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ミステリ感想-『下り“はつかり”』鮎川哲也

1999年05月01日 | ミステリ感想
~収録作品~
鮎川哲也傑作選-2。

地虫
赤い密室
碑文谷事件
達也が嗤う
絵のない絵本
誰の屍体か
他殺にしてくれ
金魚の寝言
暗い河
下り“はつかり”
死が二人を別つまで

日本推理作家協会賞 候補 ――赤い密室


~感想~
『地虫』
シンデレラを下敷きにした幻想メルヘン。

『赤い密室』
短編ミステリ史上最高傑作の1つ。

『碑文谷事件』
優れた作品だが……。

『達也が嗤う』
かの『薔薇荘殺人事件』をも越える純粋パズラー再び。企みに満ちた構成にも刮目!

『絵のない絵本』
残酷本格メルヘン。

『誰の屍体か』
純粋論理が達したひとつの頂点。

『他殺にしてくれ』
二転三転する展開はいいが(ネタバレ→)タバコの件はアンフェア、刺殺と射殺が意味もなく混乱している。

『金魚の寝言』
タイトルで落ちてしまった感。出落ち。

『暗い河』
雑学。

『下り“はつかり”』
鉄壁のアリバイ。切れるトリック。不可能状況。

『死が二人を別つまで』
作者自身が認める複雑なプロット。しかしそれに見合った練り込み具合。


~総括~
前作とは異なり、幅広く作品を集めた。好みは分かれるだろうが、いずれも傑作ぞろい。
いいから買え!


99.5.1
評価:★★★★★ 10
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