地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

祝!神奈中バス90周年・津久井の旅 (下)

2011-06-23 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 やまなみ温泉界隈での乗り&撮りバス、そして夢見心地の入浴&生ビールbeerを楽しんだ後は、14時57分発のバスに乗って道志街道の要衝 (?) 東野へ向かいます。何と約3時間もやまなみ温泉界隈に滞在したことになりますが、慌ただしい日常からみて何という贅沢……(*^^*)。
 東野へ向かうバスは篠原行と同じく日野ポンチョでありますが、篠原への往復と比べ最大の違いは……一応ハードな狭隘路は存在しないということでしょうか。やまなみ~篠原間の道も県道だったりするのですが……(汗)。というわけで、ところどころ現れる急カーブもポンチョにとっては全く苦ではなく、時折集落が現れて学校帰りの小学生や温泉帰りの老人を降ろして行くごとに、目の前には巨大な丹沢山塊の本体が迫って来ます。そして最後に道志川の谷底に向けて高度を下げ、実に古めかしい道志ダムの本体の上を通り、周囲の険しい山々から見れば猫の額ほどにごく僅かな平地を申し訳程度に走りますと、目指す東野(ひがしの)に到着~。ここまで所要約20分で、運賃は200円ポッキリ也。



 津久井湖から枝分かれする相模川の支流・道志川は、山中湖の東の分水嶺に源を発し、丹沢山塊裏側に険しい峡谷を形作りながら流れ、主に横浜市の水源として利用されていますが、その水質の素晴らしさは、横浜港で積んだ水がとにかく腐らないことから、世界の海運業界にも広く知られるところとなっているとかいないとか。また、そんな険しい清流のほとりにはごく僅かながら集落が点在し、それらを繋ぐ細く険しく長い道は古くから道志街道と呼ばれ、神奈川県北部から富士五湖に至る裏技ルートとして割と良く利用されてきたという歴史があります。そこで、この街道には人口密度の低さにもかかわらず昔から路線バスがそれなりに運行され、津久井町の中心・三ヶ木→東野→県境の月夜野という順序で神奈中バスと富士急バスを乗り継げば、橋本駅から山中湖・都留市・富士吉田まで野趣あふれるバスの旅を満喫することが出来た……はずでした。とくに、手許にある1980年代初頭の全国時刻表を繙きますと、このルートの神奈川県側の時刻(約60~90分間隔)が掲載され、山間部の生活の足としてしっかりと機能していたものでした……。また、山屋としての視点からみますと、小田急の渋沢駅から神奈中バスで15分ほどの大倉を振り出しとして丹沢山塊の主脈を縦走しますと、東野または三ヶ木~東野間の西野々がゴール地点となることでも知られています。私もかつて山屋をやっていた10年以上前、朝6時過ぎに大倉を出発して夕方東野に到達するというハードな縦走を敢行し、帰りは東野から三ヶ木へ向かったものです (健脚だったなぁ……遠い目 ^^;)。
 というわけで、道志川の峡谷にぽっこり開けた東野にて発着する神奈中の路線バスは、地域の貴重な足にして山屋愛用の路線だったはずですが……時代は流れて道路が相当整備され、沿線民の外出は自家用車に流れ、山屋も縦走ではなく自家用車利用・林道駐車のピストン山行が主流となり……ついに数年前、神奈中は伝統の三ヶ木~東野~月夜野線の廃止を打ち出したのでした。しかし確実に沿線人口は存在し、とくに通学生や公共交通派の山屋にとって大打撃となることから、辛うじて平日6往復、土曜休日2往復 (!) が相模原市の補助金によって命脈を保っているのが現状です。あるいは、単に東野からであれば、やまなみ温泉乗り換えで藤野へ出る方が、鉄道へのアクセスという点で有利なことは否めず、しかもやまなみ~東野間はもう少々本数が多いため、三ヶ木~東野線の価値が低下したのも事実……。
 今回神奈中バス・津久井の旅を敢行したのは、やまなみ温泉界隈のバスシーンを楽しんでみるのもさることながら、まさに廃止の危機にある三ヶ木~東野線を、存続しているうちに(そして二段窓エアロミディが走っているうちに)一度乗っておかなければ!と思ったためでありました (汗)。そして当日は期待通り、二段窓エアロミディが御登場! (^O^) 東野集落中心街 (?) との組み合わせ(1枚目) も良い感じに決まりました……(^_^)v そして三ヶ木までの約40分間、ところどころ現れる未整備区間の狭隘カーブや、新道から分かれて狭隘路の集落に入って行くところを楽しみつつ、下り坂の連続ながらも響き続ける重厚なエンジン音に酔いしれたのでした……☆
 そして16時45分、ついに津久井神奈交バスの本拠・三ヶ木に到着! バスターミナル脇の車庫には何と!二段窓エアロミディが並んで休息しているという、今や神奈中では最高に貴重なシーンが待ち構えていたのでした♪ その後は津久井湖経由の橋本駅北口行バスに乗って、17時30分頃橋本駅にゴール!! 橋本駅は近年、相模原市北部の一大人気エリアとして大型マンションやSCの類が林立しつつあるところであり、しかもリニアの駅が設置される可能性が高まっているなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで発展しつつあるスポットですが、ここからすぐそばに津久井・裏丹沢の深い山並みが広がっており、その中を零細な路線バスが辛うじて走っている……という事実が全く信じられないという気分で横浜線の客となったのでした (^^;;)。