一幕ですが、逆になかなか趣味的に注目してもらえない韓国国鉄(及び、ごく僅かな韓国の鉄道ファン)に少々同情せずにはいられない気分です。