地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

新ヤンゴン熱鉄記 (19) 環状線全車特別車編成

2014-09-30 00:00:00 | ミャンマーの鉄道


 ミャンマーという国には猛烈な勢いで金が注ぎ込まれ始め、それまでの圧倒的な強権のもとの静かな微笑みの国という印象から確実に変わり始めているわけですが、それがボロボロな鉄道においても顕著に表れ始めていることは、先月のヤンゴン環状線における久留里線キハ38・北海道キハ40の冷房車としての運用開始からも明らかなところです (嗚呼……次回訪問までラッピングされることなくしっかりと稼働していてくれ! ^^;)。しかもこの変化は、日本中古車を除いた面においても如実に表れています。その最たるものが、ミャンマー国鉄オリジナルのヤンゴン環状線用新型客車!
 既に昨年訪問分のレポートでもご紹介しました通り、ヤンゴン環状線では長年来英国植民地支配の置き土産であるDC改造の超ヴィンテージ客車が用いられ、これに加えてミャンマー国鉄の古参客車を多扉ロングシート化した車両もゴチャゴチャに連結されているということで、まさにボロボロ百鬼夜行の観を呈しており、これはこれで非常に楽しいものがありました。しかし、基本的に行商客や低所得層に対応した、車輪が転がりさえすれば良いというスペックでは、沿線に住む中間層から見捨てられてクルマやバスへの逸走を招いてきたわけで、それがここ2~3年の経済発展に伴う急激な大渋滞に拍車をかけるという問題がありました。



 そこでミャンマー国鉄は、ヤンゴン環状線に小綺麗な「特別車」を連結し始めたわけですが、その一部はミンゲ工場で新造されたばかりのロングシート客車となっています。雰囲気としては、台湾で現在代用行李車として少々残存している日本製ロングシート客車を17m・浅屋根・横長窓・ドア無し・プラ椅子・雨樋無しにしたような感じでしょうか。個人的には決してキライではありません。と申しますか……21世紀のこの御時世にこういう客車が新造されること自体が嬉しいですね♪ そして車内に足を踏み入れますと、秘密兵器 (笑) として……中国22系客車の廃車体からもぎ取られたと思しき扇風機(CNRマークが入っているので一目瞭然)がカラカラと回っており、これはこれで非冷房ながらも涼味が多少アップです。
 さらに一部の編成は、全車がこのロングシート特別車で組成され、固定時刻で運用されています。この場合、全車新造ホヤホヤということもあり、非常に整った雰囲気に圧倒されます。
 しかし……多くの利用客にとって、単に小綺麗で扇風機が回っているだけでは全然アピールにはならないようで、ラッシュ時を除けばロングシート特別車はいつ見ても空いています (汗)。とりわけ、全車ロングシート特別車編成の場合は、編成丸ごとスッカスカ! (爆) 単純に私のような外国人鉄ヲタにネタを提供するためだけのために走っているとしか思えないのでありました……。まぁ、今後もこの新型ロングシート客車の増備が続き、全車がこれで統一されて運賃も特別車料金に統合(=値上げ)されるとしたら、誰もが仕方なくこれに乗るようになるかも知れませんが、もう少々運賃を上乗せして冷房特別車(=日本中古DC)に乗った方が良いに決まってるよなぁ……と思うのは私だけではないでしょう。