先日は久しぶりに中国の緑皮車をアップしましたが、とにかくここ3年以上中国に出掛けていないもので、一番最近撮影した中国の客車といえばこちら……ミャンマー国鉄が中国国鉄昆河線の余剰客車をもらい受けた「Chinese Train」になります。
そもそもベトナムを植民地支配したフランスが昆明とハノイ(河内)の間に敷設した鉄道(だから昆河線)は、極めて狭隘な山峡を縫って走るため、そしてフランスが仏印全体に張りめぐらせようとしたメーターゲージ路線網に合わせるためにメーターゲージで建設され、その後中華人民共和国の建国や社会主義北ベトナムの成立によってフランスが鉄道利権を失ってからは中国・ベトナムがそれぞれの領域を走る区間を運営してきたわけですが、中国国内の区間は並行道路や標準軌鉄道の整備などによってすっかりCNRがヤル気を失い、旅客列車は昆明近郊でごく僅かに残るのみ、事実上ベトナム国鉄に連絡する貨物列車が細々と走るのみの路線となっています。そこで余った昆河線客車と液体式DL東方紅21は、同じメーターゲージのベトナムとミャンマーに譲渡されたわけですが、とりわけミャンマーへの譲渡は国際的に孤立していた当時の軍政へのプレゼント(→中国の対インド洋政策の橋頭堡としてミャンマーを活用)という意味合いが強かったのではないかと推測します。
そんな昆河線客車、たとえ同じメーターゲージであるといっても、如何にも日本の旧型客車を17~18m級にしましたという風貌のミャンマー国鉄オリジナル客車と比べますと一回り小型であるという印象は否めません (全高は昆河線客車の方がやや高いのですが)。そこでこの客車は「Chinese Train」として当初ヤンゴン~マンダレー間の29/30レに投入されたとのことですが、この区間は積年の軌道整備悪化と高速道路整備による長距離豪華バスの急激な進展ゆえに利用客減に苦しみ(それゆえに莫大な日本の援助で軌道再整備進行中)、私が初めて訪れた昨年3月の時点で既に29/30レは廃止、ヤンゴンとエーヤワディー川沿いの主要都市ピィを結ぶ中距離急行に用いられています(他にもモウラミャイン~ネーピードー間の急行に使われているとかいないとか)。
この列車(勝手にピィ急行と呼んでおります ^^;) は、定刻であればヤンゴンに朝8時到着、昼過ぎ13時に出発ということで、ヤンゴン行は場所をきちんと選べばド順光で撮影可、ピィ行は基本的にド順光では撮れず……という感じになっています。一応ヤンゴン界隈で最も列車の密度が高いのは、この列車が走る西側ではなく東側であり、そこでなるべく多くの列車を撮ろうとするとどうしてもこのChinese Trainを撮る機会は減りがちです。しかし、一応昔はCNRでバックパッカー旅をしまくり、中共はキライでもCNRの車両は好きな私としましては、やはりきちんと撮っておきたい列車であることに変わりはありません。そこで今年の訪問では、キハ181の撮影と前後してこのChinese Trainがやって来ることから、この列車についても激写しまくった次第です (笑)。
しかし、ド順光の1枚目では……機関車の次位につながっている車両は昆河線客車ではなくミャンマー国鉄オリジナルの割と新しめな客車ということで残念! とはいえ、一応四方工場製ということで、この客車 (そして牽引罐のDF1200インフレナンバー車) も含めてオールChinese Trainであることに変わりはないということで……。正宗昆河線客車には、コルゲート入りの計画経済的車両と、コルゲートがない90年代製の車両の2種類がありますが、個人的な狙い目は勿論前者。というわけで、2枚目は逆光で撮影してレタッチしたものですが、罐の次位にコルゲート車が連結されていて良かった良かった♪ (全然見映えが違いますし!) まぁ要するに、社会主義はキライでも、社会主義的ボロ車両は大好きだ……ということです (爆)。