昨日中国から伝わって来たニュースは、いろいろな意味で黒い笑いがこみ上げずにはいられないものがありました。その一つは、上海証券取引所の惨状……。ここが大暴落すると中国経済に大混乱が生じるわけで、何としてでも暴落を避けようとあの手この手の露骨な介入がなされていたようですが、そうなれば「ここの市場は自由で透明ではないので、何を信用して個別企業に投資すれば良いのか分からぬ」と外部から思われても仕方がなく、外資が猛烈に逃げたと思われる上海B株はグラフが心肺停止状態……(滝汗)。まぁ、偉大で正しい中国共産党が指導する計画経済に戻って行くのが、結局のところ中国人民にとって(そして、荒っぽい膨張に付き合わずに済む世界人民にとって)幸せなのかもな、とも思います。
いっぽう、そんな偉大で正しい中国共産党様におかれましては、このたびAKB48も真っ青の、世界最大のガールズグループにして共産党公認アイドルである「五十六朶花」(Fifty Six Flowersと訳せば良いのか?……56は漢族と55の少数民族の合計=「中華民族の大家庭 (笑)」を意味) をデビューさせたということで、私も早速ようつべにて謹んでその麗姿を拝見いたしました♪ 「中華児女の健康的な風格」を表現したという、その余りにもダサい雰囲気は、およそアイドルとしての甘酸っぱい魅力を欠いているわけで、これを商業ベースで日本アイドルのライバルにしようとしているのであれば壮絶にアホだな、と絶句するのですが……反面、共産趣味的観点からしますと、これはまさに文革ぢゃぁぁっ!紅衛兵ぢゃぁぁっ!北朝鮮ぢゃぁぁっ♪ とりあえず「我愛北京天安門~♪」「我是龍的伝人~♪」「我的夢想中国夢~♪」などと、愛国主義炸裂の歌詞を歌っているあたり、腹がよじれるほど爆笑させて頂きましたが、今後は是非「向雷鋒同志学習 (雷鋒同志に学ぼう)~」「為人民服務~紀念白求恩 (白求恩=ベチューン同志を記念する)~愚公移山~」などなど、いろいろイマドキ風にやって頂いてCDアルバムを出して下されば、現代共産趣味運動の奇跡として購入させて頂かないわけには行きません (笑)。つーか服装は人民服を制服とし、市内の移動は黒いチャリンコとせよ。
というわけで、個人的にはそんな中国もすっかり御無沙汰になってしまったわけですが (まぁネットがあれば、ダーティーな空気を吸わずとも手に取るように雰囲気が分かってしまうという……)、こんなニュースに触れたばっかりに、思わず昔撮った分のHDをガサゴソと漁ってしまいました。というわけで、未だアップしていなかった画像として、北京の中国鉄道博物館にて保存されているSLのごく一部をアップしてみましょう。
1枚目は、泣く子も黙る中国最大のSL・前進型 (QJ……Qian Jinの略) の第一号機。重量級貨物列車用として、ソ連製の友好型をモデルとして設計・製造されたこのSLは、登場したときには和平型を名乗ったものの、間もなく中ソ冷戦へと真っ逆さまに陥ってしまいしたので、アメリカ帝国主義とソ連修正帝国主義の両者を打倒せよということで「反帝型 (FD……Fan Diの略)」と命名されたわけですが、やっぱ露骨すぎるネーミングだったためか、文革の黒幕の一人だった林彪が墜落死し米中接近が見え始めた頃から、無難かつ「発展」の観念に照らして問題のない前進型となって今日に至っています。しかしまぁ個人的には、反帝型でも良かったと思うのですけどねぇ~。略称のFDは、何やらキヤノンFDレンズみたいでカッコ良いですし☆ (そういう問題かよ! ^^;)
ただ残念ながら、個人的な付き合いは薄かったです。90年代にバックパッカーとして中国を旅行したときには、各地にまだゴロゴロしており、とりわけ90年代初頭では田舎の路線で急行列車を牽引することもありました (たとえば蘭州~西寧間でQJが牽引する直快に乗ったものです)。しかし、鉄道写真撮影原則禁止と思っていたもので、撮らなかったことこそ口惜しけれ……。
今や前進型は全中国でほぼ失職し、現役で残るのは集通鉄路(内モンゴル自治区の草原を横切る集寧~通遼間の路線)の動態保存機程度とされ、最近観光列車として動き出したとのことですが、ネットで画像を拝見するにつけ、専用の客車にラッピングをしているのが何ともダメダメ過ぎますなぁ~。
いっぽう2枚目は、満鉄が生んだ超傑作・ミカイ改め解放型 (JF……Jie Fangの略)。余りにも性能が良いため、日本が大陸から手を引いた戦後もしばらく新造が続き (まぁどうせ、強制的に留用した日本人技術者に造らせたに違いない)、さらに貨物用の建設型や入換小運転用の上游型のベースとなったわけですが、嗚呼……これも90年代初頭にはあちこちで煙を上げていたわけで、返す返すも、90年代前半に撮影がほぼ自由であると知らなかったこと、そして当時まだデジカメが存在しなかったことを残念に思うばかりです。