ジャカルタから西ジャワ州の州都バンドゥンへは、活火山のパンランゴ山を挟んで2つの鉄道ルートが蘭印によって建設されました。このうちチカンペックでジャワ縦断本線と分かれて南に向かい山登りをするルートは、1906年に完成して以来今日まで一貫して特急街道として利用されています。しかし、いち早く1884年に完成していたボゴール・スカブミ経由のルートは、ただでさえ線形が悪く時間がかかり、利用客がバスに客を取られて激減したのみならず、相次ぐ崩落などのため運休が相次ぎ、数年前の時点ではボゴール~スカブミ間がやっとこさ再開しても1日1往復 (ジャカルタからの日帰りには不適)、スカブミ~チアンジュール間が運休、チアンジュール~パダララン間で1日2往復という凋落ぶりとなっていました。その後、ボゴール~スカブミ間は2往復に増え、私も乗りに行って「楽しいなぁ~」と思ったものの……DCの故障のため長期運休 (滝汗)。
しかし、最近のKAIの積極的な経営方針のもと、とくに風光明媚な南廻りルートを観光路線として盛り上げ、あるいはボゴール~スカブミ間の潜在的に旺盛な移動需要に応えるためでしょうか、路線全体の再整備が積極的に進められ、昨年11月ついにボゴール~スカブミ~チアンジュール間で定期旅客列車の運行が再開! 但し、約100kmほどの距離に、スカブミでの長時間停車を含めて4時間かかるという「飯田線もびっくり」な世界ですので、鉄目的での訪問は十分な時間を確保しなければなりません。まぁ時間をかけた分、雄大な緑の大自然に包まれたジャワの田舎の風景を堪能することが可能ですが……。
というわけで、チアンジュール13:50のボゴール行「シリワンギ」号が発車! この列車は途中スカブミでチアンジュール行と交換するついでに長時間停車を行い (その最大の理由は、ボゴールとチアンジュールのいずれも保守管理上の基地スペースがなく、スカブミで給水等を行うためであることが観察から判明)、そのついでに列車名も活火山の名前にちなんだ「パンランゴ」と変わります。編成は、タマ数が極めて限られた日本製2等DCを使うのを止めて客車化したため、編成構成に自由度が生じ、1等1両 (2両のときもあるようです)、電源車兼3等合造車 (事実上乗務員と車販の基地) 1両、3等車4両となっており、他の路線で見られるようなアリンアリン (Google検索をかけると「ファサード」という意味の模様。衝突事故時に機関車次位の客車の破損が多いために連結された控車的存在の無人客車) は、そもそも鈍足運転&列車本数の少なさのため省略されています。
でもって個人的には、今回の西ジャワ大周遊のハイライトとしてこの列車を位置づけ、気合いを入れて1等車の切符を購入していたのですが……実車を前にして愕然としました。何と……窓と椅子の配置が全くかみ合わず、私の席は真横が壁……(激鬱)。しかも斜め前方の窓は、石を投げられて割れたあとの亀裂が極めてナゾな円形状に走っているという、究極のトホホ席……。他の窓も相当汚れたりキズが入っているものが多く、辛うじて綺麗な窓を探すのも一苦労。まぁ、発車後スカブミまではガラガラでしたので、自由に移動して窓外の景色を撮影できましたが……。さらに椅子自体も、小柄なインドネシア人には丁度良いかも知れませんが、大柄な私には超トホホ……。折角風流なバティック柄のシートカバーもかかっているのに、アチャー!という気分です。
この客車、アルゴ1等塗装ではあるものの、どう考えても元はボロい青胴1等車であり、当初寝台車として製造されたものを座席車に改造したとしか思えない……。さらに車端部の壁面には、旅客サービスの一環として最新鋭のビデオが設置され、何と『暴走機関車』を上映中……(爆汗)。列車に乗ってこんな映画って一体どうよ??と激しくギモンでしたが、後でスカブミ発車後天気の悪さもあって暗くなって来ると、思わず見てしまいましたぜ旦那……(^^;)。
これに対して3等車は、1段窓に改造されたばかりの窓が極めてクリアで美しく、大音量ビデオ放映なんてものも当然ありませんので、この列車に乗るのであれば3等車がオススメですね!! (苦笑)
スカブミ周辺伝統のバティック模様が施された電源3等合造車。
4両の3等車は冷房改造と窓の一段固定窓化の直後でピカピカ♪
1等車は……窓と椅子の不揃いぶりと汚い窓と音量ガンガンビデオに絶句……。
しかも私が指定された席は……真横が壁。斜め前の窓は奇妙な割れ方。こんなんでボゴールまで4時間乗るのかよ……。3等車にしとけば良かった! ウワァァン! (号泣)