地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

チベット・ラサ近郊絶叫バス (下) ツルプ線

2011-09-14 00:00:00 | アジア諸国の路線バス


 昨日はチベットの都・ラサの大型 (?) バス狭隘路線をご紹介しましたが、ついでにもう一つ、小型バスによる超狭隘デンジャラス路線として、ラサの西にある山奥の寺院・ツルプ寺に向かう参拝バスをご紹介しましょう~。この路線もやはり早朝6時台にラサの中心・ジョカン寺前にて客引きをしており、目指すツルプ寺もガンデン寺に負けず劣らず名刹ですが、ガンデン寺はダライ・ラマの宗派の開祖本山であるのに対してツルプ寺はややマイナーな宗派の本山であり、しかも恐ろしく山深いところに立地していますので、自ずと日常の巡礼客は少なく、ガンデン寺線が大型車毎日数台であるのに対してツルプ寺線は小型車1台。まぁ、そもそもツルプ寺への道は大型車など到底入れないのですが、ラサの街を出発して青海チベット鉄道を左に見ながら舗装道路(青蔵[青海チベット]公路)を飛ばしている間は、この先に控える「遊園地の超絶叫マシンも腰を抜かしてびっくり」な悪路の実態は想像するべくもありません。
 ようやく明るくなって来た朝7時40分頃(北京時間なので・・)、バスはいよいよ青蔵公路を外れ、鉄道のガードをくぐって悪路に突入! 何と……ツルプ寺までの道は基本的に、谷川の河床に沿った踏み分け道を無理矢理車も走れるようにしたような超やっつけデコボコ道なのでありました……。というわけで、バスは随所で岩や段差にブチ当たり、その都度車体が激しく傾くという有様。当然スピードも出ず、どれほど頑張っても自転車に毛が生えた程度……(汗)。たまに集落や畑が現れ、割と整った道(↑の画像はその部類)に入りますとホッと一息です (^^;)。



 バスはそんなこんなで約2時間半ほど極悪路と悪戦苦闘した末、10時過ぎに目出度くツルプ寺に到着~。13時まではフリータイムですので、じっくり本殿を参拝するも良し、清冽な水があふれる谷川の脇でピクニックをするも良し(但し放牧されたヤクの糞で汚染されていますので、生水は飲めません)。この寺の生き仏様はキタイ国とチベット政府の両方から承認され、キタイ政府との関係は表向き悪くなかったそうなのですが、肝心の生き仏様がコムニスティチェースカヤ・パルティヤ・キタイスカヤの洗脳を嫌ってインドに脱出してしまいましたので、主を失って久しい寺は悲しみに包まれたまま、戻るはずもない主の思い出に浸っているような雰囲気……。いっぽう、険しい岩山に囲まれたロケーションは素晴らしいのひとことで、参拝を終えたあとブラブラ散歩していたところ、やはり参拝を終えてピクニックしていたチベット人からお茶をご馳走になり、しょっぱいバター茶をすすりながら緑の谷と大伽藍を眺めていますと気分は爽快~♪
 そんなこんなで13時にツルプ寺を後にした巡礼バスは、朝来た道を途中まで引き返したのち、今度はいきなりウルトラスーパーダイナミック超絶狭隘急峻極悪路 (どういう表現か……とお思いでしょうが、とにかくそんな感じ。滝汗) を登り始めまして、「うわわぁ~何じゃこりゃ!」と内心絶叫する間もなくグイグイと標高が上がり、バスは険しい山の中腹にある小寺院・ネナン寺に到着~(2枚目の画像)。何が何だかよく分からず、バスを降りたあともまごついておりますと、乗客のチベット人たちが「何をしている、早くこっちこっち」と急かします。そこで彼らとともに寺の中の狭い階段を上って行きますと……そこにはこの寺の幼い生き仏様が! ツルプ寺の生き仏様がインドに脱出して久しいため、ツルプ寺の宗派を信仰するラサ近郊のチベット人のあいだでは、この生き仏様に取り敢えずお参りするのだとか。そこで私も、彼らの立ち居振る舞いをしばし観察したのち、同じように祝福をして頂いたのでした(いや~勝手が分からず緊張しました)。
 約40~50分ほどのネナン寺参拝休憩を終えたあとはラサに戻るだけ。しかし……登りでも超!絶叫モノの最悪路でしたので、下りはもう思わずキモがつぶれて小便を漏らしそうなほどの凄まじい恐ろしさ……(@o@;;;)。運転手氏を全面的に信頼し、運を神仏に任せるより他にありません (爆)。この下りをクリヤした後は、往路に感じた極悪路も安らぎの散歩道程度にしか感じず (笑)、無事夕方5時半頃にラサに到着したのでした。まぁ、命のスペアを2つか3つ程度用意できる狭隘路線バスマニアの方には、この路線は心からオススメ出来ます (^^;;)。


 山奥の名刹・ツルプ寺をめぐる。観光客は滅多に来ないので静か (^_^)。



 ネナン寺参拝を終えて超凶悪路を下る途中の大展望。しばしばケツが数十cm飛び上がるほどの激しい揺れと、ヤバ過ぎて小便をちびりそうなほどの気分の中、この1カットが決まるまで何回失敗したことか……(滝汗)。